これまでの放送

番組概要

「婚活白書」

かつて日本社会で大人になれば当然のこととされていた結婚に、異変が起きている。結婚を望む人たちの活動「婚活」が広がる一方、晩婚・未婚化は急ピッチで進行。いまなぜ結婚は、したくてもなかなかできないものになったのか。その一因と言われるのが、現在の経済不況だ。終身雇用は崩れ、自分の収入だけで妻子を支えられる男性は減少。より高収入の男性を求める女性にとって、婚活競争は激しさを増すばかりだ。しかし実は日本で、女性が男性の経済力を頼みに結婚するようになったのは、近代以降に過ぎない。歴史に目を転じれば、古代、妻は夫と経済的に対等で、結婚は互いの合意のみに基づく自由なものだった。家父長制が成立し「家」が重んじられる中世から近世には、妻が婚家に入り家業に尽くすのが当然となるが、江戸後期には農業や機織りで妻が一家の稼ぎ頭となり、その経済力を背景に妻から離婚を切り出すケースも登場。生活を送る上で欠かせない“カネ”の力が、婚活の方法や条件、結婚の形態を大きく変えてきたことが明らかになってくる。番組では漫画家・倉田真由美さんが「経済力」をキーワードに、婚活と結婚の歴史を読み解く。経済・社会状況の不安定な現代にこそあらためて問われる「結婚」の意味を探る。

8月の番組

シリーズ内容 本放送 再放送
古代の“婚活パーティー” 8月3日 8月10日
“三従”から“三くだり半”へ 8月10日 8月17日
“自分磨き”の時代へ 8月17日 8月24日
“幸せな結婚”は幻想か? 8月24日 8月31日

今月の語り手
倉田真由美
倉田真由美 (漫画家)

1971年福岡県生まれ。一橋大学商学部卒業後、1995年に『ヤングマガジン』ギャグ大賞を受賞し、漫画家デビュー。 2000年より週刊誌『SPA!』で、ダメな男とばかりつき合ってしまう女性を題材にした漫画『だめんず・うぉ~か~』を連載して、人気を博す。数多くの恋愛取材をベースに独自の視点でまとめた恋愛論・結婚観は漫画にとどまらず、エッセイなどの多くの著者でもファンを獲得する。コメンテーターとしてテレビにも多く出演する。著者・共著に『花のオンナ道』『いい男には恋のルールは通じない!--本命の彼とうまくいく方法』『くらたまの恋愛やり直し!!塾』『くらたま式恋愛ヂカラ強化ナビ ラブラブ中。』『だめんず症候群』『婚活--その人と結婚するために』等、多数。


第1回 古代の“婚活パーティー”

古代の“婚活パーティー”
  • 本放送 8月3日 PM10時25分~PM10時50分(教育テレビ)
  • 再放送 8月10日 AM5時35分~AM6時00分(教育テレビ)

古代、結婚は男女どちらかが相手に求愛し、本人の合意があればすぐに成立するものだった。そんな男女の出会いの場となったのが「歌垣」。男女が結婚するために歌を掛け合う行事は、いわば古代の“婚活パーティー”でもあった。結婚後の生活も現代とは大きく異なり、夫婦は日中それぞれの親族と労働を行い、夜になると相手の家に通うという生活を送る。そんなゆるやかな結婚形態を可能にしたのは、男女双方が持つ経済基盤である。奈良時代の女性は、貴族から庶民まで、男性と対等に働き、自分の労働の報酬をもっていたため、相手に依存する必要がなかったのだ。自由な反面いつ壊れるかわからない関係を維持するため、夫婦は結婚後も常に愛情を確認しあうことが求められた。男女が経済力に縛られず、濃密なコミュニケーションでつながっていた古代の結婚事情を通して、現代の結婚を見つめ直す。

第2回 “三従”から“三くだり半”へ

“三従”から“三くだり半”へ
  • 本放送 8月10日 PM10時25分~PM10時50分(教育テレビ)
  • 再放送 8月17日 AM5時35分~AM6時00分(教育テレビ)

「家」を存続させることが第一義だった江戸時代。結婚は、親に決められた縁談に従うのが当然とされ、そこに本人の婚活の余地はなかった。結婚後、妻を待っていたのは、夫や舅姑に従い、家業に尽くして働く厳しい生活。しかしその夫婦関係は、妻の経済力の向上で大きく変化していく。養蚕業で知られた上州・群馬県では、江戸中期から妻主導型で糸引き・機織業が隆盛。経済力を握った妻たちの中には、働きの悪い夫との離縁を求め、縁切寺に駆け込む者も現れるようになる。かつて群馬県太田市にあった縁切寺の一つ、満徳寺に伝わる史料を読み解きながら、女性が忍従していたと思われがちな江戸時代の妻たちの、したたかな「自立」のプロセスを探る。

第3回 “自分磨き”の時代へ

“自分磨き”の時代へ
  • 本放送 8月17日 PM10時25分~PM10時50分(教育テレビ)
  • 再放送 8月24日 AM5時35分~AM6時00分(教育テレビ)

時代は江戸から明治へ。日露戦争後、都市部では産業化が進み、夫の給料で妻を養う暮らしが主流になる。女性にとって結婚は一生を左右する一大事となり、将来有望な男性を探すことが婚活の使命となっていく。当時創刊が相次いだ婦人雑誌では、親が良縁を求めて年頃の娘の写真をグラビアページに売り込むケースが登場。また男性の望む条件である「容姿端麗」に近づこうと化粧・痩身術などの記事も急増していく。女性にとって結婚が「生活の保証」となった時代の婚活の実態を明らかにし、男性の求める条件に合わせようと「自分磨き」をしていった女性たちの光と影を見つめながら、何が女性たちを単一の価値観に駆り立てていったのかを考える。

第4回 “幸せな結婚”は幻想か?

“幸せな結婚”は幻想か?
  • 本放送 8月24日 PM10時25分~PM10時50分(教育テレビ)
  • 再放送 8月31日 AM5時35分~AM6時00分(教育テレビ)

戦後直後は2割に満たなかった恋愛結婚は、昭和40年代前半に見合い結婚の数と逆転。その背景には高度経済成長による生活の豊かさと、歌謡曲をはじめとする恋愛を後押しした大衆文化の影響があった。しかし低成長期を迎えた昭和50年以降、日本では晩婚化が始まる。結婚が「幸せ」を必ず保証するものではなくなっていったのだ。以後現在に至るまで、結婚をめぐる価値観は、時々の経済・社会状況によって揺れ続けている。去年12月に行われた内閣府の調査では「結婚は個人の自由だから、結婚してもしなくてもどちらでもいい」と考える人が70%に上ることがわかった。果たして結婚は、本当にその役割を終えてしまったのか?今改めて問われている「結婚」の意味を考える。

8月のテキスト

8月・9月8月・9月
・婚活白書
・柔(やわら)の道

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