2010年05月19日
<柴田・山口・高島法律事務所 山口宏先生>
山口宏先生にインタビューをさせて頂きました。
Q1. 弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
A1.弁護士は、苦渋の消極的選択でした。理想としては、小説家を目指していましたが、書いては捨てての繰り返しでした。就職するのは荷が重いが、社会に出ないのでは周りの人々にうるさく言われてしまいます。そこで、年齢の参入障壁がなかった弁護士を目指して勉強を始めました。
Q2. 弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えてください。
A2. いくつかの小さな刑事事件の案件が印象に残っています。司法権は、人を死刑にしたり、財産を競売したりする強力な権力です。総理大臣でもこんな権限は持っていません。それぞれやむにやまれぬ事情を抱えた人が、その強大な権力によって逮捕されて拘束されているのを救出するのは、スリリングでやりがいのある仕事です。
Q3. 弁護士のお仕事の中で嬉しかったことは何ですか。
A3. 依頼者が望まないことを強いられそうなときに、その桎梏から解放してあげられれば嬉しく感じますし、そのことで依頼者に感謝されるとやはり嬉しいです。
Q4. 弁護士になって一番大変だと感じることは何ですか。
A4. 証拠の検討とか、書類の準備などは、時間をかければそれだけ結果も良いので、どうしても寝る時間を削らなければなりません。遊ぶ時間や休日などがなかなか取れないことが大変です。
Q5. 休日はどのようにお過ごしですか。
A5. 休日をつぶして仕事をすれば、その分平日が楽になりますが、現在小学生の娘がいるので、その娘と一緒に遊ぶことにしています。
Q6. 弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えてください。
A6.まず、依頼者の気持ちが第1です。しかし、それだけではいけません。悩みは誰しもが抱えているものです。貸したお金を裁判で取り返したいと考えている依頼者にとって、相手に財産がないときは、もしかしたら一番良いのは、その貸したお金のことを忘れてしまうことかもしれません。どうしても忘れられないときは、うつ病などの病気になるか、裁判で権利主張をするかどちらかということになるでしょう。でも、裁判をしてもお金は返ってこないかもしれません。そのときにどう対処するのかが、実は一番難しい問題であり、そこをきちんとフォローすることが大切なのではないかというのが大事にしている信条・ポリシーです。
Q7. ご依頼者様に対して、特に気をつけていることは何ですか。
A7.依頼者の気持ちを大切にしてお話を伺うことです。中には、自分で裁判は半ば無理であると考えながらも相談に来られる方もいます。そういう方は、話を聞いてさしあげ、説明してあげることで満足して帰られます。
Q8. 弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A8.楽器も趣味としてやっているので、音楽著作権に興味があります。
Q9. 今後の弁護士業界の動向はどうなるとお考えでしょうか。
A9.昭和の時代には、ルールをはっきり示さなくとも、世間の中で倫理観が人々の共通感覚としてありました。しかし、今後は共通感覚とルールがずれ、ルールが共通感覚から独立したものとして存在することになり、争いの多い住みにくい社会になると思います。弁護士業界もそうした争いの多い社会に対応していくことになるのでしょうが、日本が、アメリカのように訴訟社会になるのか、それとも訴訟以前に和やかな解決ができる社会になるのかは、弁護士の姿勢如何であると思います。
Q10.先生の今後のビジョンを教えてください。
A10.現在のように、企業や個人の悩みに接して、解決の手伝いをしたいです。そして、それがうまくいくことで喜んで頂く、そういったことを今後もささやかな楽しみにしていきたいです。また、同時に小説も書き続けたいとも考えています。
Q11.ページを見ている方々に対してメッセージをお願い致します。
A11.裁判は決して良いものではありません。一番は忘れるべきなのです。しかし、我慢が出来ない時は、次善の策としてお手伝いさせて頂きたいと思います。
Q12.ページを見ている法曹界を目指している方に向けてのメッセージをお願いします。
A12.学問としての法律と、実際の紛争解決手段としての法律は異なっています。最終的には、世の中を知らないと紛争の解決はできません。勉強も大変ですが、教科書の外に広がる世界が広大であることを忘れないで欲しいです。
<取材法学部生からのコメント>
楽器の演奏や小説の執筆など多彩である山口先生は、休日には娘さんとの遊ぶ時間を大切にしたいという、家族思いの優しい先生でした。いつか、山口先生の書かれた小説を読める日を楽しみにしています。
法政大学法学部2年 阿部恵理佳
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