慢性的な経営難にある呉市交通局のバス事業について、市が2012年4月から民間へ移譲する方針を固めたことが2日、分かった。バス運行と関連業務を一括して、公募で選ぶ民間事業者に移譲する想定。路線や職員の処遇などは今後詰めていく。
市は6月、交通局の抜本改革シミュレーションを公表。(1)改善型公営(2)民間委託拡大(3)第三セクターへの段階的移譲(4)一括民間移譲―の4形態を比較した。今回、市の財政負担が最も少なくサービス向上も可能な民間への一括移譲が最善と判断したとみられる。
現行の20路線のうち13路線は赤字で、市は移譲先に補助金などを出して20路線の維持を目指す。ただ、一部廃止や生活バスへの移行などをした上で移譲する可能性もある。
職員224人(4月現在)の移譲に伴う処遇は今後の検討課題で、ビルや土地などの資産の扱いについても慎重に判断する。
市交通局は、敬老優待負担金などの名目で市の一般会計からの繰り入れを受け、ここ数年は年間12〜13億円に上る。08年度は経営健全化基準を満たすため、通常の支援とは別に計18億円を借り入れるなど経営が悪化している。
市は8日、市議会協議会(全員協議会)で民間移譲の方針を正式に表明する予定にしている。
|