イスラエルとパレスチナが中東和平に向けて、今月2日から1年8か月ぶりの直接交渉を行うのを前に、ヨルダン川西岸でユダヤ人入植者4人が銃撃され死亡する事件が起き、直接交渉に反対するイスラム原理主義組織ハマスが交渉の妨害を狙った犯行とみられています。
先月31日夜、ヨルダン川西岸にあるパレスチナ暫定自治区のヘブロン近郊で、走行中の車に向けて何者かが発砲し、乗っていた4人が死亡しました。地元の警察によりますと、死亡したのは20代から40代までのユダヤ人入植者の男女4人で、このうち女性1人は妊娠していたということです。事件のあと、イスラム原理主義組織ハマスが犯行を認める声明を出しました。イスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナのアッバス議長はアメリカの仲介で今月2日に中東和平に向けた直接交渉を1年8か月ぶりに再開することになっており、今回の事件は、直接交渉に反対するハマスが交渉の妨害を狙ったものとみられています。今回の襲撃事件について、イスラエルのバラク国防相は声明の中で「テロリストには代償を払ってもらう」と述べて、ハマスへの報復を示唆しており、今回の事件が和平交渉に悪影響を及ぼすことが懸念されます。今回の襲撃事件を受けて、イスラエルのネタニヤフ首相は、訪問先のアメリカ・ワシントンでクリントン国務長官と行った記者会見で、事件を強く非難するとともに、「イスラエル市民を傷つけた者を罰しないわけにはいかない」と述べ、犯行声明を出したパレスチナのイスラム原理主義組織ハマスへの報復に乗り出すことを示唆しました。これに対して、クリントン国務長官は事件を厳しく批判する一方で、「暴力が暴力を招いては解決にならない」とイスラエル側の自制を求め、2日から再開される直接交渉で和平を前進させることが重要だとの考えを示しました。