サイトウ・キネン・フェスティバルを開催中の長野県松本市で31日、本格復帰公演の出番を大幅に減らすことになった指揮者の小沢征爾氏(74)が記者会見し「9月にはできると思っていた。みんなに申し訳ない」と語った。
小沢氏は食道がん治療後、持病の腰痛が悪化。主治医から長時間の指揮を止められたため、同フェスティバルで9月5〜9日に予定していた4公演(延べ8演目)の指揮を、下野竜也氏(40)に交代した。ただ「どうしても指揮をしたい」と、全公演の冒頭で「(恩師の)斎藤秀雄先生が大好きだった思い出の曲」という、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」第1楽章(約7分)を指揮する。
代役の下野氏も緊張した面持ちで会見に同席、小沢氏は「今の若い人はレベルが高い。何も心配していない」と激励した。会見後は2人のリハーサルを公開。小沢氏は熱のこもった指導を見せ、「もうちょっとやらせて」と懇願する場面もあった。
小沢氏は1月に食道がん治療のため休養に入り、7月末から音楽活動を再開。がん治療は既に終わり経過も良好という。