経営状態の悪化を受けてまとめた阪南市立病院の改革プランを評価する有識者委員会は27日、病院の経営を民間に委託して市の財政から切り離す「公設民営」を答申した。
プランは単年度黒字を達成するには全185床のうち、1日平均で62%に当たる115床の利用が必要と試算。しかし今年度は平均60床程度にとどまっている。市立病院の累積赤字は約28億円に上り、評価委は「資金不足を補うため市は年間5億円以上を病院に支出している。市政運営に早晩支障をきたす」と指摘した。
14、26日の2回の会合で、評価委は「医師招へいに全く力を発揮できなかった。市が経営責任を担うのは無理」と厳しく批判。診療体制を自ら回復することは困難▽医師と看護師の働き場所としての魅力▽老朽化病棟の建て替えの必要性がある--として指定管理者制度の採用を求めた。
委員長を務めた公認会計士の長隆氏は「再生には今年度中に建て替え工事を着工することが必要。速やかに進めれば再生できると確信を持っている」と述べた。福山敏博市長は「公設公営で維持することは難しく、指定管理者制度は検討していた。答申を真摯(しんし)に受け止め、市の方針を早急に示したい」と述べた。【酒井雅浩】
毎日新聞 2010年8月31日 地方版