高木マニア堂

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265:浅草・松屋の屋上にこんなモノがあった

ノンセクション2010年08月30日 08:00 | フォルダ : 

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<2010年6月=東スポ携帯サイトより>


 日本最古の屋上遊園地である「松屋浅草」のプレイランドが5月31日をもって閉鎖された。

 現在は建設中の東京スカイツリーの撮影スポットとして人気が高まっていただけに残念…。

 松屋デパートと屋上遊園地は、2階にある東武線の浅草駅開業(昭和6年)と同時に開業。いわゆる「デパ地下」が、今現在もセレブなイメージを保ち続けているのとは対照的に、最上階のさらに上に位置する「デパオク」は、
なぜか場末なイメージが強い。

 そんな、デパートの屋上遊園地だが、当時はかなりハイカラなスポットとして子供たちに人気だったという。

 飛行塔、豆汽車、屋上の両端を行き来するゴンドラなどが人気を呼ぶ中、特に人気を集めていたのが昭和25(1950)年に完成した水平回転式の観覧車「スカイクルーザー」だ。

 観覧車といっても、現在主流のタイプとはかなりデザインが違う。中央に地球を模した球体が置かれ、その周囲を覆う土星の輪のような部分にベンチが設置、約60人が乗れる構造となっている。輪の回転ととともに浅草や隅田川周辺の景観が360度にわたって楽しめるという施設だ。

 現在ならば、スカイツリーを最も好位置で眺められるスポットとして人気を集めたことだろう。

 夜はネオンが光り輝き、当時は「東京のシンボル」として、銀幕にもちょくちょく、その姿が登場。大抵は隅田川の対岸から、巨大軍艦のようにも映る松屋全景とともに遊園地が映し出される。

 少し例を挙げてみても木下恵介監督の「カルメン純情す」(昭和27年・松竹)、川島雄三監督の「お嬢さん社長」(昭和29年・松竹)、久松静児監督の「渡り鳥いつ帰る」(昭和30年・東京映画)など、数多くのモノクロフィルムに、松
屋屋上に光り輝くスカイクルーザーの勇姿が映されている。

 スカイクルーザーは50年前の昭和35(1960)年、老朽化のため撤去。わずか10年の寿命だった。そのため、まだモノクロが主流だった当時の日本映画の中では、カラーの映像を見ることはできない。

 ところがだ。日本を舞台とした1955年公開のサミュエル・フラー監督によるハリウッド映画「東京暗黒街・竹の家」(HOUSE OF BAMBOO=20世紀FOX)で、バッチリとカラー映像が残されている。

 しかも遠景ではない。クライマックスでは回転するスカイクルーザーの中で、ロバート・スタック(捜査官)とロバート・ライアン(ギャング)がド派手な大銃撃戦を繰り広げている

 2人は、スカイクルーザーに乗り込むまで、白昼の遊園地内(50年前の日本の和服率の高さにも驚かされる!)を走り回っているため、松屋デパート屋上の様子が、非常に克明に映し出されている。

 山口淑子(李香蘭)や早川雪洲ら日本人俳優も出演しているものの、内容は典型的な「アメリカ人が思い描くニッポン」(一部では〝国辱映画〟とまで呼ばれていた)。

 だが現在となっては、東京、横浜、鎌倉など当時の日本、そして松屋デパート屋上の遊園地の風景をカラーフィルムで収めた貴重な映像記録といえる。

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