きょうのコラム「時鐘」 2010年8月31日

 異例ずくめの大相撲秋場所の番付となった。野球賭博にかかわって謹慎処分となった10人の関取が、そろって降格した

幕内6人が十両に落ち、代わって最多の9人が昇進した。七尾出身の栃乃洋もその一人で、地力のある力士は別にして、思わぬ水増し昇進に居心地の悪い関取もいるだろう。自慢のできぬ番付である

相撲の流儀にならって、私たちは番付が好きである。全国の名所や人気温泉地の番付がある。ヒット商品番付も、よく見掛ける。観光地には、方言番付の土産品が決まって並ぶ

ご存じ森の石松の物語に、清水一家の子分の番付が出てくる。酒とすしを振る舞いながら、石松が江戸っ子に尋ねる。「一に大政、二に小政…」。目の前の当人の名がさっぱり出てこない。「おい、大事なヤツを忘れちゃいないか」。番付を間違えて、ひと騒動起きる

長寿番付というのもある。敬老社会の自慢のタネとして毎年、国や自治体が発表するのだが、とんだ水増しやら不祥事が発覚した。「バカは死ななきゃ治らない」という文句が石松騒動のオチだが、死んでも治らないバカなことが本当にあった。