記者会見する日本代表のアルベルト・ザッケローニ新監督=東京都内のホテルで
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新代表監督が4年後のワールドカップ(W杯)に向けて、第一歩を記した。日本代表新監督に就任したイタリア人のアルベルト・ザッケローニ氏(57)が31日、都内のホテルで会見。初の日本生活にいち早く溶け込む姿勢を示すとともに、早くも「(日本は)アジアの主役になる」と来年1月のアジア杯での“優勝”を宣言した。就労ビザ取得が間に合わないため、原博実技術委員長が監督代行を務める4日の国際親善試合パラグアイ戦と7日のグアテマラ戦はスタンドから選手をチェックする。
もはや微塵(みじん)の迷いもない。欧州から遠く離れた極東での自身初となる代表チームの指揮。ザッケローニ監督は「(正式合意した)昨日から私は完全に日本人になった。イタリア人ではなく、日本人だ。次の会見は日本語でやりましょう(笑)」と自らの決意を挙げると、続けて、大胆な発言で報道陣を驚かせた。
実績、経験に裏打ちされた自信なのだろう。来年1月に行われるアジア杯に触れると、「アジア杯で主人公になる。日本はすでにアジアだけでなく、世界を代表するチームだと思う。アジア杯まで日数は短いが、日本は主役となる活躍をしなければならない」と堂々の“優勝宣言”。悠然とした表情には意欲、力強さがみなぎっていた。
「サッカー先進国」からやって来ながら大上段に構える姿勢はなく、「人間的にも素晴らしく信頼できる」(原技術委員長)。ジーコ元監督は頻繁に母国のブラジルへ帰国していたが、「時々帰るとは思うが、(監督自身は)帰ろうとは思っていない」(同委員長)。ザッケローニ監督もこの日、「(Jリーグの)試合だけではなく、(各クラブの)練習も見ていきたい」と話した。
約350人が詰め掛けた就任会見で、丁寧な語り口で、語れる限りのサッカー観を語った。
「私は攻撃的な戦術を敷くことで知られているが、あくまでバランスを重視する。バランスのあるサッカー、バランスのいいチームをつくることができる」「美しく完成されたチームにしたいと思っている。将来の遺産となるものをつくりたい」
まだ抽象的ではある。ただ、監督の言葉を信じるなら、これまでにない新しい代表チームを見せてくれるはずだ。 (松岡祐司)
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