岐阜大付属病院など多くの研修医がいる県内9病院と同大医学部による「県医師育成・確保コンソーシアム」が6日に設立される。各病院が連携して研修プログラムの質を向上させることで、同大卒業生らの研修医を県内に引き留める狙い。医師が不足する県内の地域への派遣を研修に盛り込むことで、医師不足解消も目指す。
6日に各病院の院長らが県庁に集まり、協定締結式を行う。
県医療整備課によると、大学を卒業した医学部生が2年間義務づけられている初期臨床研修で、コンソーシアムを構成する9病院は共通の研修プログラムを導入する。各病院が得意とする分野のノウハウを共有することで、プログラムの質の底上げにつながると期待されている。
県の初期臨床研修医の受け入れ枠は140人。だが、都会の病院での研修を望む学生が多く、10年度の受け入れは107人にとどまるなど、研修医の確保に苦戦している。研修プログラムの質を上げることで、流出を防ぎたい考えだ。
一方、任意の後期臨床研修制度では、研修プログラムに医師不足地域への派遣を組み込む。研修の一環なので、派遣は一定期間にとどまり、コンソーシアムを構成する病院から指導医が定期的に派遣される。
同課は「地域医療のなり手は少ないが、実は興味を持つ人は少なくない。指導医のフォローを受けながらキャリア形成にもつながるのならば、心理的なハードルも下がり、志願者が増えるのではないか」とみている。
前・後期の臨床研修にまたがって県内の病院が包括的に連携するのは、全国でもまれな試みだという。同課は「県全体で医師を育て、県内の医師不足を無くしたい」としている。【岡大介】
毎日新聞 2010年9月3日 地方版