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食料たっぷり、天気も味方 北ア・16日ぶり生還の女性(1/2ページ)

2010年9月1日5時19分

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写真:女性が迷い込んだ湯俣川源流。左の鞍部(あんぶ)に双六小屋がある。右のピークが三俣蓮華岳。女性は稜線(りょうせん)の真ん中付近から左に下りる樅沢を下ったと見られる=鷲羽岳から女性が迷い込んだ湯俣川源流。左の鞍部(あんぶ)に双六小屋がある。右のピークが三俣蓮華岳。女性は稜線(りょうせん)の真ん中付近から左に下りる樅沢を下ったと見られる=鷲羽岳から

 北アルプスで行方不明になった東京都江東区の女性会社員(61)が30日、無事、発見された。3泊4日の予定で出発、足取りが途絶えてから16日ぶりの救助。その生還は幸運が重なった結果だった。

■岩陰、沢歩きの一行が発見

 「助けて下さい」――。沢を下っていた8人パーティーの先頭を歩いていた東京都杉並区のデザイナーの男性(61)は、岩陰から顔をのぞかせて泣き声で訴える女性を見つけてびっくりした。登山道もないこんな場所に、なぜ女性が1人でいるのか、と。

 発見された場所は三俣蓮華岳東面標高1700メートル付近の湯俣川の河原。かつて沢沿いに釣り橋や桟道が連続する登山道「伊藤新道」があったが、30年ほど前から通行不能になっている。水量の多いこの時期、沢登りに習熟した人でないと通れない。

 8人パーティーは、長野県松本市波田の山岳ガイド、木村道成さん(53)が引率する4泊5日の沢歩きツアーの一行だった。木村さんの山仲間でガイドを手伝ったデザイナーは「行く人は極めて少ない場所で、我々が通らなかったら(女性は)ダメだったと思う」と語る。

 発見されると、女性は石に腰かけ、堰(せき)を切ったように自分の行動を話し出した。13日に入山、14日に双六小屋を出て三俣蓮華岳に向かうまき道(迂回〈うかい〉路)をたどり、間もなく迷ってしまった……。

 余りに日がたっている。デザイナーが念を押したが、女性は「(13日に)間違いありません。お盆前に入山しました。メモしてあります」。道を失ってからは、さまよいながら沢を下った。発見現場近くで水に流されたため、動くのをやめ、岩陰で3日間過ごしたと説明した。

 木村さんらはお茶をわかし、コンデンスミルクを入れて飲ませた。メンバーが持っていた残りの食料から、食べやすそうなカステラを渡すと、おいしそうに食べた。

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