広島東洋カープの本拠地として親しまれ、被爆地復興のシンボルだった旧広島市民球場(中区)が31日、53年の歴史に幕を下ろした。市民たち約千人が見守る中、大学生やカープの元選手たちが交流試合を楽しみながら、別れを告げた。
試合後に「終球式」があり、カープOB会の長谷部稔会長が、大学生のミットに白球を投げ込んだ。参加者はグラウンドに整列し「ありがとうございました」と頭を下げた。試合中は私設応援団が駆け付け、名物だったトランペットを響かせた。この日は、球場で記念写真を撮る市民も目立った。
交流試合を企画したサークル「エントランス」代表の広島修道大4年橋本沙代子さん(21)は「愛されている球場だとあらためて感じた」。長谷部会長は「原爆で焼け野原になった広島で、市民は球場に元気づけられた。感謝の気持ちでいっぱい」と語った。
昨年春、マツダスタジアム(南区)が完成したのに伴いカープが本拠地を移転した。市は、1957年に誕生した旧市民球場を緑地広場などに一新する計画。球場廃止条例に基づき1日に閉鎖し、年内にも解体工事を始める。
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【写真説明】グラウンドに整列し、球場に感謝の気持ちを表す交流試合の参加者
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