JR名古屋駅前のビルに入居する松坂屋名古屋駅店が29日閉店する。名古屋市内での百貨店閉店は戦後初めてで、10年間続いてきた「5社7店体制」にも幕が下りる。他の百貨店にとっては競争相手が減る格好だが、ショッピングセンター(SC)の攻勢や景気低迷で市内の百貨店売上高は減少傾向をたどっており、各店とも生き残りに向けた対応を迫られている。
1974年開業の松坂屋名古屋駅店は入居するビルの建て替えに伴い閉店する。不採算店ではないが、ビルを所有する東海旅客鉄道(JR東海)と、建て替え後の入居条件などで折り合いが付かなかった。
他社にとって、ライバル店が一つ消えることは本来ならプラス材料のはず。だが「閉店後に売上高が各店にそのまま振り分けられることにはならない」とみる関係者は多い。中部でもSCやアウトレットモールの開業が相次ぎ、百貨店の競争力が低下しているためだ。
名古屋市の人口は2009年10月1日時点で225万人と91年より5%増えた。一方、市内の百貨店売上高は5社7店合計で09年が前年比10%減の4052億円。ピークの91年と比べると1000億円も減っている。
百貨店が長期低迷に陥っているのに対し、例えばイオンは00年以降にグループで名古屋市内に大規模SCを7カ所開設。好調なSCではテナントを含め売上高が300億円を超えるとみられており、丸栄に匹敵する。
百貨店側も対抗策として、03年に売り場を縮小した丸栄を除いて各店は増床を繰り返したが、裏目に出た。売り場効率の劣化を招いたのだ。
年間売上高を年末の売り場面積で割った1平方メートル当たり売上高は09年で110万円と00年に比べ22%減った。05年開催の愛知万博前の04年から6年連続で前年割れを続けており、増床が効果を上げずに百貨店の退潮が静かに進行したことがわかる。
厳しい経営環境が続くなか、各店は現状打開へ知恵を絞っている。増床に頼らない戦略で店舗の魅力を高め、生き残りを模索する。
名鉄百貨店は今秋の改装に合わせて婦人服を中心に23ブランドを新たに導入する。うち13ブランドが松坂屋名古屋駅店から移籍する格好だ。50~60歳代女性の取り込みを図る。
ジェイアール名古屋高島屋は20~30歳代女性向けのブランド、名古屋三越栄店は30~40歳代の男性・女性向けのブランドとそれぞれ得意分野を強化する。
松坂屋名古屋店は手薄だった若い男性向けに2プライススーツのブランドを導入。26ブランドを新規導入するうち、10ブランドが名古屋市内の百貨店に初めて売り場を設けるという話題性で集客につなげる。
松坂屋名古屋店、JR名古屋駅、百貨店、東海旅客鉄道、名鉄百貨店、ショッピングセンター、イオン、SC、売上高、アウトレットモール、閉店、ビル、丸栄、名古屋三越
日経平均(円) | 8,824.06 | -325.20 | 31日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 10,009.73 | -140.92 | 30日 16:30 |
英FTSE100 | 5,149.26 | -52.30 | 31日 11:56 |
ドル/円 | 84.54 - .56 | -0.57円高 | 31日 19:50 |
ユーロ/円 | 107.30 - .34 | -1.05円高 | 31日 19:50 |
長期金利(%) | 0.975 | -0.045 | 31日 17:47 |
NY原油(ドル) | 74.70 | -0.47 | 30日 終値 |
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載
詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)