男性職員が小笠原諸島から持ち帰ったというサンゴの一部。計9キロ余=秋田県
秋田県男鹿市の県立男鹿海洋高校の海洋実習船・船川丸(約488トン)に乗組員として乗船した30代の男性職員が、国内航海実習中に小笠原諸島のサンゴを無許可で持ち帰っていたことが31日、同校などへの取材でわかった。海の生態系を守るため、無許可でのサンゴ採取を禁じた東京都漁業調整規則違反の疑いがあり、秋田県教委は「学校の調査報告を見て処分を検討したい」としている。
男鹿海洋高校によると、船川丸は昨年9月14日、生徒や教師、職員ら計34人を乗せて出港。26〜29日に小笠原諸島・父島の二見港に停泊した。非番だった職員が浜辺を散歩中、打ち上げられた高さ20〜30センチのサンゴを見つけた。小さいサンゴも含め5個を船に運び、自宅まで持ち帰ったという。
朝日新聞の取材に対し、職員は「浜辺にいた島民に『持って帰ってもいい』と言われた」と持ち帰りを認めたが、採取した日時や回数、船内の保管場所については「よく覚えていない」と話した。
今年5月、同校に「サンゴを持ち帰った職員がいる」と名指しで情報が寄せられ、校長が職員に事情を聴いたが、行為の違法性については調べないまま県教委に報告、処分はなかったいう。
斉藤裕義校長は「認識が不十分だった。再調査して改めて報告したい」と話し、県教委も「違法性が分かれば処分を検討する」としている。(田中祐也、笠井哲也、矢島大輔)