学研都市のしごと館、買い手つかず
今年3月に閉館した職業体験施設「私のしごと館」(京都府精華町、木津川市)の建物と土地を売却するため、雇用・能力開発機構(横浜市)が募った一般競争入札への参加申し込みがなかったことが、30日分かった。
機構を所管する厚生労働省と同機構は9月8日に予定していた入札を中止。早期に再入札を行う方針だが、次回も買い手が現れなければ、関西学研都市の中心地に約581億円を投じて建設した巨大施設が「空き家」になる恐れも出てきた。
機構によると、入札の参加受け付けは今年5月末に開始し、30日で締め切った。7月の現地見学会には4者が参加したが、申し込みはゼロだった。
しごと館は若者への職業意識の育成などを目的に、2003年にオープンした。建物は鉄筋コンクリート3階建てで、延べ床面積は約3万5千平方メートル。開館以後、毎年ほぼ30万人を超す来館者を集めたが、年間10億円以上の赤字などが問題になり、08年末に廃止が決まった。
売却方針についてはこれまでから、施設の巨大さや不況の影響から「購入者が現れるのか」と疑問視する声が地元や学研関係者から挙がっていた。厚労省育成支援課は「売却の方針は変更しない。再度入札を行い、新しい活用主体に引き渡せるよう努力したい」としている。
京都府は「国の責任で学研都市にふさわしい施設として整備すべきとの立場は変わらない。特区制度を活用した医療・農業バイオの研究拠点化を要望していく」(商工労働観光部)としている。
【 2010年08月31日 09時09分 】