悲痛な表情で渡米したアントニオ猪木＝成田空港（撮影・棚橋慶太）
元プロレスラーで新日本顧問の山本小鉄さんが２８日朝、低酸素性脳症のため長野県軽井沢町の病院で死去した。６８歳だった。
新日本旗揚げメンバーを失ったアントニオ猪木・ＩＧＦ会長（６７）は２９日、渡米前に成田空港で取材に応じた。「もう全然、会っていなくてね。オレが（９８年に）引退したその後、会ってないね」と寂しそうにつぶやいた。
自ら「ホント、いろいろあった。クーデターもあったし…」と切り出した。８３年８月、猪木はいわゆる「クーデター事件」で、山本さんらから新日本社長の座を追われた。同年１１月に猪木は復権するが、同志だった２人には微妙な距離ができた。猪木は「生きる道が違ってしまえば、しょうがないよね」と苦い思いをにじませた。
山本さんとの一番の思い出に挙げたのは、自身が日本プロレスを追放された際、山本さんが真っ先に行動をともにしてくれたこと。「小柄だった分、努力したし、頑張った。鬼軍曹という非常にいいキャラクターを持っていた。そういうキャラクターがプロレス界にいなくなったね…」。“猪木新日本”になくてはならない存在だった山本さんをしのんでいた。
(２０１０年８月２９日)