<9月1日>(水)
○本日の話題は、なんと言っても「小沢政権ができたら日本はどうなるか」。民主党代表選で菅さんが勝ったら、別に今のままでたいした変化はない。でも、そうでなかった場合は、久々に世の中の先がまったく見えない状態が待っている。とりあえず、組閣がどうなるかちょっと考えてみましょうか。
内閣総理 小沢一郎
総務大臣 原口一博
法務大臣 鈴木宗男
外務大臣 鳩山由紀夫
財務大臣 海江田万里
文部科学 輿石 東
厚生労働 福田衣里子
農林水産 赤松広隆
経済産業 中山義活
国土交通 松野頼久
環境大臣 樽床伸二
防衛大臣 田中真紀子
内閣官房 細野豪志
国家公安 中井 洽
国家戦略 山岡賢次
行政刷新 田中美絵子
沖縄担当 川内博史
少子化担当 谷 亮子
幹事長 松本剛明
政調会長 廃止
○うーん、冗談のつもりで始めたが、途中からだんだんマジになってしまったぜ。さて、どうするニッポン。
<9月2日>(木)
○政局の陰に隠れておりますが、明日の午後9時半になると8月の米国雇用統計が発表されます。ということは、その後は株安、円高、金利安など、何でもありということになります。日本政府が為替介入をするのなら、明日の午後10時、というのが狙い目かもしれません。いずれにせよ、為替介入は当局が黙って静かにやるべきものでありまして、首相やら首相候補やらが「断固として行なう」などと虚勢を張る性質のものではありません。そういうことをしているから、日本政治は市場参加者になめられfるのです。
○で、問題はこの雇用統計が、サッパリ改善が見られないことです。われらが日本経済はいざ知らず、アメリカ経済は「景気が良くなりゃ雇用は増える」というのが、これまでのパターンでありました。それが今次景気後退局面においては、かくも深き雇用減少が生じ、なおかつ回復局面にあっても改善が遅れている。いったいどういう理屈でそうなっているのか。多くのエコノミストが、この問題に対して首をかしげているところです。
○今週のThe Economist誌で、Economic
Focus欄が興味深い指摘を行なっている。従来のアメリカにおいては、労働市場の柔軟性が非常に高かったために、景気がちょっとでも良くなると、人々が雇用を求める産業や都市に大胆に流入していった。何しろアメリカは広いので、地域格差が大きい。東海岸がダメなら西海岸があるさ。西海岸がダメなら、南部か中西部でやり直してみよう。そんな移動性の高さが、アメリカの労働市場の柔軟性をもたらしていた。
○これは結構、思い当たるところのある話で、アメリカ映画の中には「この街では自分はうまくいかなかった。だから、他の街に行ってやりなおそう」てな話が良く出てくる。ダメだったからといって、主人公はさほど暗くならない。例えば『アパートの鍵貸します』では、上司にゴマすりしていたサラリーマンが、最後は会社に見切りをつけて、恋人とともに別の街を目指すところで終わる。いかにもアメリカがアメリカらしい光景である。
○それがなぜ、今は機能しなくなっているのか。ひとつには日本経済でもよく言われているとおり、「雇用のミスマッチ」があるからだろう。建設業で職を失った人たちが、いきなり介護や農業に行けるかよ、という話である。とくにホワイトカラーの職は昨今は専門化が進んでいるので、ミスマッチが起きやすくなっている。それはまあ、わからんではない。だから金融緩和で失業は救えないのだ、というのもなるほどという話である。
○Economic Focusの記事"Bad
Circulation"では、さらに2つの点が指摘されている。@「(今のアメリカでは)住宅価格以上の借金を抱えている人が多く、彼らは仕事の多い地方に引っ越すことが難しい」――つまり住宅市況の悪化が、労働市場が本来持つ流動性の高さを損ねているというのである。もうひとつは、A「共働き世帯の増加も、労働者の移動を難しくしている」――つまり2つのキャリアの移転を考えねばならないとなれば、それだけ困難度は上昇するというわけだ。子どもの教育事情なんかも、これに加えてよいでしょう。
○なるほど、労働市場はこれらの構造的な要因により、それだけ柔軟度を失っているわけだ。これは目からウロコの指摘である。さて、明日はどんな数字が出るでしょうか。とりあえず、非農業部門雇用者増減数は10万件のマイナス、失業率は9.5%ってあたりがストライクゾーンではないかと思います。そこから大幅に外れてくると、いよいよ明日夜も、金融市場は大荒れということになりかねません。
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編集者敬白
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