赤木智弘の眼光紙背:第147回
また、神戸という街が、移動の他に20分程度しか楽しめないような、底の浅い観光地にすぎないと言うなら、1時間無料でも十分だろう。しかし、それなりの歴史があり、多くの人が生活している街であれば、観たくなるものはたくさんあるはずだ。
しかし、そこに住んでいる人は、それをなかなか「他所から来た人達が観たいもの」であるとは気づかないし、生活に車や電車を使っていればなおさら、それらに気がつく機会はないだろう。
自転車の公共利用は、単純に電車やバスを自転車に置き換えるものではない。
市の観光課が見せたいモノと、観光客が見たいモノの違いを浮き彫りにし、新たな神戸の魅力を再発見するためにこそ、自転車は公共利用されるべきなのである。
それが5000円という、高額なペナルティーのために立ち行かなくなると予想できてしまうことは、とても残念である。
*1:レンタル自転車:神戸市が事業化視野 観光活性化やCO2削減狙い/兵庫(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20100825ddlk28040304000c.html*2:コミュニティサイクルの社会実験「KOBEまち・ちゃりシャトル」の実施(神戸市)
http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2010/08/20100824194601.html■プロフィール赤木智弘(あかぎ・ともひろ)…1975年生まれ。自身のウェブサイト「
深夜のシマネコ」や週刊誌等で、フリーター・ニート政策を始めとする社会問題に関して積極的な発言を行っている。著書に「
「当たり前」をひっぱたく」など。