ネパールで今、韓国ブーム(下)

韓国語試験に4万2000人以上が殺到、競争率10倍に

合格は宝くじに当たるようなもの

 ネパール人はなぜそんなに韓国行きを望むのか。韓国は「最もたくさん給料をくれる国」で、そのため「多くのネパールの若者にとって、韓国行きは一つの大きな夢」として位置づけられているためだ(6月16日付ヒマラヤ・タイムス)。ネパールでは人口2890万人のうち、約300万人が海外で働いている。このうち、韓国に行った勤労者は、時給最低4100ウォン(約290円)、1日平均10時間、1カ月で25日働くと、残業手当を含めて110万ウォン(約7万7920円)-120万ウォン(約8万5000円)を受け取る。ところが、ネパールから近いインドやマレーシア、サウジアラビア、カタールなどアジアやアラブ諸国での月給は200ドル(約1万6890円)前後、香港でも350ドル(約2万9550円)程度にすぎず、韓国の3分の1から5分の1の水準だ。

 「ネパール人にとって韓国語試験への合格は、まさに宝くじに当たるようなものです」

 「ネパールで」というインターネット交流サイトを運営するリュ・ペサン代表(45)の言葉だ。「おととし3月の試験の際には、ネパール首相室の職員をはじめ、全国の公務員や教師、看護師、大学生など、ネパールのエリートたちはもちろん、農業従事者や韓国語旅行ガイドや韓国食堂の従業員までが合格し、韓国へ行きました」。おととしは3万1530人が受験し、6700人が合格した。彼らは韓国で最短3年から5年(2年延長可)働き、ネパールに帰ると中産層になることができる。ネパールの会社員の月給は、大体5万ウォン(約3540円)-10万ウォン(約7080円)程度なのに対し、韓国ではその10倍から20倍の月給を受け取ることができるためだ。

韓国語学院の乱立に悪徳ブローカーまで

 しかし、韓国熱の副作用も出てきている。今年6月15日-18日、受験申込書を配布する際には、「一度に押し寄せた数万人の受験生が、数十時間にもわたって並び、カトマンズの街中にあるダシャラス・スタジアムをぐるりと囲んだ」と、「カトマンズ・ポスト」が報じた。そのうち十数人は、徹夜で並んだ後照りつける日差しの下で待ち続けて倒れ、応急手当てを受けたり、病院に運ばれたりした。ネパールの多くの官公署や病院、旅行会社などでは、業務がまひするほどだった。

 さらに、この時期を前後して、現地人が運営する100校以上の韓国語学院が雨後のたけのこのように乱立し、いい加減な授業を行い、一人当たり毎月5000ネパールルピー(約5620円)-1万ネパールルピー(約1万1260円)を受け取った。これは、ネパール人の平均月給を上回る額だ。合格者が一度に韓国に行けず、数十-数百人ずつ2年半にわたって韓国に入国するため、「わたしたちを通せば早く入国できる」というブローカーに、さらに数十万ルピー(約数十万円)を巻き上げられるケースも少なくなかった。ネパール労働省外国雇用支援局のマヘシ・アチャリャ総括チーム長(32)は、「今後は少ない人数で、毎年2回から4回ずつ試験を受けられるよう制度を改善し、最終的にはさらに多くの人が韓国で働けるよう、韓国政府に要請した」と話した。

カトマンズ=李恒洙(イ・ハンス)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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