44年ぶりの朝鮮労働党代表者会が迫った北朝鮮。平壌では、金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者として党指導部入りする見通しとなっている三男正銀(ジョンウン)氏をたたえる歌とされる「パルコルム」(足取り)の歌声が街頭に響いている。
「パルコルム、パルコルム」。平壌駅周辺で、学校名や「強盛大国」と記したプラカードを掲げ革命歌などを歌いながら行進する制服姿の中学生。朝夕2回、「パルコルム」や「金日成将軍の歌」「金正日将軍の歌」などを歌いながら学区内を行進している。
同様の行進は、昨年展開された総動員運動「150日戦闘」や「100日戦闘」の期間中も行われたが、今年は党代表者会と10月10日の党創建65周年記念日に向けて再開されたようだ。
今春改装された「凱旋(がいせん)青年公園」。「空中ぶらんこ」などと呼ばれる絶叫マシン6台が新たに設置され、1日5000人前後の市民が訪れるという。午後7時から午前0時まで夜間だけの開園で、地域や学校、職場単位で訪れるケースが多い。駐車場には何台もの送迎用大型バスが待機、入園待ちの長蛇の列が途切れることはなかった。
遊具の照明で明るい園内では、デジタルカメラで仲間同士の「絶叫ぶり」を撮影する姿が目についた。ハンバーガーを扱うファストフード店では部隊単位で訪れた兵士の姿も。
「電子娯楽館」と呼ばれるゲーム施設ではカーレースなど日本製のゲーム機器約10台が人気。画面表示は日本語のため、係員が子供たちに操作方法を説明していた。
訪朝経験の多い日本の市民団体幹部は公園名に「青年」が付けられたことに注目。北朝鮮で新趣向の同公園が「青年大将」と呼ばれる正銀氏の後継体制づくりと「関連しているようだ」と指摘した。(平壌・共同)
毎日新聞 2010年9月3日 10時50分