街づくりの県職員が民家壊した　車暴走

　兵庫県職員の男（２５）が謎の“暴走”を繰り広げたとして、道交法違反（当て逃げ）容疑で３０日までに逮捕された。大阪市内を左後輪がパンクした軽自動車で走行中、パトカーが停止を求めたが無視し逃走。直後、近くの民家に突っ込み、玄関を大破させた。車を乗り捨てると、さらにはだしで猛ダッシュ。結局逃げ切れず捕まった。男は大学院を修了し、今春入庁したばかり。警察に対応するのが面倒くさかったと供述しているが、何とも「？」な逃走＆破壊劇だった。

　大阪府警東成署が道交法違反（当て逃げ）容疑で現行犯逮捕したのは、神戸市須磨区、兵庫県県土整備部まちづくり局都市計画課職員森喜彦容疑者。調べでは、同容疑者は２９日深夜、大阪市東成区の国道３０８号線を東から西に、左後輪がパンクした自分の軽乗用車を運転して走行。同午後１１時５０分ごろ、同区大今里南の「今里交差点」で信号待ちしていたところ、職務質問しようとするパトカーに停止を求められた。

　しかし、森容疑者は無視し、交差点を右折して逃走開始。加速して約１００メートル直進したところで、急左折して路地に逃げ込み、パトカーに追われつつ、暴走を続けた。今里交差点から約２５０メートル走ったところで、路地沿いの２階建て民家に激突。高さ約２・５メートル、幅約４メートルの１階玄関部分をごう音とともに大破させ、車を約１メートル、家の中に突っ込ませて止まった。住人らにけがはなかった。

　車も前部が激しく破損し、フロントガラスがクモの巣状に割れるなどしたが、森容疑者は頭部にすり傷を負った程度。車を乗り捨てると、はだしのまま路地をダッシュして逃走を続けた。しかし約１０メートル走った時点で、パトカーで追ってきた警察官に捕まり、深夜の暴走劇もジ・エンド。

　森容疑者はこの日、休日で東成区の友人宅を訪れた後、約５０キロ離れた神戸市須磨区の自宅まで、車を運転して戻る途中だったという。ここまで必死に逃げた理由について「（直前に）嫌なことがあって、これ以上面倒くさくなるのが嫌で逃げてしまった。警察（と応対するの）がうとましかった。民家にぶつかった後は、事故が怖くて逃げた」と供述し、容疑を認めている。今のところ、飲酒や違法品の所持などは確認されていないという。

　兵庫県によると、森容疑者は県都市計画課の地域計画係に所属。市街地整備など街づくりや都市計画決定などに携わっているという。大学院を修了し、今年４月に入庁したばかりの独身。県では「勤務態度などに特に問題はなかった。今後、事実を確認して、厳正に対処する方針」としている。東成署では詳しい経緯やパンクした理由などについて捜査を進める。

　［2010年8月31日9時42分　紙面から］