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2010/07/26

保守王国に生きる

 この前の参院選で、僕の住んでいる栃木という地域で、民主党と自民党の、それぞれ支持を受けた候補者が、大接戦の末、自民党の議員が当選した。僕自身、自民の議員に一票を入れたのだが、なぜか手放しでは全く喜べない。なぜ喜べないのかをずっと考えていた。

 そして、なんとなく出た答えを書いていく。まず、『保守』というものは、文化や伝統を守るという反面、異質なものはとことん『排除』する性質を持っている。つまり、新しい物事や、常識的に見て非常識と捉えられるものは、『保守』の人間からすれば、『異質』なものでしかない。かつて、宇都宮では『船田王国』とまで呼ばれたように、自民党の推薦する船田一族の独壇場だった。だが、ある時期を境に風向きが変わる。そのきっかけとなったのが、船田元議員の不倫問題だった。この船田は当時、自民のプリンスとまで呼ばれて出世街道をまい進していた。それが船田の不倫騒動により風向きが変わる。これに週刊誌は飛びついた。当時、不倫劇を描いて流行していた失楽園(僕は面白いとは思わないが・・・)という小説になぞらえて、政界失楽園と揶揄されるようになった。政治家の力量うんぬんよりも、この、『不倫』という非道徳的行為を嫌い、宇都宮の有権者たちは自民以外の他党へと票が流れた。その受け皿の第一党となったのが民主党だった。地域柄、民主党の新しい風を入れたいというよりも、保守的過ぎて不倫という行為が許せなかったために票が流れたと言った方が正しい。以後、船田は当選したり落選したりを繰り返す。

 そんな保守色の強い地域は、全てにおいて『保守的』だ。それが職に関することでも例外ではない。いまだこの地域は、学校卒業してから正社員で就職するのが当たり前だと思われている地域で、このレールから外れたものは『異質』なものとなり、排除の対象となる。一度、非正規に落ちたものが正規になるには、その間にある大きな壁を超えなければならない。それがほかの都道府県よりも強固にあるように思う。

 いつだったか、ある工場に請負労働者として行ったことがある。基本的にどこでも正社員と非正規社員とでは大きな溝がある。そこに僕の同級生の母親だという人物がパートで働いていた。僕は懐かしい名前を聞いて思わずうれしくなり、今、彼はなにをしているのか聞いてしまった。すると、急に声を張り上げて、「あんたなんかと違って正社員で働いてるわ。一緒にすんな」と怒鳴りつけられた。直接雇われているパートと外部から来た請負とでも壁があるのを知る。もちろんここでは正社員とも仕切りがあり、食堂を使わせてもらえないなんてのは当たり前だった。

 この、ある同級生の母親から広まったのだろうか?他の正社員や公務員として働いている者たちから、しだいに避けられるようになっていく。「悔しかったら正社員になってみろよ」「だからお前はダメなんだ」突然そんな言葉を浴びせられるようになり、電話の着信拒否もされるようになった。今ではすっかり友人なんていない。人間というものは、全てが利害関係でつながっていて、害しかないと思われる人間は簡単に切れるもの。そんな存在。今さら自分のことながら笑える。同年代の人間ならばもう何度か結婚式などにでも呼ばれていても不思議ではないだろうが、僕は呼ばれたこともないし、呼べる人間もいない。心配ないさ。裏切られるのはもう慣れたから。

 そんな土地で、なにかを変えようと、一度、自衛官になろうと思ったときがある。すると今度はたくさんの人から「こんな国のために命を捨てることはない」と引き止められた。保守的で理想主義者も多い。考えうる最悪の組み合わせだ。保守王国に生きる。レールから外れた人間にとっては息苦しい。あるものはかつて自分のことを『透明な存在』だと言った。ひょっとしたら、今は僕も『透明な存在』なんだろうか・・・。

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コメント

はじめまして。
今日少し落ち込むことがあって、ダメ人間で検索したところ(笑)こちらのブログに辿り着きました。
栃木出身の友人の話と重なる部分もあって、保守的という認識を新たにしました。

突然失礼致しました。
また立ち寄らせていただきます♪

こんばんは。

日本史の中で階級制度や差別がなくなってから(なくなったとされるのは)、ほんの100数十年しかたってません。人は制度よりも慣習によって生きるので、なかなかそういった偏見はなくならないんじゃないでしょうか。

ただ他の国よりも日本の方が、努力すれば何とか上へ上がれる確率は高いと思いますよ。

しばらくお返事なくてすいませんでした_(._.)_今回のお話自分もグッサとくるところあります。自分は、以前派遣でお仕事していたのですが、やはり世間体で、車の修理の仕事で正社員になりました。専門学校卒業して入ったところがサービス残業先輩の自殺など本当はいい思い出がなくやりたくなかったのですが・・・・世間では派遣=まともではないのイメージが根強いですよね。実際自分は、車業界もどって失敗したと思っています。結局は、残業代なしのボーナスもなし派遣やっていたときのほうが暮らしていた時のほうが生活らくでした(^^;工場とかの正社員とかは時間分しっかりもらえるからいいかもしれませんが、なんでも正社員だからいいというわけではありません。むらのさん知人の母親は考え方が屈折していますね。どんな仕事でも取り組み方に仕事の意味があるのではないかと思います。むらのさんのブログみるとまじめな方だと思いますのでその人の評価は心外です。まあそんなババアも世の中いるんだよねって思ってたほうがいいですよね。

めぐみさんへ
 
 やはり栃木出身者は程度の差こそあれ、たいてい保守的なんですね・・・。いたいほど身にしみてます。また来てください。
 
tomiさんへ
 
 そうかもしれませんね。アメリカでも黒人の迫害は陰湿な形で残ってます。ただ、同じ人間かと思うほどの豹変ぶりには驚きます・・・。
 
S56生まれさんへ

 
 僕の母親ではなく、同級生の母親なんですが、まあ、似たようなもんです・・・。
 おそらく、ほとんどの人が勘違いしていますが、派遣と請負は別物です・・・。派遣ならば派遣法で守られますから・・・。
 自殺問題はなんとかしないといけませんね。国家的レベルの問題ですが・・・。なんというか、この国は逃げ場がないんですよね。だからみんな一人でためこんで、自殺か精神病院かという選択肢しかなくなるんです。もっと、いろんなことに対して寛容な社会にならなければいけないなと思います。

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