新日本プロレス顧問で鬼軍曹の愛称で親しまれた山本小鉄さんが亡くなった。力道山の最後の弟子として日本プロレスでデビューし、47年間のプロレス人生の中で多くの名レスラーを育てあげた。小鉄さんは6月7日発行本紙から5週間(20回)にわたって「鬼乃自白」と題した一代記を連載した。
最終回では「思い残すことがないように、俺が思っていることを書きたい」と、プロレス界への“遺言”を残した。本紙で連載した「鬼乃自白 最終回」を掲載します。
(プロレス面では小鉄さん追悼グラフ、レスラーの追悼コメント掲載=上の写真)
厳しいことを言うかもしれないが、今のプロレスラーを見ているとレスラーじゃないヤツがいっぱいいる。これは非常に情けない。正直、時代の流れって言われたらそれまでかもしれない。でもプロ意識を持って本気で取り組んでいるヤツが少なくなっている。
俺はよく講演で「月給が30万円なら10倍の300万円の仕事をしろ」と言う。レスラーなら年収1000万円なら1億円の仕事をしてこそ、本物のプロだ。俺も多い時は7つの仕事を掛け持ちしていた。ロゴをつけて、女のパンツまで売った。少しでも会社の業績を上げようと必死だった。昔の新日本が栄えたのは、そういう意識を持っているヤツが多かったからだ。
でも、今は「そこそこの仕事をしてればリングに上がれるし、給料も入るから」と思っているヤツがどれほど多いことか。だから俺は言う。レスラーがサラリーマン化しちゃっているとね。これはお金を払って見に来るお客さんに対して非常に失礼だ。
俺は24~25年前から女子プロレスや他団体も教えている。教えることは新日本と一緒。特に女はスパーリングをやらせたら弱い。でも、これはレスリングの基本だからやらせた。女であろうと絶対に容赦はしない。できないヤツはぶん殴った。相手が苦しくて引っかかれたこともある。泣き出すヤツも何人かいた。でも俺は「泣くなら帰れ。やめろ」としかり飛ばした。日々の練習について来られないヤツがどうしてお客さんの前に立つことができようか。
俺はプロレスラーは裸になるだけで5000円の価値がなければならないと思っている。これにスタミナ、技、強さ、そういうのを見せて1万~2万円の価値が出る。でも残念ながら今はそういうレスラーは少ないよね。ウチの選手でも十分とは言えない。別にジャイアント・バーナードみたいに化け物になれって言ってるんじゃない。小さかったら腕がすごく太いとか、胸が異常に出ているとかいろいろある。それがプロレスラーだ。
昨年、ウチにあるインディの選手が上がった。俺は悔しかった。なんでこんな選手がウチのリングに上がっているのかと。休憩の時、控室に怒鳴り込んでいった。みんなシーンとなった。でも俺はプロレスに対して誇りを持っている。けなされたらたまらない。だからこの年になっても、練習をしている。プロレスラーと名乗るのは結構。でも練習をしないのは許せない。
プロレスに携わった以上、俺が生きている間はこれからも目を光らせるつもりだ。プロレスラーは死ぬまで現役。そして、死ぬまで練習はできる。これが俺のモットーだし、これができないならレスラーを名乗るなと言いたい。自分の職業だもん。誇りを持たなきゃ。
最後に今の新日本戦士に言いたい。もっと強くなれ。強くなれば、自然にお客さんはついてくる。チャラ男って言われても強ければいい。
「誰でもかかって来い!」と胸張って言えるし、勝ち続けることもできる。俺はそのために「KING OF SPORTS」をライオンマークに入れたんだから。
(2010年7月9日付)
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