スウェーデンは本当に幸せな国なのか日本もこうなるの? 高福祉高負担

2010年08月23日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

upperline

「私もあの(フス氏の)投書を読みましたが、それほど違和感はありませんでした。日本から移り住んだ人にとっては、スウェーデンは理想郷ではないということなのだと思います。多くのスウェーデン人は、『スウェーデンはいい国だ』と思っています。

 大きな繁華街もないし、娯楽施設もない。著名なブランドもない。モノに溢れた日本に比べれば、総じて選択肢は少ない。不便さやイライラのタネはあちこちにあります。しかし、スウェーデンにはそれを補ってあまりあるものがあると私は思います」

 こう話すのは、『スウェーデン 高い税金と豊かな生活』の著書がある明治大学・星野泉教授だ。

日本人のように贅沢しない

「学校のレベルは日本から見ればいい加減かもしれませんが、あくまで先生によります。『税金はなんのためにあるのか』といった議論を、小学校高学年からやっています。

 医療に対する評価は、けっして高くない。どうやらスウェーデン人の医師は、一人を長く診察するようです。若い人の就職難はこの10年くらい社会問題化していますが、職業教育のサポートをしています。税金が高いので貯蓄はできませんが、彼らはそれを悲しいと思っていない。贅沢はできないけど、政府に貯金して困ったときには助けてもらえると考えているので将来への不安は少ない。それがスウェーデン人の特徴です」(星野教授)

 以前スウェーデンの大学に留学し、3年半住んだという女性はこう話す。

「多くのスウェーデン人はルーテル派(プロテスタントの一派)で、質素な暮らしを好み、『良い物を作れば売れるはずだ』という信念のようなものがある。すごくのんびりしていて、病院では長時間待たされますが、文句を言っている人は見たことがありません。

 酒は好きですが、国営の酒類販売所でしか買えません。アクアビットという伝統酒とか、ビール、ワインですが、日本の倍くらいの値段ですね」

 前出の駐日スウェーデン大使・ノレーン氏にインタビューした。

―高齢化や経済環境の悪化によって、老後に十分な年金を受け取れなくなることはないのですか。

「スウェーデンの年金は経済環境に連動していて、経済が良くなれば受給額も良くなり、悪化すれば受給も減ります。それでも、65歳前後で退職するまで働いた人は、生活するのに十分な年金を受け取れていると思います。

 30年前に比べるといまの人はずっと健康ですから、これからは高齢者でも十分に働ける。退職の年齢も70歳くらいまで伸びるのではないでしょうか」

―所得税31%、消費税25%という税率に不満を漏らす低所得者はいないのですか?

「どんな社会でも、税金に文句を言わない人はいません。政府は、この15~20年、少しずつ所得税率を下げてきました。その反面、ガソリン等に対する税率を上げています」

―スウェーデンと日本の医療システムを比較していかがですか。

previous page
3
nextpage


最新号>のご紹介

underline
アクセスランキング
昨日のランキング
直近1時間のランキング
編集部お薦め記事
最新記事