【名護】名護市内の公立中学校の養護教諭が、保護者や校長などに知らせずに、学者団体などから科学的根拠がないと指摘されている民間療法「ホメオパシー」で使う砂糖玉を、体調不良を訴える生徒に保健室で渡していたことが2日、分かった。市教育委員会(比嘉恵一教育長)と校長は1日に、教諭から事情を聴き、同行為を中止するよう指導した。
沖縄タイムスの取材に対し、教諭は「生徒の健康を思って渡した。現代医学を否定するつもりは全くない。今後、校内でそういった行為はしない」と話した。
ホメオパシーは、植物や動物、鉱物などを希釈した水をしみこませた砂糖玉を飲む代替医療だが、日本学術会議が8月に「科学的根拠がなく荒唐無稽(むけい)」として効果を否定。厚生労働省は効果を研究する方針を示している。
教諭は「日本ホメオパシー医学協会」が認定する療法家。生徒に提供したのは、同協会から購入した直径約3ミリの砂糖玉。教諭が海外から購入した専用の機械で「周波数などをあてた」(教諭)上で提供したという。教諭は「砂糖以外何も含まれていない」としている。
教諭は、約6年前から主に生理痛や下痢を訴える生徒に砂糖玉を提供、1カ月あたり約10人に提供してきたという。受け取った生徒の一人は「(在校生の)ほとんどが一度はもらっているはず」と話した。
学校側は先月30日にマスコミの取材で初めて知ったという。2日現在、生徒、保護者からの苦情はないという。
比嘉教育長は「事実関係をしっかりと掌握した上で、教育委員会として統一した見解を持って対応したい」と話した。