九星会 勁力の定義 |
新中国拳法・九星会は、台湾武壇系の武術・他を学び中国拳法を探求してきた、私こと「TanTan」が責任指導をしている。 その指導の根幹は一貫していても、より好い技術を教えようとするのなら、自身の錬功の進み具合により、その定義が変わらざるを得ない。そして、ネットで発表している技術論も、やはり時間と共に変わっていくのであるが、指導者の立場からいえば変遷していく過程からも学習者は学ぶ事があるため、ネットの把式房などは大きな改変をしないようにしている。 つまり、今回個々に提示する勁力の定義は現在の九星会の定義であり、以前の解釈などとは若干異なる最新の考え方であるとご認識頂きたい。 |
沈墜勁 | 自重が重力に引かれて落下(墜落)する時のエネルギーである。但し、それはあくまで錬功によるコントロール(十字勁)を要求され、そのコントロールにより威力の集中を行う。また瞬間的なものではなく、永続的発揮し続ける事が可能。 |
十字勁 | 身体を上下左右の方向へ伸張させて、微妙なバランスを取る事である。平均台上で転倒しないようにバランスを取る時の感覚が非常に近いが、あくまで安定をさせずに転倒と安定のギリギリのポジションをキープする事によって沈墜勁をコントロールする身体の運用法。 |
纏絲勁 | 身体の各関節で別れた部分を統合させる運動である。人体は関節という各ジョイントで繋がれた物体であり、如何にその連結を効果的に繋げるかが武術としては重要。その方法論として、分かれている部分を一斉に効率的に運動させる技術。 |
爆発勁 | 横隔膜を瞬間的に移動させて得られるエネルギーを利用する。その練習法は内蔵を鍛える事から始め、筋肉を鍛えるのとはまったく異なる過酷さを要求される。また、爆発勁だけではその威力が四方八方に散ってしまうため、沈墜勁を発揮して威力の固定化を図る必要がある。 |
浸透勁 | 現代武道でいわれるフォロースルーとは全く異なる。相手に威力を浸透させるためには、相手を押さない事が必要。その原理は幾つかあるが、要は相手に当たっていない身体の各部でエネルギーを作り出して送り込むのである。しかし、それには旋転などの忘れられた古武術の体捌き等の観念が必要だ。 |
蓄勁 | 沈墜勁や纏絲勁を体内に留めた状態。矢をつがえた弓は正に張りつめてエネルギーを宿しているが、一見分からない。しかし、それに触れると一種のエネルギー感を感じるのと同じように、蓄勁で勁を溜めている状態は静謐のエネルギーである。 |
発勁 | 蓄えた勁力を発して、相手にそのエネルギーを伝える事。沈墜勁がベースであり、十字勁でそのコントロールをして、纏絲勁を加味して更に爆発勁で圧力を掛ける。相手の体内に効率よく浸透させるためには独自の身法が必要であり、旋転などを用いる。 |
寸勁 | 短い距離からの打撃。勁力は体内で起こした各種のエネルギーであり、現代武道が使う一般的な方法である「質量の加速」をあまり必要としない。そのため短い距離からの打撃が可能になる。ちなみに勁力には方法にもよるが破壊力はさほどなく、どちらかというと伝播していく類の質を強く有する。 |
波濤勁 | 人体は水質であり、その水質に直接働きかける運動法。中国拳法の打撃の定義自体が「人体は水!」にあり、本来どの技撃にもこの方法論が含まれているのである。しかし、この肝心な部分が理解されなくなってしまっているため、北派の中国拳法長年練拳しても、その威力が上手く出ない。それは水質を打つ具体的な打撃法が理解できないと安易に西洋力学を導入してしまうためである。波濤勁は自身の身体が水質であるという認識が必要であり、まさにそれは換骨奪胎的な観念の転換である。 |
化勁 | 相手の勁力や筋力を逸らして利用する技術。日本武道でいう「流水」技法とは異なり、あくまで相手のエネルギーを借りて利用するのであるが、その利用に自己の勁力をプラスする事により、相手自身からコントロールを奪う。 |
合気勁 | 九星会の造語。大東流の「合気」を目指して研究した技術で、相手に合わせると云うよりは巧みに相手がこちらに合わせるようにし向けてしまうような技術。その性質は能動的であり、相手の骨格を歪める1番から空間固定による運動で独自のエネルギーを得る4番まである。 |