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2010/07/16

日本工業標準調査会「標準化実務入門テキスト(試作版)」を公表

日本工業標準調査会(JISC)は、サイト上にて、「標準化実務入門テキスト(試作版)」(平成22年7月)を公開している。全文一括または各章毎でのPDFファイルがダウンロードができる。

本テキスト試作版は、経済産業省基準認証ユニットが、江藤学氏(一橋大学イノベーション研究センター)の監修のもとに、初めて標準化活動を担当することになった企業人材向けに、幅広い分野が包含される標準化知識を体系的に整理し、効率的に標準化知識を習得することができるテキストとして製作したものである。

内容としては、標準化概要、経済活動としての標準化、公共財としての標準化、適合性評価の基礎、国際標準化機関及び国際標準の制定、日本の標準制度全般、知的財産と標準化、マネジメントシステム規格、日本の適合性評価制度、国際的標準化動向の全10章からなっており、約300頁の大作となっている。

同ユニットでは、本試作版を標準化に関する理解の促進に活用してもらいたいとしており、また、今後さらに内容を精査し随時更新する予定であるとし、テキストの内容についての問い合わせも受け付けている。


【関連リンク】

◆日本工業標準調査会:標準化実務入門テキスト(試作版)の公表
http://www.jisc.go.jp/policy/hyoujunka_text/index.html

◆日本工業標準調査会
http://www.jisc.go.jp/policy/hyoujunka_text/index.html

◆経済産業省:工業標準・知的基盤の整備
http://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/index.html

以上

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コメント

はじめまして、著作権法を専門に物書きをしているものです。

「標準化実務入門テキスト(試作版)」のご紹介、ありがとうございます。早速読んでみたところ、同書の184頁に誤りが見つかりましたので、お知らせいします。

JISCはJIS本文には著作権があると従来から説明していますが、それは誤りです。このことについては、下記の文献で論証されています。

①鳥澤孝之「国家規格の著作権保護に関する考察 ―民間団体が関与した日本工業規格の制定を中心に―」知財管理 Vol.59 No.7 [2009.7]793-805頁
http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/syoroku/59/7_793.html

②ピリ辛著作権相談室 Q45:JIS規格に著作権を認めないと、国際標準化戦略に乗り遅れると思うのですが…
http://urheberrecht.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/45jis-be6d.html

③Wikipedia 日本工業規格:著作権
http://ksrd.yahoo.co.jp/PAGE=DT_ACTIVE/OUTLINK=1/QID=1143872796/AID=111964162/SIG=137rks7ko/EXP=1279453218/*-http%3A//ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E8%A6%8F%E6%A0%BC#.E8.91.97.E4.BD.9C.E6.A8.A9

これらの見解に対しては、経済産業省は以下のような反論を行っています(産業技術環境局基準認証ユニット(一橋大学イノベーション研究センター 江藤学編)『標準化実務入門(試作版)』(平成22年7月)184頁〔長谷亮輔執筆〕http://www.jisc.go.jp/policy/hyoujunka_text/text_7syou.pdf )。

1. 「著作権法第13条第2項(原文ママ。正しくは「第2号」。以下同様。)でいう告示とは、立法行為、司法行為、行政行為として権限のある者が作成し、その内容を公表することによって国民に知らしめ、また国民が自由に知るべきものであると性格づけることをいうものである。これに対して、JIS規格の官報への公示は規格の名称及び番号のみで、内容についてまで掲載されているわけではない。」
2. 「JIS規格の原文は、原案作成者や利害関係人などの民間団体において作成されているものである。著作権法第13条第2項の対象となるのは、官公庁自身が創作し国民に知らしめることが目的であるような場合に限定されるものであり、JIS規格のように利害関係者が原案を作成して申し出たり、原案を委託によって作成した者がいる場合には、著作権法第13条第2項を適用するのは不適当である」

しかしこの反論に対しては次のような点が指摘され、批判は当たらないものと考えられます。

1.については、同号の告示等は官報の掲載内容に限定されるものではなく、また主務大臣が制定した工業標準の内容は本来国民に広く知らしめるべきものである。この点、経済産業省基準認証ユニット(日本工業標準調査会事務局)は制定又は改正されるJISの原稿を財団法人日本規格協会に回付し、同協会がその原稿に基づいてJIS規格票を印刷・発行し、同協会の窓口を通じて同規格票を販売・配布しているところである。このようにJISは経済産業省基準認証ユニットの監督の下に財団法人日本規格協会が発行する規格票を通じて公表され(日本規格協会編『JISハンドブック2008 56 標準化』(日本規格協会、2008年)1038頁)、JISの内容は官報に代わって規格票に掲載されていることから、官報で規格内容が省略されたことを著作権発生の根拠にすることはできない。また「現在有効な法令約7,400 件の中で、JIS規格を引用した法令は約360件(5%)もあ」るなど、「単なる技術標準としてだけでなく、行政制度とのつながりも深いものとなってい」るとの指摘がなされ(山中豊「事業仕分けと標準化」情報処理学会 情報規格調査会 NEWSLETTER No.85 (2010-03) 2-3頁:http://www.itscj.ipsj.or.jp/topics/nl85_yamanaka.html )、 著作権が否定される法令(著作権法第13条第1号参照)と同様に、JISの著作権も否定されると考えることができる。

2.については、法令、通達等の著作権が否定されるのは「公益的な見地から、国民に広く知らせ、かつ、自由に利用させるべき性質の著作物には、権利を認める結果としてその円滑な利用を阻害することとなるのを防ぐという観点から」であるところ(加戸守行『著作権法逐条講義 五訂新版』(著作権情報センター、平成18年)136頁)、JISの原案作成者が官公庁以外の者であることを理由に著作権の発生を認めれば、JISを利用する国民の生活や企業活動等に支障をきたし、国内に広く知らしめることを主要な機能とするJIS の役割を損なうことになる。なお原案作成者に著作権が認められない場合でも、原案を採用した主務大臣から補償金等を得て経済的利益を確保することは可能である。

なお国立国会図書館であれば、JISCの見解に関係なく、JIS本文の閲覧(ネットではなく館内ですが)はもちろん、ネット検索を通じて郵送複写が可能です。
*「国立国会図書館 リサーチ・ナビ JIS規格:http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400392.php 」参照

投稿: 千川大蔵 | 2010/07/18 19:53

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