呉市交通局のバスが1日午前、また人身事故を起こした。呉市郷原町でサイクリング中にはねられた会社員男性(40)は、意識不明の重体で病院に運ばれた。原因は捜査中だが、昨年4月の小学1年女児死傷事故を機に交通局が事故防止策を強化する中、人身事故は10件目となった。
事故現場は、呉市広地区から、東広島市黒瀬町方面に向かう国道375号沿い。すぐ近くにある広署郷原駐在所の署員は「バスが停車したので外に出たら、自転車の男性が倒れていた。急ブレーキの音や悲鳴は聞こえなかった」と語った。
スポーツタイプの自転車でサイクリングをしていた会社員男性が、転倒した現場には約1メートルの歩道がある。ただ、直前まで歩道は3〜4メートルの幅があり、車道を含めた道全体が、急激に狭まった形状。近くのガソリンスタンドの従業員男性(38)は「休日の朝は自転車がよく通るが、前々から危ないと思っていた」と明かす。
交通局では昨年度、小1女児死傷事故をはじめ、バス停で降車した女性(81)を約30メートル引きずり、軽傷を負わせるなどの人身事故が6件を数えた。本年度も、バス発進時に車内の女性(79)が転倒して背中の骨を折るなど、既に人身事故3件が起きていた。
交通局は再発防止策として、運行状況を映像で記録するドライブレコーダーを導入。広島県警出身者を指導係で採用した。それでも繰り返される事故に、交通局の野見山克宏総務課長は「指導が足りないと言わざるを得ない。全乗務員に再度、安全運転を徹底させる」と肩を落とした。
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