日本航空は三十一日、人員削減や新しい事業体制を示した更生計画案を東京地裁に提出した。計画は、初年度の二〇一一年三月期に六百四十一億円の連結営業黒字を達成することを目標とし、十一月末をめどに認可される見通し。日航の管財人である官民出資の企業再生支援機構は、一三年一月までに支援を終え、経営再建を完了させる。
当初、提出は六月末の予定だったが、取引先の銀行団との調整が難航し二カ月遅れとなった。一方、新規融資をめぐる銀行団との交渉は九月以降に先送りする。
日航の一一年三月期の営業損益は、経営破綻(はたん)した今年一月の時点で、三百三十七億円の赤字を見込んでいた。しかし、航空需要の回復やコスト削減を前倒しで実施したことから、初年度の黒字見通しに引き上げた。一〇年三月末に九千五百九十二億円だった債務超過も、一一年三月末には二百四十八億円の資産超過に転換する。
銀行団には五千二百十五億円の債権放棄を要請。企業再生支援機構から三千五百億円の出資を受ける。一〇年度中に約一万六千人の人員削減を実施することや、ホテル事業の売却など事業再編も盛り込んだ。また、ジャンボジェット機など老朽機百三機を退役させ、燃費効率の良い機材への切り替えを推進。再上場については、「視野に入れている」(企業再生支援機構)とした。一方で、格安航空会社(LCC)の設立については「検討する」との表現にとどめた。
同日開かれた記者会見で、更生計画について稲盛和夫会長は「絵に描いたもちにならないよう推進したい」と決意を述べた。
また、同日午前、更生計画の提出に先立って開かれた閣議後の記者会見で前原誠司国土交通相は「(計画が)着実に実施されるよう国交省としても指導監督していきたい」とした。
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