くねくね科学探検日記

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RSS ニセ科学とかその3)

<<   作成日時 : 2010/08/31 22:22   >>

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SFマガジンで書いてる、ニセ科学関連の話の続き。

ホントはもうちょっと間を開けてから、こちらに載せようかなって思ってたんだけど、山本弘さんからあらぬ誤解をうけちゃったみたいなので、前回同様若干の編集と補足をしながらアップするよ。



山口市で、生後2ヶ月の赤ちゃんが死亡したのは、出生後投与が常識のビタミンKが与えられなかったためだとして、母親が助産師に損害賠償請求訴訟を起こしたってニュースが7月にあったよね。

この助産師はホメオパスでやんすの人で、ビタミンKの代わりにレメディを与え、母子手帳にはビタミンK投与の記録をしていたみたいで、ニセ科学による害の典型例として、ネット界隈ではかなり話題になっている。

母乳で育てられ、かつビタミンKが投与されなかった子は、2000人に1人の割合でビタミンK欠乏症になり、ほとんどの場合死亡する。

粉ミルク育児の場合は、粉ミルクにビタミンKが添加されているので、発症確率は減るけど、それでも全出生数に対して4000分の1で欠乏症は起きる。

そのため、標準医療では1980年代半ばから、乳児には、出産直後、生後1週間、生後1ヶ月の3回、ビタミンKのシロップが与えられるようになった。

これによってビタミンK欠乏性出血が防げるというエビデンスも90年代には確立していて、現代の助産師ならこのことを100%知っているはず。

現在の日本の乳児死亡率は、1000出産に対して2.9くらい。まあ3未満。

この数字には、超早産とか、重度の障害を持って生まれてきた子も含まれている。

ちなみに、世界平均は1000出産に対して45。そう思うと、現代日本の医学ってホントに凄いものだよね。

この状況下、つまり2000出産に対して6しか死なない現状で、2000に対して1死ぬような行為は、赦されるかというと、これはまあダメでしょう。

ただし、助産師のもとで出産育児を行う人で、その助産師がホメオパスでやんすの人で、さらにその助産師がビタミンKは与えずレメディだけ与えて、母子手帳にビタミンKを与えたと記載する……という事まで考えると、こういうことが起きる確率はそーとー低いと思われる。

今、年間の出生数は110万ほどで、そのうち助産院を利用する人は1%くらい。その助産院がホメオパシーを信じて、同じようにビタミンK投与をしないケースが1%あるとしても、20年に1回しか起きないようなできごとなわけね。

そういう意味では、ホメオパスでやんすの人たちにとって、この死亡事例はまことに確率的に不幸なできごとだった。

逆に、ニセ科学的なものを批判する人たちにとっては、まさに天の采配、神がホメオパシーを懲らしめろと奇跡を起こしてくれたとしかいいようがないかんじ。

少し視点を変えるけど、きくちさんは、ホメオパシーのレメディに薬効がないのは自明とツイッターでつぶやいてた。

でも、そりゃあどうかなあ。薬効がないのが自明なら、誰もそれを望まないよね。言いたい意味はわかるけど、自明という表現を使ってしまうと、それは「知恵のあるものが愚かなものを見下す」ニュアンスを強く漂わせる。

同じ問題意識を共有する仲間内なら、こういう表現でもそうだよねそうだよねってみんな思うけど。

でも、身近にホメオパシーに傾倒している人がいたとして、その人に向かってこういう物言いをしたら、反発されるだけで、全く受け入れては貰えないだろう。

きくちさんとは知り合いというか、オレは友達だと思ってて、彼のコトバの含みはよくわかるのね。

きくちさんが「自明」というのは、なんでこんな事さえわかってくれないのかなあっていう「嘆き」の表現で、それは、ニセ科学を憂いている仲間たちに向けた言葉なんだよね。

でも、世の中にはそういう理解はしなくて、ホメオパシーを信じている人に向かって「自明だろ」って言ってしまう人がたくさん居そうな気がする。上から目線で、相手をバカにしたニュアンスでこの言葉を使う感じね。

ホメオパスでやんすの人がいう、レメディの効果の原理はこんなかんじ。

標準療法の薬は利くかも知れないけれど、そのぶん自然治癒力を弱めてしまう。でも、薬を薄めてやれば、それを補うように自然治癒力が活発になるはず。で、薬をうんと薄めたもの=レメディを飲むことで、自然治癒力を最大限に引き出すことができるわけですよお客さん。

おお〜。なるほど〜。それなら利きそうだよね( ・∀・ )

この説明原理を、笑止って思う人は多いかも知れない。

けれど、それと同じように、漢方の説明原理を笑えるだろうか。

漢方の世界では、物理的には存在しない「経絡」を前提に「証」をみることで、それぞれの人の個性に合わせた薬を処方する。

でも、その説明原理の体系は、結局は非現実だ。

中つ国の設定が如何にリアルであっても、それはやっぱりファンタジーであるのと同じで、漢方医学の説明原理も、ファンタジーなんだよね。

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