国外在住の被爆者に対し、国が通達によって03年まで健康管理手当を支給しなかったのは違法として、韓国人被爆者の遺族約200人が30日、国などに計約5730万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。在外被爆者本人による訴訟では、通達を違法とした最高裁判決(07年11月)が確定し、和解が進んでいるが、遺族による集団提訴は初めて。
訴状によると、原告は広島と長崎で被爆した韓国人51人の遺族。被爆者に対する健康管理手当の支給を巡っては、旧厚生省が74年、対象を国内居住の被爆者に限定するよう通達。在外被爆者本人による訴訟が相次ぎ、通達は03年廃止された。
今回の訴訟で、原告側は、「手当が通達によって受けられなかった」と主張している。【日野行介】
毎日新聞 2010年8月31日 東京朝刊