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【私説・論説室から】

日本とうり二つ?の国

2010年9月1日

 イスラエルと日本は似た者同士。どちらも小国だし、米国頼みだし、それに周辺国と仲が悪い−。イスラエルの政府高官が日本政府関係者にこんな自説を開陳した。

 米国頼みという点はあえて反論はしないが、小国という指摘には、日本は領海と排他的経済水域を合わせた広さでは世界でも有数だ、と言い返したい。

 それ以上に異を唱えたいのは、周辺国と仲が悪いという主張だ。

 確かに日本は中国や韓国といった国々との間にさまざまな問題を抱えている。それでも、イスラエルと周辺国のとげとげしい関係とは次元が違う。イスラエルは比較的関係が良かったトルコとも、ガザ支援船急襲事件で険悪化させ、中東で孤立を強めている。

 自分とは違う他者の存在を認めない偏狭な風潮が、世界的に高まっている。イスラエルでも強硬世論が勢いを増している。二日に中東和平直接交渉が再開されるが、イスラエルはパレスチナとの対立を永遠に続けていくつもりなのだろうか。

 イスラエルが置かれる緊張状態が、国民をまとめている面は否定できない。そのしんどさは、平和ぼけの日本がとても耐えられるたぐいのものではない。

 この高官は日本との共通点の駄目押しに「どちらもすしが好きだ」と付け加えた。もっとも、すし好きは両国に限ったことではないが…。 (青木 睦)

 

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