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食料たっぷり、天気も味方 北ア・16日ぶり生還の女性(2/2ページ)

2010年9月1日5時19分

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写真:女性が迷い込んだ湯俣川源流。左の鞍部(あんぶ)に双六小屋がある。右のピークが三俣蓮華岳。女性は稜線(りょうせん)の真ん中付近から左に下りる樅沢を下ったと見られる=鷲羽岳から女性が迷い込んだ湯俣川源流。左の鞍部(あんぶ)に双六小屋がある。右のピークが三俣蓮華岳。女性は稜線(りょうせん)の真ん中付近から左に下りる樅沢を下ったと見られる=鷲羽岳から

 受け答えははっきりしていた。「食器がある?」と尋ねると、しっかりした足取りで5、6歩歩いて自分で取りに行ったという。

 連絡先などもはっきり答え、木村さんが連絡のために1人先行し、下流の山小屋晴嵐荘から警察に通報した。

 双六小屋から三俣蓮華岳に至る登山道は稜線(りょうせん)伝いのルートと、東面の山腹のまき道がある。女性はまき道を行って湯俣川源流の樅(もみ)沢に迷い込んだ、と木村さんは推測する。

 幸運にも、迷い込んだ沢は比較的歩きやすい地形だった。好天気も続いた。女性自身、「天気が良かったのでもった。雨に降られたらダメと思った」と語ったという。発見場所から5キロほど下流の晴嵐荘は28日夕、大雨だったというが、局地的な雨で女性もぬれずにすんだようだ。

 木村さんらは「女性は強いですね。16日間も山中を迷って、なぜあんなに元気なのか」と驚いていた。

■動き回らず、消耗防ぐ

 大町署は31日、松本市内の病院で女性に事情を聴いた。女性は多量の食料を携行していたことや、あまり動き回らず、体力消耗を防いでいたことが分かった。

 14日、双六小屋でラーメンを食べた後、出発。雨で登山道が水浸しになり迷った。18日、手持ちの水がなくなり、沢に下りて岩陰でビバーク。26日か27日に食料が尽きた。

 夜は、替えズボンやヤッケ、雨具上下などを着込み、さらに緊急用の保温シートをかぶって寒さをしのいだ。30日朝、うとうとしていると人の声が聞こえ、思わず「助けて」と叫んだ。「軽はずみな行動からご迷惑をかけ、反省しています」と話し、31日昼前、退院し帰京した。(山田新)

     ◇

【女性が携行した食料】 バナナ2本▽キュウリ1本▽アルファ化米1袋▽袋菓子2▽あめ20個▽パン2個▽イカの薫製1袋▽ミニドーナツ1袋▽みかん1個▽オレンジ1個▽ゼリー5個▽インスタントみそ汁3▽お茶漬けの素▽栄養補助食品

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