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【プロ野球】ブラゼル 40号 外国人ではバース以来2010年9月2日 紙面から
◆阪神10−3横浜ダイヤモンドをゆっくり回る姿が、いつもと微妙に違った。大歓声を背に、阪神のブラゼルは珍しく喜びをあらわにしていた。「40という数字は自分にとって大きいことなんだ。本拠地でもあったしね」。いつものように冷静に一周できなかった。 1死一塁で回ってきた初回の第1打席。やや高めの外よりのツーシーム。ボール球に見えなくもなかったが、思い切り振り抜いた。「(1回にフェンス直撃の安打を放った)ハーパーは怒っているんじゃないかな。僕の打球だけがホームランになったからね」といたずらっぽく笑ったが、文句なしの一発だ。3試合連続の40号2ラン。自身のキャリアで初めて40本に到達した瞬間だったという。高かった壁を乗り越えた喜びは、われを忘れさせた。 阪神で40号到達は05年の金本以来。外国人選手に限ると、1986年に史上最強助っ人の呼び声高いランディ・バースが到達(最終47本)して以来、実に24年ぶりのことだった。西武に所属していた一昨年、過去の外国人選手が収録された映像を見た。そのとき目にしたバースの姿は、今でも目に焼きついている。 「日本に来る外国人選手は彼と比較されるが、本当に偉大な選手。そういう選手と比べられることは光栄だよ」。“バース以来”のフレーズは格別だった。バースとともにプレーした真弓監督も「似ているところがある。お互いに逆方向に打てる」と認めた。 ブラゼルの一発後も完全に勢いづいている猛虎打線は容赦なし。16安打で今季2度目の3試合連続2ケタ得点。連勝を4へと伸ばして、がっちり首位をキープ。連夜のお立ち台となったブラゼルは「ハンシンファン、サイコーネ、スキヤネン」と勉強中の日本語で締めた。沸き上がる大観衆。甲子園は連夜のお祭り騒ぎだ。 (島田明)
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