広島や長崎で被爆し、戦後、帰国した韓国人の健康管理手当を打ち切ったのは不当だとして、韓国に住む被爆者の遺族が、国と大阪府を相手取り、あわせて5700万円余りの損害賠償を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。
訴えを起こしたのは、広島や長崎で被爆し、戦後、帰国した韓国人51人の遺族、およそ200人です。訴えによりますと、遺族たちは、昭和49年、国が海外在住の被爆者には健康管理手当を支給しないとする通達を出し、手当を打ち切ったのは不当だとして、国と大阪府に対し、あわせて5700万円余りの損害賠償を求めています。3年前には、最高裁判所がこの通達を違法とする判決を出し、国に賠償を命じるなど、海外在住の被爆者本人への救済は進んでいますが、遺族による集団提訴は初めてだということです。原告の弁護士や支援者は「遺族は、悔しい思いで提訴に踏み切った。国は一日でも早く賠償に応じてほしい」と話していました。これに対し、厚生労働省では「3年前の最高裁判所の判決で示された要件に該当する被爆者の遺族と確認できれば、和解に応じていきたい」とコメントしています。