福岡県町村会をめぐる汚職事件で贈賄罪に問われ、公判中の同県添田町の山本文男前町長(84)=前全国町村会長=の辞職に伴う町長選で、山本前町長が11日、町内で記者会見し、立候補を正式に表明した。山本前町長は「当選して、現職町長として次の町長に引き継ぐことが必要だ」と出馬理由を語り、通算11回目の当選に意欲を示した。
公選法の規定で、前町長が当選した場合、任期は自身の辞職前の任期である来年1月末まで。5カ月余となるが、前町長は「引き継ぎには十分」と述べた。一方、意中の後継者については「今は言えない。必ず次の町長を見つける」と話し、引退時期を問う質問には「町民が決めること」と語り、明言を避けた。
山本前町長は、町長選へ立候補する意向を7月の後援会会合で示しているが、外部に正式表明するのは初めて。この日の会見で山本前町長は「町の農林業、観光振興のため、どうしても現職として次の町長に引き継ぎをしたい。辞任により、よく分かる引き継ぎができなかった」と訴えた。
町民有志のリコール(解職請求)運動により、町長の解職を問う住民投票の実施が決まった後に山本前町長が辞職したため、町内には「リコール回避のための辞職では」との批判もある。これについて前町長は「関係ない。事件の当事者として責任を取った。4月ごろから辞職を決めていた」と述べ、住民投票は「やってはならない。(町に)大きな汚点を残す」と語った。
=2010/08/12付 西日本新聞朝刊=