(セ・リーグ、中日9−3広島、19回戦、中日12勝7敗、31日、ナゴヤドーム)試合後のグラウンドで、中日の投打のヒーローとなったチェンと荒木が笑顔を振りまく裏で、落合監督の声は怒りで震えていた。「緊迫感がない。あと20何試合、優勝を争うチームがやる試合じゃない」。
2点を追う四回。無死一、二塁で藤井が送りバントできなかった。この後に四球やチェンの内野安打が出るなど打線がつながり、4−2と逆転したため目立たなかったが痛いミスだった。
六回も無死一、二塁で荒木がバント失敗の捕邪飛に倒れた。この回も3点を加えたが、こちらも展開次第では致命的だ。救援陣もピリッとせず、八回から登場した清水昭、小林正は得点圏に走者を背負って1回を投げきることができなかった。
4カードぶりに3連戦の初戦をものにした。1週間後、阪神戦に登板予定のチェンが107球と余力を残して降板、浅尾や岩瀬を休ませられたのも大きい。ただ、首位の阪神より7試合も残り試合が少ない3位という立場を考えれば、どこが相手でも落とせない試合が続く。荒木はお立ち台で「残りの試合もがむしゃらに全力でプレーしたい」と話した。9−3の勝利で見せた指揮官の怒りを選手はどう受け止めるか。逆転優勝の鍵はそこにある。