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[20761] 【習作】おれドラキュラくん(2035年 悪魔城 転生)
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/29 16:54
**********

本作品は悪魔城ドラキュラシリーズの二次創作作品です。
作者の独自解釈や誤解による元作品との乖離が発生する場合があります。
また人によっては不快に感じるネタなどが存在することも有りますので、閲覧についてはある程度の自己責任を持ってしていただけるとありがたいです。

舞台は2035年、すなわちキャッスルヴァニア暁月の円舞曲の時代を始まりとして物語を始めます。

**********

ユージンといいます。

練習です。練習です。
大事なことなので二回言いました。

ずっとやってみたかったんです。

たぶんツッコミどころ満載です。

ユージンは日本語が不自由だと友人に言われるので、
(日本生まれ日本育ちですが)
構成上もしくは文法上の問題点を箇条書きで教えていただけると、
今後のためになりとても嬉しいです。
もちろん他のツッコミも所望しております。

また続くか続かないかもわかりません。
いけるとこまで行ってみようと思います。

よろしくお願いします。
あと私は厨二病と妄想癖です。



[20761] 暁月編プロローグ
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 20:32
う~~、神社神社。
今 神社をもとめて全力疾走している僕は
高校に通うごく一般的な男の子
強いて違うところを挙げるとすれば
トラックに轢かれてないのに転生したってところかナーー
名前は来須蒼真(クルスソウマ)

ごめん。マジふざけすぎた。
転生してもう18年。
ぶっちゃけこの年までイベントが起きないと、転生した理由がわからん。
せっかく4歳から筋トレかかさずやって割れた腹筋を手にいれたのに。
魔王でも攻めてこねーかな。
現在2035年。
個人情報端末が幼稚園児にまで持たされる科学の時代にそんなことはおきるはずもにゃい。
話は変わるが、この時代驚きなのは電線がめちゃくちゃ減ったことだな。
端末の電波と干渉するとかなんとか。
まぁそんなことはどうでもいい。
重要なのは、結局俺が転生したのには特に理由も原因もなかったってことだ。
前世の名前、齋宗真(イツキソウマ)から名前だけ変わってなかったの幸運だった。
俺にとって得しかない、この転生は。
かつて160cmに届かなかった俺の身長は、今では172cm!
たぷんたぷんだった腹は引き締まり割れた腹筋(前述)!
そしてイケメン!
ダメ押しのグリリバヴォイス! 自爆スイッチを押せって言いたくなるね。なるよね。
それと幼馴染。
ここまで揃って高校三年までイベントなしってただの強くてニューゲームじゃね?
少し残念なのは前世で最後に母さんに送った誕生日プレゼントのお礼のメールを見ていないことくらいだ。
就活始まる前に転生したせいで、面接とか練習してないのも痛いな・・・。
まぁなんにせよ転生なら仕方ないね。仕方ないね。

・・・ん?幼馴染?弥那は嫁になんぞやらん!
おk。Koolになろう。
白馬弥那(ハクバミナ)。隣の白馬神社の一人娘。
フラグだと思ったか!? 俺もだよ!
小さい時から「蒼真くん、蒼真くん」いいながら後ろをついてくるのが可愛くてな。
光源氏計画みたいなことしてたんよ、中学入るまで。
気づいたら妹みたいになっちゃって。
なんかこう踏み込めなくなったみたいな。
・・・何?血の繋がらない妹?
高校で突然そんなのが現れたら燃えるかもしれんが、小さい時から一緒にいても萌えるだけよ。
そんなこんなでときどき弥那を見ながらニヨニヨしている俺勝ち組。
友達少なねーがな!
高校でも友達ができません。
中学までは転生者オーラのせいだと思っていたが、そんなことはなかったぜ。
弥那に情報収集を依頼したところ、
来須蒼真の評価B-。
「目が怖い」「近寄れない」「何だこのプレッシャーは」「怖い」「白い」
俺が何をしたorz
っていうか目は仕方ないだろう。
これって就職に不利なんだろうか?

まあそんなことはどうでもいい。
今俺は皆既日食を見るために白馬神社へ向かっている。
瓶コーラ片手に。
ラムネと迷ったが今はコーラな気分だった。
弥那のためにオレンジジュース(缶)もコート(弥那からの誕生日プレゼント)のポケットに入っている。
境内でみる皆既日食はたいそういいもののはずだ。
押しかける形になったのは、電話にでない弥那が悪い。弥那が悪い。

しかし毎度のことながら階段長いな・・・。
コーラもポケットに入れてしまおうか?ポケットの入り口が伸びてしまうが仕方ない。

そんなわけで白馬神社の鳥居までやって来たのだ。
ふと見ると御神木の枝に一匹のコウモリがいた。

「ウホッ! いいコウモ・・・あれ・・・?」
意識が薄れて。
「ちょま・・・」
ブラックアウト。


レポート
来須蒼真(クルスソウマ)
男 18歳
覚醒未確認
幼少時より奇行が目立つが、現在まで能力の発現は確認されていない。
両親とのなかは良好。
日食に対し興味を示しているが単なる好奇心の模様。
引き続き監視を続ける。



[20761] 暁月編1[目覚め(※いろんな意味で)]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 20:38
「う、ううん…」

眠い。眠すぎる。
っと思ったがそんなことはなかった。

「あっ、気がついたみたい」

んん?
その声は弥那か?

「よっ、おは…どういう事なの?」

ここはどこですか。
そしてなぜ俺は寝ていた。

「やっと御目覚めか…? いい気なものだ」
「へぇあっ? 誰…ですか?」

初対面の相手には礼儀正しく。
それが俺のジャスティス。
たとえイケメン相手でもだ。

「あっ、蒼真君。この人は、有角さんって言う人で…」
「有角さんさんですね、わかりま「そんなことはどうでもいい」orz」

「それより、お前に聞きたいことがある」



「なんですか?」


「なぜ、ここに来た?」


・・・哲学的な質問だ。自己啓発セミナーですか? ならば…。

「俺が、俺自身が…俺であるために(キリッ)」

初対面の人相手に俺は何を言っているんだ。

「! お前…既に? いや…報告には…(ブツブツ)」

思考の海に沈むイケメン。絵になりすぎててムカつくwww
とりあえず質問させろや。

「失礼ですが、有角さん…でしたか?」
「…なんだ?」
「Q.ここはどこですか」
「A.ここは、ドラキュラ城だ」

どういうことだキバヤシ。

「ヨーロッパへの長距離ワープ航路…既に完成していたとは…」
「いや、正確に言えば日食の中だ」

オワタ。残念なイケメンに確定だ。会話が危ない。

「確認しますが、ドッキリですか?」
「蒼真君! 聞いて、本当のことなの…」

どういうことなの。

「説明求む、なう」
「(なう?) それはだな…!? 敵か!」

!? なんですと!?

「ちょ、ま、ちょっと、いや大概待てよ!?」

骸骨が動いてるぅー↑↓!?

「ハッ!!」

そして砕けたー!?
木っ端微塵だー!

「しまった! 彼女を頼む!」

なんかきたー!?

「キャア!」

現状説明、空飛ぶ骸骨が槍を持って襲ってきた。
後ろには倒れた幼なじみ。

「・・・ォオオオオ!? ボクアルバイトォォォオオ!?」

結果、コーラ瓶で頭骨をかち割りました。
弾ける骨。と瓶。
ってなんかまた中からでたよぉ!?
こっちキター!?

「うわぁ!?」

胸に入ってきたんですけど。

「な、何だ…、今のは…」

胸がドキドキする。

「やはり、目覚めたか…」

これが…恋…?

「お前の身体に入った物は、今倒した、モンスターの魂だ。
お前には、モンスターの魂を自分の能力にする力がある」

違いました。

「な、何で…。そんな力が…(※今更的な意味で)」
「力を得た今、お前はこの城の城主の間へいかなければならない」
「一体何の為に?」
「彼女と、元の世界に戻りたくはないのか?」

え、なにそれこわい。出れないのここ?

「元の世界に戻りたければ城主の間に行くことだ。
そうすれば、全てが分かる」

いやいやいや。なにそのラスボスがそこにいますよフラグ。

「いやいやドラキュラ城の城主の間ってことはまんまドラキュラがいるんでないですか?」
「既にドラキュラは滅んだ。今のドラキュラ城はその魔力の残滓にすぎん」
「でも、なんかさっきみたいなモンスターのすごい版がいる気がするんだけどなー、
っていうかああいう類はヘルシング機関とかベルモンドとか埋葬機関とかに任せておくべきだと思います」
「…ベルモンドは行方不明だ。教会も動いてはいるが、もはや日食の内側に入ることはかなわんだろう」

いるの!?
驚愕の事実。転生先は悪魔城ドラキュラの世界でした。
日本が舞台のなんてあったっけ? シャノアさんに会いたいです。


「生身の人間がこの城に長くとどまることは、死を意味する」


「! つまり弥那は…」
「そうだ、彼女を助けることが出来るのは、お前だけだ」

…なんてこった。いきなり命の危険かよ。

「ここに結界を張っておく。魔物に襲われることは無い。
…俺にはこの城でやらねばならない事がある」

厄介なことになったな…。だが

「行くしかないか」

急ごう。

「待て」



「なんだよ?」
「これを持っていけ」

変な首飾りと変な玉と普通の剣をもらいました。

「なんだこれ?」
「その首飾りにはある程度のものを入れておける。
卵は常に身につけるようにしろ。剣は武器だ」

最後のはわかるよ。有角よ。
とりあえず卵はポケットにいれといて。
首飾りは…どうやって使うのかと思ったら何となく分かった。
剣を入れてって…

「つまり武器を使うような目に会うと…」

欝い。

「時間は少ない。さあ、行け!」

目的地は城主の間か…。

「行くか」



その後、彼の姿を見たものはいない…。


ってならないようにだけ気をつけよう。


ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 ショートソード
防具 コート
他1 首蔵
他2 卵?

ソウル

ウィングスケルトン

その他

オレンジジュース(缶)
PIT(ポータブルインフォメーションターミナル)小型情報端末


だんだん「礼儀正しく」が適当になっていくのは仕様です。
あとこの蒼真は厨二病です。突然不思議さんになることがあります。



[20761] 暁月編2[激逃]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 20:41
「ハァ…ハァ…」

俺はいま全速力で走っている。逃げるためだ。

あいつから。

あいつは俺を、俺だけを狙っている。

わかるのだ。今もあいつの視線を感じる。

「ハァ…ハァ…くそっ!」

限界だ。瓦礫に身を隠す。

剣は折れてしまった。魔力もすっからかんだ。

(どこかに休む場所でもあれば…!?)

休ませるつもりもないようだ。
瓦礫がはじけ飛び、中から

「ホァァァイ!!」
「なんなんだこいつはぁぁぁ!?」

真紅のマントに身を包んだ骸骨が飛び出した。


**********

やぁ、俺、来須蒼真(クルスソウマ)
高校生にして転生人だ。

あの後初めて見たゾンビにびっくりしたり、
魔力をソウルに流しこんで発動できるようになったりといろいろあった。

で、剣の扱い(といっても振り回すことしかできないが)やら、
ソウルの扱い(魔力を扱えるようになりました)の練習も兼ねて、
隠れながらゾンビを倒していたのですよ。

ゾンビ
一般に知られる動く死体。伝承によっては腐ってたり新鮮だったり。

悪魔城のは腐ってました。
はじめに驚いて剣を叩きつけたら、
頭頂部から真っ二つ。素晴らしきみたいになった。

何か数体倒してわかったけど崩れた肉や骨を無理やり魔力で人の形にしているみたいだ。
ある程度体が崩れるともう戻れない。
だから剣をたたきつけるだけで、真っ二つだぞ!

ソウルの方は簡単に説明すると、
俺の中に吸収したモンスターの魂があってそれに(俺の)魔力を流し込むと、
その魂の構成情報に従って特殊な能力が発動するという仕組み…たぶん。

なんでこんな能力に目覚めたんだろう?

1. 実は悪魔城作品の主人公だったんだよ!
2. 実は転生したときに神様にもらってたんだよ!
3. 別に理由はなかったんだよ!

多分2だろうな。
1は魔物の力をコピーだったら主人公だったかもしれん。でも吸収だとセルっぽい。
3はないと信じたい。
2ならテンプレ通りだ。

っていうか魔物の魂を吸収って…暴走フラグっぽくね?
ほら、なんか「もうこれ以上は…抑えきれない…ウボァー」って。
ちょうこわい。

吸収の条件も分からんしな。
ゾンビを十数体狩ってそのうち魂が出たのが二つ。
効果は毒物への耐性…たぶん。

もう少し詳しく調べてみる必要がありそうだ。
この吸魔の力(命名)は。

ナンカオラワクワクシテキタドー

「もう少し殺ってみるか」

首蔵(命名)から剣を出すのにも慣れてきた。
ちなみにコートは中にしまった。

早くもこちらに気づかぬ哀れなゾンビっ娘(性別仮)を発見した。

(こっちだ…もっとこっちに来いい…)

なんだか好戦的になっている気がする。
俺は大丈夫だろうか。

きた!

「ヒャッハー! 新鮮な「待てい!!」!?」

だれやねーん!?

そこにいたのは

**********

「チェストォォォ!」
「ヴォォォオオオ!?」

ありえねぇよ!?

はじめにみた羽根つき骨より速い、硬い、強い。
キックで剣折るし、空跳び回るし。
殴っても硬くて突き指しかけたし。
槍(ソウル)は避けるし。

あれ? 打つ手なくね?

「貴様のような! 貴様達のような!
自らの欲を満たすだけに!
罪の無い哀れなゾンビの少女を滅せようとするような輩に!
この私が! この"サスケ・ザ・キシン"が敗れるものかよぉ!」

…キシンとな?
もうダメかもわからんね。




ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 拳
防具 ふだんぎ
他1 首蔵
他2 卵?

ソウル

ウィングスケルトン
ゾンビ

その他

初めての魔力(本)
オレンジジュース(缶)
PIT(ポータブルインフォメーションターミナル)小型情報端末


ユージン、イン自動車合宿教習所なう



[20761] 暁月編3[鬼神の如く]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 20:43
キシン流
多分「鬼神流」。
分身、高速移動、(中世ヨーロッパでは)特殊な剣を使う。
以上のことから古い時代に日本とかから伝わった退魔術かなんかだと予測される。
ムッムッホァイ!


勝てねぇよ。

「アチョー!」

この蹴りだ。空中から加速するこのライダーキックだけはもらってはいけない。
ショートソードが折れる蹴りってなんよ?

「くっ…!」

まだ避けれる。いっぱいいっぱいですがなにか?

「ぬぅ…ここまで避けるとはな…」

着地の衝撃で砂埃を巻き上げながら静かに語りかけてくる骨(ライダー)。
いやいや、あたったら死ぬ気がするから。

「貴様のことを甘く見ていたようだ」

! 嫌な予感が…。

「ここからは全力で行かせてもらう!」

ですよねー。

コォォォ…という音と共になんだか素敵なオーラのようなものを纏う骨(強化仕様)。
背景が歪んで見えるんですけど。

「これで…終わりだ!トアァ!」

跳び上がる骨(赤オーラ)
ライダーにやられる怪人の気持ちが今ならわかる。
ありえん(笑)

「ホアァァァァァ!」

速い! 無理だ! 避けられねぇ!

っとそう思った瞬間

ゴッ…

頭を後ろから踏みつけられました。

「ひぎぃ!? ぬあっ…!?」

俺の頭を踏みつけて跳び上がったのもまた骨だった。
ただし青マント。

「やらせぬ!」
「貴様は!?」

ぶつかり合う骨と骨。
お互いに後方にはじかれた。

「久しいな…サスケよ…」
「ぬう…まさかまだ生きていたとはな…」

いや死んでいると思うが。

「だが今更何をしに来た!兄者…"ハンゾウ・ザ・キシン"!」

なんですと?

「サスケェ…なぜ貴様は人を襲う…?」
「我らは既に人ではない!」
「ならば食すためか」
「奴は襲われたわけでもないのに、自らの力を試さんとするためだけに魔物を襲ったのだ!」

ごめんなさい。

「人と魔は相いれぬ。それは自然の摂理」
「否、既に魔物たちの魂は王より解き放たれた!
ただ生きようとするものたちを滅ぼすことなど許せるのか! 貴様は!」
「変わらぬな貴様は…」
「私はただすべての生きようとするものには平等に権利があると考えているだけだ!」
「ただ本能のままに人を襲う魔物たちにも…か?」
「当然だ!」
「…やはりお前は一族に生まれるべきではなかったのだ。ここでその魂、祓わせてもらう!」
「やってみせろよ、この"サスケ・ザ・キシン"にぃ!」
「貴様にその名を名乗る資格はない! 消えよ!亡霊!」

どういうことなの。
そしてなぜ説明口調なの。あまり説明になってないけど。

両者空中跳び上がり、赤と青のオーラを纏いぶつかり合う。

…今のうちに逃げようかな。


そうまはにげだした。

だがまわりこまれた!

「逃すかぁ!」
「ぬぉ!?」
「やらせぬ!」

骨(赤)のこうげき!
骨(青)はそうまをかばった。
骨(青)はばらばらになった。

ヤベーよ。頭骨以外木っ端微塵だよ。跡形も無いよ。

「ふんっもはや邪魔者もいない…」

アチャー。俺オワタ。

[少年よ…]

幻聴!?

[頼む…奴を…止めてくれ…]

骨(青)か!

[私の…残った力を…君に…]

うぉ!?

「ぬっ!?」
「こっ…これは…」

青オーラが…体からふきでてます。
体が馬鹿みたいに軽い。

[チャンスは一撃だ…頼む…]

いきなり無茶ぶりですね。

「クククッ所詮付け焼き刃よ!止めだ!」

また跳び上がる骨(赤)

[奴の弱点は…]

既に骨(赤)との距離はほぼない。

[頭だ…]

接触。




「馬鹿な…この"サスケ・ザ・キシン"が…この…よ…な…」

適当にとにかく頭を蹴ろうとしたらすごいことになった。
相手のキックが肩にかすったときに俺の体が回転。
すごい勢いで上段回し蹴り。しかも頭にあたった。

「生きてる…」

想像していたよりも俺の運は強いらしい。
肩がすごく痛いが。

頭骨を砕かれた骨(赤)は残った骨をバラバラにしながら崩れていった。
そして塵となって消えていった。

頭蓋骨が本体なのか?

[少年よ…感謝する…]

…うぉ!? 忘れてた。

「骨(青)…」
[なんなのだそれは…]

「結局あんたらなんだったんだ…」
[我らはかつてこの城にドラキュラを倒すためにきた退魔の一族だ…]
「ほぅほぅそれで?」
[奴…サスケは優しい男でな…祓うべき魔にも情けをかけてしまうような男だった…]

(ありがちだな、おい)

[かつてドラキュラが滅ぼされる前まで城のあらゆる魔物たちは完全に人の敵対者だった…]
「えっ、今は違うの?」
[ドラキュラが滅び…城の主がいなくなった頃から…
少しづつ人の敵対者ではない魔物が現れるようになった…。
我らも…この姿になったことを自覚した…]
「それは…(ミイラ取りが乙)」
[私は…人を襲うものを人が倒すことは自然だと考えている…]

「…さすがに襲ってきた奴相手には情けはかけられねえわな」

[ああ…それでいい…
だが…人を襲わない魔物に出会ったら…むやみには襲わないでやって欲しい…
既にただの生き物とかわらぬように生きている魔物もいるのだ…]

まあ意思の疎通ができるなら…あるいは。

[少年よ…最後にもう一度…感…謝を…あり…とう…]

そうして骨(青)は塵になっ…!? ソウル!?

ポシュッ

…吸収しちゃった。
なんだかなあ。




一回弥那のところに帰ろう。




ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 拳
防具 ふだんぎ
他1 首蔵
他2 卵?

ソウル

ウィングスケルトン
ゾンビ
スケルトンキッカー

その他

初めての魔力(本)
オレンジジュース(缶)
PIT(ポータブルインフォメーションターミナル)小型情報端末


ユージン、イン自動車合宿教習所なう
カオスです。
主にユージンの頭の中が。
そしてまだグレイブキーパーのとこまでも進んでない件について。




[20761] 暁月編4[休憩中1]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 20:47
**********

前回のあらすじ

「うぉぉーー!」
「さぁ来い蒼真! 実は私は頭を蹴られると一撃で死ぬぞー!」

デュクシ

「ぬわーー!」

「ハァハァ…やっと骨(赤)を倒したぞ!」
「クククッよくやったな蒼真…だが奴はキシン流でも最弱…」
「うぉぉーー!」

デュクシ

「ぬわーー!」

「フッ…やるじゃないか。これなら安心して君にこの力を託せるぞ」
「やった!ライダーキックができるようになったぞ!」
「わが人生に一辺の悔いなし!」
「骨(青)さん…無茶しやがって…」

**********

「っと、まあこんな感じだったな」
「へぇー、蒼真くん大変だった…えーっと…う、嘘だ!」
「なかなか分かってきたじゃないか、あとでジュースを奢ってやろう」
「…やっぱり9本もいらないよぅ」
「京都のぶぶ漬けみたいなものだからとりあえず言わなきゃいけないんだって」

帰ってきて(オレンジジュースを渡しながら)適当に現状報告。だいたいあってるはず。

「体はもう大丈夫なのか?」
「うん。とりあえずは大丈夫。蒼真くんこそ無理してない?」
「もちろんさぁ☆ (嘘、実際にはやせ我慢でしかない)」
「有角さんが結界を張ってくれたから、ゆっくり休んでいってね」

結界
害意を持ったものを近づけさせなくするらしい。
便利なものだ。使ってみたい。
ところで

「弥那、そうじゃない。ゆっくりしていってね、だ」
「…そんなに重要なのかなぁ?」
「ああ…間違えれば地軸がずれる! (これも嘘、言うまでもないが)」
「ええっ!? そ、そんなわけ……どうしよう…どうしたらいいの蒼真くん!?」
「うつです。違った、嘘ですが」
「……」

癒されるなぁ…骨に追いかけられていたのが夢のようだ。
あの後手に入れたソウルにどれだけ魔力を流しても、あの素敵オーラは発現しなかった。
ただ空中で斜めにキック、要するにライダーキックができるようになっただけだ。

「…こんな時でも落ち着いてるんだね」
「ああ、操作系能力者だからな」
「?」

マイペース。

「そういえば有角はどこいったんだ?」

もはや呼び捨てである。

「えっ? えっと…何かやらないといけないことがあるって…そうだ! 伝言があるの!」
「伝言?」

なんだ?

「えっとね。まずこれ、PITに魔物図鑑の機能を追加するチップだって.
それともし剣が折れたり曲がったりしてもそのへんを探せばまた見つかるかもって」
「…さすが悪魔城! あらゆるものは現地調達! サバイボウ!」
「あのね…水とご飯は用意していってくれたの。蒼真くんの分も。はい、これ」

とりあえず受け取り首蔵に入れる。こらこら弥那さん、欲しそうにしないの。

「その首飾りってひとつしかないのかなぁ?」
「有角にきいてみたらいいんじゃないか?」

ってか結構食料あるな。これをスーツの中に隠していた…いや、担いで持ってきた…?

「有角さんも持ってたし」

ですよね。そんなわけないよね。
もう少しでイケメンのシュール画像が脳内に完成しそうだった。
……ん?

「なあ弥那」
「なーに?」
「有角って…お前のなんなんだ?」
「!? ゲホッケホッ…」
「ちょ、おい大丈夫か?」
「…大丈夫、うん、大丈夫。
有角さん? 有角さんは…えっと…お世話になっている人…なのかなぁ?」

何故に疑問。

「昔から、よく家に来てたみたいなんだけど…よくは知らないの」
「ほうほうそれで?」
「国の諜報機関にいるって、聞いたことはあるけど…」
「諜報機関? あれだろ。CIAだったかFBIだったかNBAだっけか? まあスパイ、つまりボンド」
「(接着剤…)なんだか不思議な人なの」

見ればわかる。

「普通の人って、10年も経ったら、
少しぐらい変わるものでしょう?」
「そりゃあなあ」
「全然、変わらないの」
「気のせいじゃなくて?」
「そうなのかな…」

スパイで年をとらない美形?

「でも、顔だって綺麗過ぎるし、人間離れしてると思わない?」
「…弥那。よく聞くんだ。それ以上いけない」
「…え?」
「奴は危険だ。奴はきっと過去に幾人もの女性を泣かせてきたに違いないんだ、たぶん。
もしも、あーゆうのがお前の好みだとしたら、
俺はあいつがごめんなさいというまで綺麗な顔をぶん殴ってやる!」
「な、何、言ってるのよ! 私はどっちかといえば…。
!?
関係無いじゃないそんなこと!」
「冗談だよ。お前が本気だというなら止めはしないさ。だがその道はイバラのみ「違うってば!」むぅ…」

奴は確かにイケメンだ。間違いない。何が違ったのだろうか…。
しかし、年をとらない色白の美形か…吸血鬼だったりして。
いや、日当たってたしなあ。
いや日食の中なのに日が当たるってのもそもそもおかしいしなあ。

「もう…蒼真くんのバカ…」
「ワード”バカ”を抽出しました。バカとはなんだねバカとは」
「そんなことより!」

そんなこと…。

「蒼真君もここにいたほうがよくないかな?」
「んー、いや。ここから出るためには、
城のあちこちに隠された7つの宝玉を集めて最上階の祭壇に捧げなくてはいけないらしいんだ。
ちょうど退魔の力に目覚めたんだ。有角も忙しそうだし行ってくるよ」

でも骸骨(オーラ)は勘弁な!

「そうなんだ…。でも、気をつけてね」
「ああ、全力で気をつけ尽くしてやるさ。
あっ! これ読むか? 暇つぶしの道具にでもなるかも」
「…一応預かっておくね」

初めての魔力

っと、

「弥那?」
「何?」
「俺の事、信じてくれるか?」
「うん。蒼真くん危ない嘘はつかないもの」

(ちょっとからかってるだけなのに)

「じゃ泥舟に乗った気分で待っていてくれ。
ここから戻る方法を必ず見つけ出してみせるさ」
「泥舟はいやだなぁ…」
「ならノアの箱舟にでも気分で変えてくれ」
「うん。待ってるから。
絶対に、無理だけはしないでね」
「まかせとけって」

さて長くここにいたら危ないって事は、黙って置いた方がいいかな…。

「いってきます」
「いってらっしゃい」


とりあえずは武器の調達だ。
行こう。


おまけ
「あと有角さんがね」
「ああ」
「かつてない強大な魔力の塊が二体ほどこの近くをうろついているから気をつけろって」
「……(先に言えよ)」



ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 拳
防具 ふだんぎ
他1 首蔵
他2 卵?

ソウル

ウィングスケルトン
ゾンビ
スケルトンキッカー

その他

PIT(ポータブルインフォメーションターミナル)小型情報端末
魔物図鑑機能


ユージン、イン自動車合宿教習所なう

どう考えてもあのコートを高校生が着るのは妙だ→誕生日なら仕方ない

コーラ瓶の蓋はベルトのホックで開けたりもできるらしいです。見たこと無いけど。

有角に対してはイケメンという印象が強すぎたということで…。

状況描写が少ないのは単純にユージンの力量不足です。
申し訳ないです。

ぼくドラキュラくんから題名をとっています。

宗真は悪魔城のメインと有名な外伝はあらかたやっていたりします。

悪魔城の新作PS3かXBox360で希望



[20761] 暁月編5[魔物との戦い・初級編]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 20:50
**********
前回のあらすじ

「きゅ、休憩しました…」
「ああ…つぎは武器調達だ…」

以上

**********

(恐怖が麻痺しているのだろうか)

ぜんぜんゾンビが怖くない。
主に骨(紫)のせい、たぶん。

ゾンビはライダーキックで倒した。
触りたくないから。

(ゾンビさん踏み台役乙です)


襲ってくる奴以外を無視して進んでいたら、
あっさり瓦礫の道を抜けた。
骨(紫)がいなければ普通にここまでこれたのに。

っお? …水の流れる音だ。
これはなんだろう。池か? 池っていっていいのか?
地下水を組みだして貯めているのだろうか。

「シャー!」
「シャー?」
「シャー!」

なんかいる。
っとこんな時は…隠れてっと。

(お前の出番だ…いでよポ○モン図鑑)

カメラから取り込んだ映像を読み取らせる。
ちなみに、俺のPITは自作の改造品でありシャッター音はない。
…でた。

はんぎょじん
水辺に生息し近寄る獲物を襲う

…えっ? 弱点とかでないの?
だめじゃん。

あれ? いくつか知らないデータが…

ゾンビ
はんぎょじん(New!)
ウイングスケルトン
スケルトンキッカー

ああ。倒した奴の名前がわかるのか。
仕組みはわからんが。

適当に閲覧する。

判明。

写真があれば名前がわかる。
ソウルを手にいれればその他もろもろもわかる。

(なかなか便利じゃないか…)

あの骨(紫)ってスケルトンキッカーだったのか…。
てっきり新種だと思ってたよ。


とにかく、あいつらはこっちに気がついていないようだし一気に駆け抜けよう。

あいつが振り返った瞬間に後頭部を踏みつけて飛び越える!

…今!

「ぃよっと」
「ぎょ!?」

成功。
あとは地雷原を一気に駆け抜けてや…なんだあれは?

なんといえばいいのか。
魂を瓶詰めにしたようなものがあった。
これはいったい…。

「シャー!」

しまった!?
忘れてた!

ブバッ

「うぉぉ!?」

口から水吐き出しやがった。
しかもすごい威力だ。
バケツで水をぶっかけられる以上の衝撃だ。
痛えし、冷てえ。

吹っ飛ばされました。
さっきのなんだかよくわからないものの方向に。

ガシャン

あ…壊しちゃった。
飛び出した魂を吸収と同時に池にボチャン。

水の中ではんぎょじんの団体さんとご対面。

**********

急いで陸に上がって逃げてきた。
水の中の奴らマジパネェ。
槍とかあっさり避けるんだもの。

(しっかしびしょ濡れだな…)

服が水を吸って、すごく…重いです。
コートしまっておいてほんとに良かった。


…この部屋に入った途端あいつら追いかけてこなくなったな。
原因は…

「これか…」

女神像
俺にもわかる。
これからはなにか神聖なそれっぽいアレがでている。

ここで休憩しよう。
さすがに服が乾くまでは待っていられんが、
軽く絞っておけば動いているうちに乾くだろう。

そういえばさっきの瓶詰めソウル(仮)はなんだったんだろうか。
壊してよかったのだろうか。
あとで弁償とか…!

[既にドラキュラは滅んだ]

なんてこった。
別に壊しても怒られねーじゃねーか。
所有者はもういないし。
過去のベルモンズなんてあちこちの燭台壊しまくってたんだし。
…よし。大丈夫だ。

あとはさっき手に入れたソウルを確認するか。
陸まで追っかけてきたはんぎょじんを倒したときにソウルも手に入れた。
さっきの水鉄砲が撃てるみたいだ。

もうひとつは瓶詰めの方。
魔力を流すと、

カカッ

「おぉ?」

バックステップ。これはいいものだ。
回避に使えそうだ。
相手に背中を見せないですむ。


ギュッギュッ

と服も絞った。

出発しよう。

**********

部屋をでたら目の前がはんぎょじんでいっぱいだったらどうしよう。
っと思っていたがそんなことはなかった。
もう既にあいつらは池の方に戻っていた。
気付かれないように別の道に行けそうだ。

**********

途中でこうもりに襲われたけど、
私は元気です。

ソウルも取れました。
普通のこうもりじゃないのだろう。
悪魔城だし。

さて、また入口付近のような瓦礫の道にもどってきたわけだが。

骸骨がいる。
複数。

俺は骸骨に苦手意識を持ってしまったのだろうか。
近づきたくない。
はじめてゾンビをみたときよりひどいかもしれない。

隠れて進もう。

**********

バレませんでした。
よかった。

今度は整備された道にでた。
やっと城って感じがする道だ。
道の端には鎧が飾られている。

…その中の一本を素早く首蔵に入れる。

ブロードソードを手に入れた。

(…別に火事場泥棒とかじゃないんだから! 勘違いしないでよね!)

気持ち悪いね。


ギシギシッ
ゴゴゴッ


!?
周りを見渡す。
あるのは鎧だけだ…!?
待て。あんな所に鎧があったか。
っていうか

ブワッ

「あぶねえ!」

斧投げてきた。
死ぬかと思った。刃物だよ。
骨(紫)の時とは違う、現実的な死の感触がした。

ガシャッガシャッ

こいつの正体は魔物図鑑なんてなくてもわかる。

アックスアーマー

悪魔城シリーズほぼ皆勤のザコモンスター。

こいつがザコ? ねーよ。
刃物投げてくる奴がザコとか。

だが今のこいつは斧を投げたせいで無手。
今なら倒せる!

「くらえ!」

[蒼真! 伏せて!]

!?

ブワッ

頭の上を通りすぎる巨大な質量。
それを奴が受け止めるのと同時に、俺は全力で獲物を奴に叩きつけた。

**********

忘れていた。
こいつらは斧をブーメランにするタイプもいるんだった。

塵となり消えていく鎧(と折れた剣)を見ながら思う。

[蒼真! 伏せて!]

しかしあの声はいったい…?

また骨(青)が助けてくれたのだろうか。
…いや。

(女の子の声だったよな…)

まあいい。
とにかく先に進もう。

**********

あの扉の向こうから大きめの魔力を感じる。

「…よし! イクゾー!」

入った先には

「あ…ああ…」

巨大な骨

どうやら俺は骨に縁があるらしい。



ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 拳
防具 ふだんぎ
他1 首蔵
他2 卵?

ソウル

ウィングスケルトン
ゾンビ
スケルトンキッカー
はんぎょじん
グレイブキーパー
こうもり

その他

PIT(ポータブルインフォメーションターミナル)小型情報端末
魔物図鑑機能


ユージン、イン自動車合宿教習所なう

文章上不自然な部分などは、
箇条書きで教えていただけるととてもありがたいです。




[20761] 暁月編6[退魔の心得・初級編]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 20:52
**********

前回のあらすじ





以上

**********


「あ…ああ…」

それは人間の骨の形をしていた。
人間の上半身。
だがあまりに大きすぎた。
頭蓋骨だけで俺の身長くらいある。

ありえない。
なんだこれは。
いったいなんの骨からこんなものができたんだ。

恐怖で体が動かない。
骨(赤)と戦ったときほどの威圧感はないのに。
奴が右腕を振り上げているのに。

[避けて!]



ドゴッ

奴のもつホネこんぼうは地面に突き刺さった。
危なかった。
バックステップがなければ即死だった。
いや、それ以前にあの声がなければ動くこともできなかった。

「くそっ!」

情けない。
ビビって動けないなんて!
とにかく一旦距離を開けないと…。

[怖がっちゃだめだよ! 恐怖は魔を強めるの!]
「さっきからいったい誰なんだ!」
[いまはそんなことより目の前の敵に集中して! くるよ!]
「く…」

振り回されるホネこんぼうを避けながら考える。
今俺は武器を持っていない。
相手のリーチは長い。
ソウルを使っても今の俺じゃあ相手の間合いに入らないと当てられない。

しかし…

(あの間合いに入る度胸がない…)

そもそも俺はビビリだ。
ゾンビやはんぎょじん、アックスアーマーと戦ってきて、
恐怖が麻痺していたのかと思ったらそんなことはなかった。

くそ…くそ…どうする!?

[とまっちゃダメ!]
「なっ…グッ!?」

奴の振り回した腕にあたったようだ。
吹き飛ばされて壁にたたきつけられた。
痛い。

「うぇ…」

口の中切った…。
だが距離は開いた。
今のうちに

「おい! あいつはどうやったら倒せる!」

口の中の血を吐き出しながら問いかける。


「おい! 答えろよ!」

返答はない。

ちくしょうめ。
ついに天の声にまで見放されたか。

近づいてくる骨。

もともと無理だったのか?
転生したとはいえ、
ただの一般人だった俺が少し体を鍛えた程度じゃあ悪魔城に挑むなんて無理だったのか?

右腕を振り上げる骨。

[…まの…み…も、こい…は倒せる!]



[魔物は人間の心から生まれているんだ!
本来なら人間が負けるはずがないんだよ!
でも恐怖を持って触れてしまえばそれだけ強く見えてしまうだけ!
倒すという気持ちがあれば倒せるはずだよ!]

「簡単にいうねぇ…」

[こんなところで終わったらあの娘と一緒に帰れないんだよ!]

!?

振り下ろされるホネこんぼう。

(…ああ、終われねえよ)

やってやるさ。
その綺麗な頭蓋骨をぶん殴ってやる!

ドゴッ

バックステップで避け、そしてその腕を駆け上がる。

「ぉぉおおお!」

[とにかくはやくこいつを倒してよ! 揺れが…]

そして俺は

「くらええぇぇ!」

全身の体重をのせた右ストレートをその眉間に叩きつけた。

**********

消えてゆく骨の体を見ながら、
俺はその左腕に引っかかっていた卵(仮)を拾い上げた。

「お前がさっきからの天の声だな」
[アル…有角から何も聞いてないの?]
「ただ持っておけとしかきいてねえよ!」

さっきからの声の正体は卵(仮)でした。

[まさか何も伝えていないとは思わなかったな…]
「結局お前なんなんだよ?」
[僕? 僕はまだ卵だから生まれてみないとわからないな]
「どういうことなの。…まあいい。とりあえず助かったよ」
[そう頼まれているからね]
「卵なのに」
[卵だからだよ。僕は君の魔力を少しずつもらって成長するんだよ]
「…つまりしゃべれるようになったのはアックスアーマーの時か?」
[その通り。君より少しはこの城に詳しいからね。サポートしてあげるよ?]

なるほど。サポートか。

「そうか。じゃあよろしく頼む。改めて、来須蒼真だ」
[よろしく。僕の名前はまだないから生まれたときに名前をつけてね]
「名付け親か…」
[ゆっくり考えてね]


フワッ

!?
何だこの珠は!?

[大丈夫だよ]
「なんだよこれ?」
[触れてご覧。さっきの骨の魔力の塊だよ。確か傷も直してくれるはずだよ]
「ほう…そういうものもあるのか…」

触れると一気に口の中の傷が治った。
これはすごい。
実は口の中を切った以外は大したケガはなかったのだが。

[蒼真]
「ん? なんだ?」
[これから魔物と戦う上で絶対に覚えておいてほしいことがあるんだ]

なんだ?

[恐怖に飲まれないこと!
恐怖を感じないようにすればいいんじゃない。
それじゃただの馬鹿だしね。
それに飲まれないことが大事なんだ]
「…難しいな。やっぱり怖いさ」

これからも戦えるだろうか?

[大丈夫だよ。さっきの君なら及第点だ!]
「むう…まあがんばるさ」

ふむ。
とりあえずサポートも手に入ったし、これからも戦えそうだ。
頑張ろう。





オマケ

しかしボクっ娘か…生まれるのが楽しみだ。

[ん?なに?]
「いや何でもない」




ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 拳
防具 ふだんぎ
他1 首蔵
他2 卵(サポート)

ソウル

ウィングスケルトン
ゾンビ
スケルトンキッカー
はんぎょじん
グレイブキーパー
こうもり

その他

PIT(ポータブルインフォメーションターミナル)小型情報端末
魔物図鑑機能


ユージン、イン自動車合宿教習所なう

文章上不自然な部分などは、
箇条書きで教えていただけるととてもありがたいです。

サザンアイズ全巻読みました。
合宿で何やってんだろ…。




[20761] 暁月編7[覗き目]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 20:54
**********

前回のあらすじ

ついに己の恐怖に打ち勝ち、真の勇気と力を取り戻した蒼真。
だがそれは有角の仕組んだ巧妙な罠だった!
新たなる仲間と共に、蒼真は最後の戦いに赴く…。

**********

「というのを思いついたんだが」
[それじゃ有角がラスボスみたいじゃん。
どうでもいいから早くその地図開いてみてよ]
「見えんのか?」
「君の目を通して見るんだって! ほらはやく!」

今、俺は卵(孵化するまでそのまま呼ぶことにした)と一緒に、
拾った地図をみている。

[うわっ。だいぶ形が変わってるや]
「悪魔城経験者なのか?」
[一応ね。でも悪魔城は混沌から生み出されてるから]
「入るたびに形が変わる、と…」

それなんて不思議のダンジョン?
正確には復活するたびにだけどねー、と話す卵。

しかしこいつはいつ悪魔城に入ったのだろうか?
こんなサポート役が悪魔城にいるなんて知らない。
せいぜい二人組で入った時に相談ができるくらいだったと思うんだが…。

「なあ」
[なに?]

「お前はいつここに来たんだ?」

直接聞いたほうがはやい。

[えっとね…前回は確か…30年くらい前…1999年だったかな?]
「ほう? その年ってなんかあったのか?」
[さあ? アル…有角は何も教えてくれなかったし、途中からおいてかれちゃったからわかんない]

おいていかれたって…

[卵に戻されてポーン…っていうのは言い過ぎだけどそのまま道具袋の中にいたらしいよ]
「へー。で、その前は?」
[その前? その前は…ごめん。ちょっと記憶が足りなくてわかんないや]
「なんと! 記憶喪失とな!」
[知識は殆ど残ってるし、君の魔力を吸収し続けてれば少しずつもどっていくはずだよ]
「ふーん。吸いすぎないでくれよ? こっちはど素人なんだから」
[大丈夫大丈夫。普段発散している無駄な魔力もらってるだけだから]

記憶が戻ったらまたきこう。


さて地図を見ているわけだが…

「卵。今俺の後ろから凄まじい気配というか視線を感じるんだが」
[ごめん、言うの忘れてた。後ろからピーピングアイが近づいてるよ]

(そういうことは…)
「先に言え!」

前に飛び出し、後ろを振り向く。
そこには

「このロリコンどもめ!」
[なにいってんの?]
「いやあんなの見たら言わざるをえないだろう?
まさかバックベアード様がご降臨されるとは…」
[ピーピングアイだって。そんな上級の魔物じゃないよ]
「なにっ! やはりベアード様もいるのか!」
[伝説やら人の噂になるものだったら大体存在する可能性があるよ。悪魔城には]
「そうなのか」
[そうなのだ。っま、戦うんならこいつはぶつかってくるだけだから簡単に倒せるよ]
「ほうっておくのは?」
[ずっと見られる…っていうのは人の精神を衰弱させるんだよ。
これからのことを考えるなら、一度目をつけられたなら潰しておいたほうがいい]
「なんか不良の掟みたいだが、仕方ないな」

グシャッ

ぶつかってくるピーピングアイを地面に叩きつける。

「やっぱり武器は必要だな…」

手が何かぬめぬめする。
すぐに塵になって消えるとはいえ、あまり好ましくない。

ボシュッ

ソウルだ。
吸収する。

[へえ…それが蒼真の力か]
「名づけて吸魔の力。俺には魔物の魂を吸収して使う力がある」
[で、ピーピングアイの能力は?]
「ちょっと待てよ。
…ソウルの受ける魔力の量が少ないっていうか低燃費だ。
これなら慣れればずっと使っていられそうだ」

こういうソウルもあるのか。
さて能力は…ん?

「卵。この壁変じゃないか?」
[…んー。わかんない]
「たぶん壊せる…」
[そういえば悪魔城にはそんな壁もあったね]
「こいつの能力だな。俺にはそんな洞察力はないし」

洞察力が上がるのか。
戦闘の役に立つかもしれないな。
しばらく魔力を流し続けてみよう。

「さて、壊せそうだがスコップやらツルハシが都合よく落ちてたりしないかね?」
[素手で殴ってみれば?]

ほう…

「フタエノキワミ、アッーーー!」

ドゴッ

[いいパンチじゃん。魔物にも効くわけだ]

まさか本当に壊れるとは…。
まあいい。
さて奥には何があるかな?

[右のほうだよ]
「これは…」
[よかったじゃん。武器が手に入って]

クレイモアを手に入れた。

ブンッブンッ

「ふう。振り回せるな…大丈夫だ」

武器調達…完!

[あのさ、蒼真]
「ん? なんだ?」
[実は魔物と戦った経験あったりする?]

なにを馬鹿なことを。

「この城に来て初めてですがなにか?」
[うーん。身体能力が上位の退魔師並なんだよね。魔力も]

マジで!? ちょっと嬉しい。

「ちっちゃい頃から鍛えてたからな」
[それにしたってちょっと強すぎかな。
実は記憶喪失だったり、前世の記憶があったりする?]

!?

「…笑わないなら言う」
[いいよ]
「実は断片的に前世の記憶があったりする(半嘘)」

ほぼ前世のままです。

[うーん? 実は前世で凄腕の退魔師だったとか?]

それはない。

「まあ結局強いのは力だけなんだろ? 技もない、心もなっていないんだ。頼りにしてるよ?」
[そりゃ全力でサポートするけど…なんか違和感があるなぁ?]


首を傾げる(?)卵と共に、俺はさらに悪魔城の探索を続けた。





オマケ

「前世の記憶がある!? …いや、それならベルモンドを知っていてもおかしくない?
しかし報告書では未覚醒のはずだ…。蒼真…お前はいったい…」
卵とリンクしている人がいたり。



ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 クレイモア
防具 ふだんぎ
他1 首蔵
他2 卵(サポート)

新しいソウル

ピーピングアイ

その他

PIT(ポータブルインフォメーションターミナル)小型情報端末
魔物図鑑機能


ユージン、イン自動車合宿教習所なう

文章上不自然な部分などは、
箇条書きで教えていただけるととてもありがたいです。

バガボンド(1-20)、グルグル(1-10)読みました。
学科模擬の点数が取れないです。
交通ルールって難しい。

鼻悪魔! それもありか…? いや…しかし…。



[20761] 暁月編8[休憩中2+α]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 20:57
**********

前回のあらすじ

「このロリコンどもめ!」

以上

**********

「重力。
地球上のすべての存在が受け続ける宿命を負った力場だ。
この力によって空気抵抗などを考えなければ、
落下する物体は毎秒約9.8m/sづつ地上方向に加速することになる。
つまり何が言いたいかというと…
[単に高いところが苦手なだけでしょ?]
…Exactly(そのとおりでございます)」

俺達は今六階建てのビルの屋上、そのくらいの高さの瓦礫の山の頂点にいる。
地図のとおりに来たんだけどなー。

「ほんとにこっちなのか?」
[だってちゃんと道もあるじゃん]
「…あれか?」

瓦礫を支える壁の反対側に確かに道はある。


「この距離を飛び移るのは無理だろう?」
[やってみれば?]
「なんと死ねと申すか」

さすがにこれはないわ。

[こういう時はどこかに方法があるはずだよ]
「そんなもんかね。とりあえずさっきの階段を下ってみるか」




「地下水路かよ…」
[ここなら進めそうだね]

せっかく服が乾いてきたのに。
まあ諦めるわけにもいかないので、水の中に入る。

バシャッ

「冷たい。とても」
[地下水はたいてい冷たいものだよ]

不親切な設計だ…!?

「痛ッ!?」
[あ、キラーフィッシュだ]
「痛ッ! こんのっ!」

クレイモアを水中のキラーフィッシュに突き刺す。
キラーフィッシュはあっけなく泡になっていった。

「うわ…噛み付かれたところ血でてるよ…」
[そのくらいならほっといても治るよ。でも水の中にずっといるのはよくないな]

ちくしょう。

「とっとと進もう」
[ちょっと待って!あれ!]
「あれは…」

瓶詰めソウル発見。

「なかにソウルが入ってるんだ」
[ソウルキーパー。復活しやすい魔物なんかを魂を切り離して封印してるんだ。
普通なら壊すと復活しちゃうんだけど…]
「俺なら吸収できるな」
[うん。壊しちゃおう]
「了ー解」

ガシャ

クレイモアをフルスイング。
木っ端微塵になったソウルキーパーから魔物の魂が飛び出した!

やったー。
フライングアーマーのソウルをつかまえた。

[能力は?]
「落下速度の減速…パラシュートみたいなもんかな?」
[さっきのところそれを使って飛び移れない?]

うーむ。

「試してみるのは怖いなぁ…」
[怖いからって]
「それよりも有角から伝言があるかもしれないから、いったん弥那のところに戻ってみよう」
[後回しにしても多分あそこしか道ないとおもうけどなー]
「っく…」

まあ弥那ちゃんにも会ってみたかったし別にいいけどねー。
と卵。
べ、別に怖くなんかないんだから!勘違い…これまえにやったなー…


まあそんなこんなで弥那のところに帰ることになりました。
ちゃんと服は絞った。

帰ってきました。

「おかえりなさい」
「ただいま。体の具合とか、平気か?」
「全然、平気よ」
「そか」

まだ大丈夫みたいだな。

「有角さんから伝言預かってるの」
「ほう。どんな?」
「えっとね。
落下速度を遅く出来れば、ジャンプした時の飛距離を伸ばせるって」
「…」

あいつはエスパーか。

[ほら。やっぱりさっきの道であってるんだよ]
「いやでも怖いしなぁ」
[女の子の前でカッコつけなくてどうすんのさ]
「そんなこといってもなぁ」

こわいもんは怖い。

「そ…蒼真くん?」
「ん? どうした?」
「え…あの…誰と話してるのかなー…って…」

Oh。

「これだ」
[イエーイ]

卵を見せる。
弥那は少し卵を見て…

「しゃべるの? これ…?」
「…卵よ。もしかして…」
[魔力が足りなくて、音は出せないんだ。
ちょっと弥那ちゃんに持ってもらって]

卵を手渡すと、弥那は興味深くそれを見ている。

[これでラインが繋がったはずだよ]
「キャッ! び、びっくりした…」
「ほう。なにか弥那の体に負担とかは?」
[ないよ。僕が波長を合わせただけだから]

なら安心だ。

「…女の子なんだ」
[まだ生まれてないからわからないけどね。
改めてはじめまして、サポートの卵だよ]
「あ…こちらこそはじめまして、白馬弥那です」
「なら俺の名前は…
「[知ってる]」
…orz」

いってから突っ込んで欲しかった。

それから適当に今までのことを報告したあと(骨にビビったことは隠した)、
出発することになった。

「また来てね。有角さんから伝言あるかもしれないから」
「わかった」

「いってらっしゃい」
「[いってきます]」


もどってきて

[さあ! 跳ぶんだ蒼真!]
「ちょっと待った。一回降りて地上で試してからでも…」
[僕たちには時間がないんだ!]
「適当なこと言ってないか…?」

うだうだいっていても仕方ないので、
ソウルに魔力を通す。

ブワッ

風とともに羽の生えた鎧が背中に現れた。
この感触だとパラシュートというよりグライダーのようだ。
これなら大丈夫だ。大丈夫のはずだ。

「行くぞ…」

バッ
フワッ
ストッ

無事についた。
が、あの一瞬の浮遊感は気を失いかける威力があった。

[これで進めるね]
「これで行き止まりだったら泣くけどな」
[悲観的になったりすると魔物が寄ってくるよ。ほら]

さて、さっそく来たか…。
なかなか好戦的な魔物たちじゃないか。

「よし! 卵よ!」
[うん]
「隠れてやり過ごそう!」
[やっぱりか]

とっとと先に進もう。





オマケ

「そういえば有角に首蔵が余ってるか聞いたのか?」
[首蔵?]
「これのことだよ」
[あーこれか]
「うん。でもやっぱり余ってないって」
[そりゃ結構なレアアイテムだからね]
「そうなの? でも有角さん自分のを渡そうとしてくれたのよ?」
「…」

やはり弥那狙いなのか…?





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 クレイモア
防具 ふだんぎ
他1 首蔵
他2 卵(サポート)

新しいソウル

フライングアーマー

その他

PIT(ポータブルインフォメーションターミナル)小型情報端末
魔物図鑑機能


ユージン、イン自動車合宿教習所なう

文章上不自然な部分などは、
箇条書きで教えていただけるととてもありがたいです。

見直すと小学校の頃書いた感想文みたいになってるような気がせんでもないとも言い切れ無い感じになってることは、
よくあることですよね?



[20761] 暁月編9[蛇と宗教家]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 21:02
**********

前回のあらすじ

高いところなんてぜんぜん怖くなんかないよ!

以上

**********

悪魔城。
あまたの魔物が跋扈するこの空間にそれはあった。

[(ほんとにばれないの?)]
「(実際ばれてないだろ? 魔物も不自然だとは思ってるみたいだけど襲ってこないし)」

段ボール箱である。
休憩に行ったときに弥那にことわり、食料の入っていたダンボールをもらってきたのだ。

これまでの魔物の反応を見る限り、
このへんのゾンビやらスケルトンやらは直接俺の姿を確認しない限り襲ってこない。
また、気配を感じたりといった能力もないようだ。

まあ新しい魔物がいたらまた別だが…


いました。

「(図鑑図鑑…あった)」

ゾンビアーミー

[(あれは…1999年の時に乗り込んできた軍人さんの死体だね…)]
「(退魔師以外の人間をいれたのか?)」
[(あの時はどこの国も自分たちの国こそが魔王を倒した英雄だっていうのを望んでいたからね…。
教会からやめるようには言われていたみたいだけど、この量だと裏で勝手に軍を動かしてたんだね…。
はじめから専門家に任せておけばここまで被害はでなかったと思うけど)]

うーむ。
まあ少数の人間に人類の未来を任せてしまうというのもちょっとな。

コロンコロン…

「[ん?]」

足元にピンの刺さった丸い形をした物体。
どう見ても手榴弾です。本当にありがとうございます。

「!?」
[あ! ちょっ!]

ガバッ

とっさにダンボールを首蔵にしまい、手榴弾を拾い上げ遠くに放り投げた。

「び、びっくりした…」

はじめて本物をみた。
ピンは刺さっていてもびびるわぁ…。

[あのさ…蒼真…]
「ん?」

「「「アー…アー…」」」

ゾンビアーミーに囲まれていました。
みんな手榴弾を持って。

「!?!?」

ザワ…ザワ…

[後ろからもきてるよ! ってか全部憑いてきてるんじゃん!]
「と、突破するぞ!」

手榴弾を投げつけられた。
だがあくまでゾンビ、動きは遅い…!

「その頭を…踏み越える!」

ポーン
シュタッ

[とにかく安全なところまで!]
「走り抜ける!…!?」

ドカーン! ドカーン!

後ろで起きた爆発に巻き込まれました。

「うおぉぉぉ!?」

**********

あの後俺は、吹っ飛ばされた先に地面がなくてフリーフォールを体験することになったりしたんだが
(フライングアーマーがなければ即死だった)それは置いておく。

「というわけなんですよ」
「それは災難でしたね」
「しかしグラハムさんは日本語が上手ですね」
「ふふっ。今回この日食を観に来るために勉強しましたからね」

近くにあった扉をくぐった先にたまたま人間がいたので話をしているのだ。
グラハム・ジョーンズさん。宗教家らしい。
神社にいた人間はみんな日食に巻き込まれたそうな。

「あなたはどのようにしてこの城に来たのですか? 神社では見かけませんでしたが…」
「よくわかんないんですけど、鳥居をくぐったときに気を失って気づいたら…」
「なるほど、そうでしたか」

この人は状況に詳しそうだな…

「ちょっと質問してもいいですか?」
「はい、かまいませんよ」
「ここはドラキュラ城ですよね? なんで日本の日食に出現しているんですか?」
「…ふむ。あなたはどれくらいこの城のことを知っていますか?」
「とりあえずは…
1. 吸血鬼ドラキュラの魔力の結晶であること
2. ドラキュラが滅んでその魔力の残りカスであること
3. 復活するたびにその姿が変化すること
…ほかにもなにかありそうだけどこれくらいです」
「…一般人にしてはちょっと詳しすぎる気も…
「オカルト趣味なんです(嘘)」
…まあいいでしょう」

危なかった。前世の記憶でドラキュラの生誕秘話とか話す勢いだった。

「ノストラダムスの大予言を知っていますね?
恐怖の大王…ドラキュラは1999年に完全な力を持って復活しました。
しかしヴァンパイアハンターたちがドラキュラを完全に滅ぼしました。
その結果魔王が復活の輪廻から放たれ、その力の象徴であるこの城が”日食”という現象に封印されたのです」

つまり日本のである必要はなく”日食”があればどこにでも現れるのか。

「しかし、続きとも言える別の予言が存在したのです」

!?

「2035年…。
城は新たな城主を迎え、力を受け継ぐ者が現れる」

…アルカードは?
いやそれよりも

「2035年…今か…」
「ご理解いただけたようですね。
おっと、話が過ぎました。もう、行かなくては…」
「あっ、有難うございました」
「では、失礼。くれぐれも、気をつけて」
「グラハムさんも」

コツッコツッコツッ

行っちゃったな。

[蒼真…さっきの男には気をつけたほうがいい]
「うぉ!? ずっと黙ってたと思えば…さっきの男…グラハムさん?」

なぜに? いい人っぽいが…

[確かに言っていることは間違ってない。でもなにか違和感があるんだ]
「違和感?」
[…とにかく気をつけて]
「ふーん…」

ぬぅ…実はサンジェルマン伯爵だったとか?
ないか。

まあ次会ったら考えよう。
とりあえずまとめると
ドラキュラは完全に消滅。
だがその力は消えていない。
今ちょうど後継者が現れる。

…待てよ?
有角は城主の間を目指せって言ってたよな?
どういうことだ?

[蒼真?どうしたの?]
「ん? いや、たいしたことじゃない」


次弥那のところに戻ったら有角への伝言を頼んでみるとして、
今はとりあえず先に進もう。






オマケ

「ところで手榴弾の威力が、数の割に思いのほか弱かった気がするんだが…」
[あれは魔力で作られたまがい物だよ。昔持ち込んだ本物が混じってたみたいだけど。
魔力で作られた方はそこまですごい威力じゃないはずだよ。低級の魔物の作ったものだから]
「そういえばソウル手に入れてたな。えい」

ポンッ

「ピンはないのかよ!?」
[早く捨てないと!]

ボフッ

[…ね? あんまり威力無いでしょ?]
「すごく痛いけどな…」





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 クレイモア
防具 ふだんぎ
他1 首蔵
他2 卵(サポート)

新しいソウル

ゾンビアーミー

その他

PIT
魔物図鑑機能
段ボール箱

ユージン、イン自動車合宿教習所なう

文章上不自然な部分などは、
箇条書きで教えていただけるととてもありがたいです。




[20761] 暁月編10[礼拝堂散策]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 21:04
**********

前回のあらすじ

兵など所詮捨て駒よ…
この気持ち…まさしく愛だ!(宗教的な意味で)

以上

**********

廊下を抜けるとそこは礼拝堂だった。

「悪魔城という名前なのに礼拝堂とはこれいかに?」
[礼拝堂とかは無駄に清浄な空間になっているから、結界がなくなると魔物とかの巣になっちゃうんだよ]

いや、そういうことじゃなくて何考えて城の中に礼拝堂を作ったのかと。
ドラキュラが魔王になる前に設計したのか?
作ったのは大工だろうが。

「火の玉…ゴーストがブンブン飛んでるな」
[生きているものに吸い寄せられる悪霊だね]

近づいてきたら叩き落すということで、ほっといて進もう。

「そういえばあとどれくらいで記憶が戻ったり、体を作れたりするんだ?」
[んー、あとちょっとかな?大型の魔物を倒せれば魔力の塊ですぐかも]
「あんまり戦いたくないんだけどな」

魔物を説得とかができればいいのに。

「今のところ骨(紫)以外はみんなオレサママルカジリ型だからなぁ…」
[なにそれ?]
「問答無用で襲ってくるって意味だよ」

魔物と会話できるソウルもあるかもしれんな。
考えておこう。

群がってくるゴーストを適当にさばきながら進んでいると、
前方からこのまえ倒したがしゃどくろ(図鑑より)とおなじくらいのサイズのゴーストが飛んできた。
ふつうのゴーストと違い、炎の中に頭蓋骨が見える。
つくづく骨に縁がある。

[大丈夫?]
「大丈夫だ…こ、怖くなんかないんだから! 心配しないでよね!」
[………]

うけなかったorz

さてそんなことを言っている間にビッグゴースト(仮)もこちらに気づいたようだ。

[広い場所で戦ったほうがいい]
「たしか地図だとこの先は広い空間があったはずだな」

体当たりをしてくるビッグゴーストの横を通りすぎ隣の部屋に移動すると、
確かに広い部屋に出た。

「だが、足場が階段じゃあ戦えないんでないかい?」
[とりあえず踊り場まで移動しなよ]

トットットットッ…

階段を下っていく。
リヒターってすごかったんだな。
階段でジャンプなんて、ぼくにはとてもできない。

ストッ

さてビッグゴーストはどのへんかな?
そう思い後ろを振り返るとそこにはなにもいなかった。

「…振り切ったかな?」
[いや、来るよ!]

ヌポッ

そんな音はしていないが、階段の中腹辺りからビッグゴーストの頭が見え出した。
そりゃあ幽霊だから障害物なんて関係ないわな。

とりあえず俺はクレイモアを振りかぶり、全力で叩きつけた。

「せいっ!」

あっけなく崩れていく悪霊。

「障害物は通り抜けるのに武器は通り抜けないのか」
[人が持つものはある程度魔力がこもるからね。それよりまだ終わってないよ!]

崩れたビッグゴーストの下顎がぶつかってきた。

「なんの!」

サッ

バックステップで華麗に避ける。
だいぶ戦うのにも慣れてきた。と思っていた。

ガッ

「あ」
[ここ階段だよ…]

ゴロゴロゴロ

階段を転げ落ちる。
地形をしっかり判断しないといけないと心に刻んだ。
自称中級者が一番危ないというのは本当だった。

「いてて…」
[鼻血出てるよ…]
「ぬう…」

俺ってカッコ悪いorz
なんだか魔物と戦うよりそれ以外で地味に痛い思いをしていることが多い気がする。

ビッグゴーストは崩れていったようだ。
鼻にティッシュで栓をして先を進むことにしよう。

[蒼真…カッコ悪い…]
「ほっとけ」

**********

[ここを下だね]
「今度は螺旋階段か」

階段ばっかだな、ここ。
欝陶しいゴーストをはたき落としながら進む。

トットットッ…

まだ階段はつづいているが、扉を見つけた。
なかはいつぞやの女神像だった。

「ちょっと休憩していこう」
[そうだね]

というか鼻の奥にティッシュがはいってしまったのをとってしまいたい。

「卵、これがなんだか知ってるか?」

せっかくなので聞いておく。
(ただしティッシュをとるために変な顔である)

[…魔物が人の心から生まれるって前に話したよね?
この城も人の心から生まれているんだよ]
「ドラキュラの心から?」
[違うよ。個人のじゃなくて、人の意識の集合体みたいなものかな?
だから、人の希望とかが集まってこういう場所ができるんだ。と思う]

人の総意識…阿羅耶ですね、わかります。

…うお。血が止まってなかった。

[像に触れてみなよ。軽いキズは治るし、服も乾くはずだよ?]

触る! その発想はなかった!

触れてみると本当に鼻血は止まった。
なるほど、触るのか。
前回はこういう像とかの美術品は触ってはいけないものというイメージがあったので、触らなかったのだが。
ただの休憩場所ではなかったということか。

**********

「よし、行こう」
[下にまだ先があるね]

トットットットッ…

螺旋階段はやはり目が回る。
真ん中に空洞はあるが、さすがに飛び降りる気はない。

トットットッ

下までついた。
ゴーストもだいぶ振り切ったようだ。

[そっちの道だね]

地図を見ながらふと思う。

「地図って誰が作ったんだ?」
[ここで便利なものは、さっきのと同じように人のプラス面の結晶だと思うよ]

人の希望とかなんやらを背負う俺。
めっちゃ勇者じゃん。

「クククッ…悪くない…」
[早くいきなよ]
「おう」

卵のツッコミ力が足りない。

**********

「あれがノミ男か」
[すばしっこいよ。気をつけて]

「また爆弾か」
[隙をみて手榴弾でも投げつけたら?]

「うわ! きもっ!」
[ウネだよ。突然変異すると可愛くなるよ]

いろいろな魔物と闘いましたが、ソウルはウネしか出ませんでした。

「ソウルのでてくる条件ってなんなんだ?」
[さあ?]




「またこの扉か」
[なかに強いのがいるみたいだよ]
「さて鬼が出るか蛇が出るか…」

ゴゴゴッ

「ライオンが出たよ」
[さそりでもあるね]

「ガアァァァ!」

混ざったなにかと遭遇した。





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 クレイモア
防具 ふだんぎ
他1 首蔵
他2 卵(サポート)

新しいソウル

ウネ

その他

PIT
魔物図鑑機能
段ボール箱

ユージン、イン自動車合宿教習所なう

文章上不自然な部分などは、
箇条書きで教えていただけるととてもありがたいです。




[20761] 暁月編11[魔獣戦線]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 21:08
**********

前回のあらすじ

人の希望 = 悪魔城で便利なものすべて
階段 = 敵

以上

**********

「羽の生えたサソリの尻尾をもったライオンだな」
[確かにそうだね]
「あれか? キメラとかキマイラとかそんなのか?」
[たぶん天然物だからマンティコアじゃないかな? 違いは知らないけど]

大丈夫だ…。骨ほど恐怖は感じていない…。
戦える!

わたしには ひるいなき ゆうきが みについた。

「ガアァァァ!」

この バックステップで きみらのこうげきは さけるぞ。

サッ

パーフェクト…

バサッ

!?
はばたいた!?

ザシュッ

無理でした。
爪で服を破かれました。

ちくしょう。やっぱり飛ぶのかよ。
滑空飛行して攻撃範囲を広めるとは。
完全に避けれるタイミングだったのに。

ならばその機動力を奪う!

「着地取りぃぃぃ!」

ザシュッ

大きく一歩踏み出し、すれ違い、翼を斬りつける。

「グガアァァァ!」

もしかして今俺はものすごくカッコ良いのではないだろうか?
まるで剣の達人…本物だったら片翼と言わず一瞬で両翼を細切れにするんだろうな…。
ん? 影が…

[前に跳んで!]

ゴッ

その声の一瞬あと、俺のいた場所をマンティコアのしっぽが貫いていた。
あ、あぶねえ…。
とっさに前に飛び出さなかったらえらいことになっていた。

「ナイスだ卵」
[油断しないで。あのしっぽ…かなり厄介だよ]

やけにあっさり斬られると思ったら、しっぽがあったか。
だがもう滑空は…あれ?

「おい卵」
[なに?]
「翼が元通りなのはどういうことだ」
[再生してたよ]

おいい!?

「再生ってどうすんだよ!?」

適当にウィングスケルトンの槍で牽制しながら話す。

[大丈夫。強い再生力はないよ。それに再生するのに体力を使うみたいだ]
「地道にチクチク体力を削るのか?」
[いや、それよりも再生できない威力の攻撃で倒したほうがいい。
あのしっぽ…たぶん毒だよ]

さそりだからな。

「ガァ!」

ボワッ

「うお!?」

くそ、火もはくのか。
距離をとるのは危険か。

一撃…一撃を決めるためには…

「ガアァァァ!」

くそ!

「もう少し待てよ!」

水鉄砲で顔面を撃つ。

バシャッ

「ガアァァァ!?」

サッ

そしてバックステップ。

バサッ

!? ミスった! 滑空して当ててくる!

ブワッ

と思ったが、その爪は俺のやや手前を空振りした。
水が目潰しになったようだ。

ゴッ

さらに先程まで俺のいた場所にしっぽが突き刺さった。
前が見えてなくてもしっぽを動かしてくるのか。


「卵! 全力で剣を叩きつければしっぽって切れるか?」
[蒼真の力なら…根元ならたぶん切れるよ]

だったら…

「グルルルル…」

めっさ怒ってらっしゃる。
これなら挑発する必要もないな。

俺は一番近い壁の方に走りだした。

「来い!」
「ガアァァァ!」

怒りで火を吐くことも忘れているようだ。
ただ追いかけてくる。
この距離なら追いつかれない!

壁の間際で振り向き、
もう一度水鉄砲で顔面を撃つ。
そしてバックステップ、ではなく前転して後ろに回り込む。
こうすると最初のようにしっぽが飛んでくるはずなのだが、

バサッ
ゴスッ

前も見えず滑空したマンティコアは壁に頭をぶつけたのだ。

「ガアァァァ!?」
「古典的で悪いね!」

頭をぶつけた衝撃か、のた打ち回るマンティコア。
そのしっぽの根元に、俺は全力でクレイモアを叩きつけた。

ズバッ

「グギャァァァ!?」
「さすがに完全にちぎれちまったら再生すんのにも時間がかかるだろ」

憎しみのこもった瞳でこちらを振り向こうとするマンティコア。

「グルルル…」

だが

「!?」

足元にすれ違いざまに植えつけたウネによって足を絡め取られた。
しっぽを切り落とされ力も弱っているのだ。
魔力を全部つぎ込んだウネはそう簡単には取れないだろう。

バサッバサッ…

はばたいて逃れようとするマンティコア。
その翼を根元から切り離す。

「グギャァァァ!」
「悪いな。言葉が伝わらない相手に情けはかけられないんでな」

そして、俺はクレイモアをマンティコアの脳天に突き刺した。

**********

[蒼真…大丈夫?]
「なんとかな…」

普通に戦えた。
疲れた。

[とりあえず、もう恐怖にとり殺される心配はないみたいだね]
「ちっと生物を斬った感が手に残っててやなんだが…」

ちょっと憂鬱。
完全にオレサマオマエマルカジリ型だから仕方ないが。

フワッ

魔力の珠だ。

「これって服とかも直ったりするのか?」
[さすがにそこまではしてくれないと思うけど…]

むう。
今回はケガらしいケガもしてないしなあ。

「この魔力の珠、全部お前が吸収するとかどうよ?」
[んー、ちょっと吸収量より多すぎるかな。とりあえず蒼真がとってよ。
あとで蒼真から吸収するからさ]

さいですか。
珠に触れると、疲労は一気に取れた。

これで一段落か。


[あ…]
「ん? どうした?」
[う…]

う?

[生まれる…]

!?

「え、ちょっ、おま!? うぇ!?」
[僕が…]

ですよね。

「ど、どうすればいい!?」
[大丈夫…ポケットから出して…手のひらに置いといて…]

卵を取り出すと、光を放っていた。
すげえ。
その光がひときわ強くなり、卵は糸のようにほどけながら中身をあらわにしていった。
とても神秘的だった。

そして

「蒼真。改めて自己紹介だ」

俺は

「半分は自然の妖精、半分は君の魔力からできた半妖精だ」

手のひらサイズの少女に出会った。



「ちゃんと名前は考えてあるのかな?」

だが服を着ていなかった。





オマケ

「無事に孵化したか…」
「? どうしたの、有角さん?」
「いや、蒼真にこれを渡しておいてくれ」
「これって…人形の服?」
「必ず必要になるはずだ。俺はもう行く」
「え? あ、ちょっと…いっちゃった…」
なにに使うんだろう?





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 クレイモア
防具 ふだんぎ(破け)
他1 首蔵

新しいソウル

なし

その他

PIT
魔物図鑑機能
段ボール箱

ユージン、イン自動車合宿教習所なう
仮免ライダーになりました(MT普通)

地の文は増やすことがユージンの技量的に難しいのです。
申し訳ありません。
今後少しずつでも増やしていけるように頑張ります。

とある・・・氏には…ていうかみんなたぶんわかってましたね。
半妖精名前募集中
鼻悪魔と言われてちょっと迷ったりもしました。

なぜこの合宿所の漫画はすべて完結間際の巻がないのだ…。
からくりサーカスもゲットバッカーズも天上天下ですら…。



[20761] 番外編1やるんじゃなかった【私立キャッスルバニア学園】
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 21:09
「卒業式の日に、校庭のはずれにある伝説の樹の下で、
女の子から告白され成立したカップルは永遠に幸せになる」
という伝説がある私立ときめき高校。

そんな学校に入学した俺は、
部活や勉強で自らを磨きながら高校3年間を過ごしていく、はずだった。

「あ、ドラキュラ校長先生。おはようございます!」
「ほおぅ…元気があぁってぇ、大変よるぉしいぃ!」

「「「キャーッ有角先生よ! こっちむいてー!」」」
「…貴様らには死すら生ぬるい」
「「「キャーッ!」」」

「めずらしいですね、デス先生が保健室の外にいるなんて」
「ガラモス教頭がまたやらかしたそうで…」
「なんであの人教頭なんですか…」

なにかが違う。
どうしてわざわざ私立を受けてこんなところに来てしまったんだ。
いちども見学に行かなかったのが悪いのか。
転生したおかげで勉強自体は余裕綽々だったので、弥那と同じ学校に行こうと思っただけなのに。

「よぉ来栖!」
「あぁ…おはようございますリヒター先生」
「どうした? 元気が無いじゃないか」

朝から暑苦しい体育教師に声をかけられたからですが。

「そうそう。今度の大会でうちの部の助っ人にきてくれないか?ちょっとけが人が出ちゃってさ」
「遠慮しておきます」

三次元に動きまわるサッカーはできません。

ちょっと不満そうなリヒター先生を残し、俺は教室に向かった。

**********

一時間目 英語

「ヨーコせんせー、このあいだ駅前にいませんでしたかー?」
「!? そ、そんなこと別に関係ないじゃない!授業を始めるわよ!」
「なんかユリウス先生と一緒にいたって…」

ガラッ

「ヨ、ヨーコさん…」
「用務員のハマーさん…?」
「ど、どうしてユリウス先生と…」
「ちょっと買い物に付き合ってもらっただけですよ」
「ほ、ほんとに…?」
「ところでそれがどうかしましたか?(悪意なし)」
「!?」

ここまですべて英語である。

**********

二時間目 数学

「はい、これが微分方程式ですね」

黒板の図式をすべてノートに書き写す。

「みなさんノートに書き写しましたか?
どこかわからないことはありませんか?」
「はい」
「はい、シャーロットさんなんですか?」
「あのこの式だと…
(中略)
…と思うんですけど、先生はどう思われますか?」
「え…あの…そのですね…」

シャーロット…ヴィンセント先生の時だけこうなるな…

**********

三時間目 化学

「このように、三つに分けて保管することで薬品の劣化や干渉を防ぐことができる」
「先生、質問が…」
「あとで質問の時間を設けると言っただろうが! この馬鹿生徒が!」

殴るこたァねえだろうが…

**********

四時間目 体育

「こうスライディングしたときに、斜めに足を突き上げて空中をだな…」
「「「無理です」」」
「じゃあ空中で水平方向にタックルを…」
「「「無理です」」」

余談だが、保険になると髪が伸び悪い表情をするようになる。

**********

昼休み

キーンコーンカーンコーン

「蒼真くん。一緒に食べようよ」
「いいよ。屋上に行こう」

屋上
うちの学校は珍しく屋上が開放されている。
フェンスが高く強靭なもので囲っているのも理由の一つだとは思うが、
うちの大半の生徒が飛び降りても大丈夫そうなのが理由の大部分だと弁当を食べながら思う。

「あのさ、蒼真くん」
「ん? どうした?」

「この学校に入ったの、後悔してる?」

結構ね。とはいわない。

「いや、弥那と一緒だからな」
「もう…またそうやってからかって…」

後悔しているが、通学し続けているのは弥那をここにひとりにできないからだ。
正直言って心配過ぎる。
いまも裏山の方で、高速回転する男が森に消えていった。
ここは魔境だ。

「もうそろそろチャイムなるな…ごちそうさま、美味しかったよ」
「お粗末様でした」

キーンコーンカーンコーン

「んじゃあと二時間がんばりますか」

**********

五時間目 美術

「そう! これこそがっ! まさに! 血の、芸、術!」
「救急車呼べ!」
「またかよ」
「毎回血を抜き過ぎなのよ」

いや、明らかに人の出していい血の量じゃないだろ。
猟奇殺人現場みたいになった美術教室から運びだされる教師を見ながら思う。

**********

六時間目 物理

「時間の止まった空間では空気ですらなにも通すことのない絶対的な壁になります…
これを応用した核融合炉の設計を考えた場合…」
「時間を止めることってできるんですか?」
「フフッ…あくまでできたら…の話ですよ…」

DI…アイオーン先生の授業は実に興味深いな。

**********

緊急集会

突然校長に体育館に全生徒が集められた。

「いったいなんだろ」
「さあ?」
「バイトあんのになー」

ざわついている体育館。

「みなさん静かにしてください、サンジェルマン理事長からおはなしがあります」

…理事長がでてくるのはめずらしいな。
いったいなんだ?

「みなさん、今日の授業お疲れ様でした。
疲れているところに申し訳ないのですが、残念なお知らせがあります」

ざわ…ざわ…

「なにかしら?」
「ガラモス教頭が自殺したとか?」
「あの人なんで教頭やってるんだろ」

ざわ…ざわ…

ざわつく体育館。

「みなさんお静かに!」

再び静かになる。

「ではお知らせします。
ガラモス先生が勝手に金庫の資金に手をつけたため、校庭のはずれの伝説の樹がなくなります」

!?

「わが校の象徴とも言える樹であるため本来は許されることではないのですが、
維持し続ける事ができないため、国の施設にて保護されることになりました」

ざわ…ざわ…

「もともとあの樹は古来種であり、以前より国から…」

「ざけんなよ!」
「まだ告白されてないのに!」
「ガラモスどこいった!」

「静かに! 静かにしてください!」

まさか、象徴である樹がなくなることがあるなんてみんな思ってなかったようだ。

「…しかし、このままなくなってしまってはあまりにも味気ない」

再び理事長が話し始めると体育館は嘘のように静かになった。

「よって、現一年生が卒業する日の翌日! その日までは私がポケットマネーで維持し続けることにしました」

!?

「伝説は私も知っています。各々悔いの残らぬ学生生活を送りなさい!」

**********

「俺…あんなに理事長がカッコよく見えたの初めてだ…」
「同じく…」
「おい急いでバンド始めるんだ!」
「リヒター先生! 俺に修行を!」

「無駄ににぎやかだな…」
「蒼真くんは伝説のこと知ってるの?」
「噂程度には。そういう弥那は?」
「んー、秘密?」
「なんだよそれ」

しかしガラモス教頭…どうして教頭なんだ?

「ねえ蒼真くん」
「ん?」
「ちょっとあの樹のところに寄って行こうよ」
「別にいいけど…」

なんで?

歩いていく弥那についていく。


伝説の樹
なんでもありえない時代に生まれたとされる生きるオーパーツ。
樹齢が測定できないとか何とか。
その根元にやってきた。
夕日で辺りは赤く染まっている。

「ねえ蒼真くん」
「?」

弥那は樹に触れながら話す。

「卒業式の日以外に告白したらどうなるのかな?」
「!?」

振り向いた弥那の顔はいつになく真剣で。
夕日のあたるその姿に俺は目を奪われた。

「…なんてね!冗談!」

いっつもからかってくるから仕返しだよー、なんていう弥那。
対する俺は表面上冷静にしていても、早くなった心臓の鼓動を鎮めるのに必死だった。

**********

卒業式まで三年弱!
それまでに蒼真は自らを鍛えあげ、理想の男子になれるのか!

次回「一緒に帰って噂になると困るし…」





ユージン、イン自動車合宿教習所なう

半妖精名前募集中ですので、適当に書いてみました。
ごめんなさい。



[20761] 暁月編12[孵化]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/13 22:34
**********

前回のあらすじ

「壁に激突させて倒す…ゲーム好きの蒼真くんが考えそうなことだ」
[おめでとうございます!元気な女の子ですよ!]

以上

**********

目の前には人形くらいの透明な羽の生えた少女。
裸の。

「卵…か?」
「いまは卵じゃないよ」

確かに。
だがそれより重要なのは

「…服を着ろ」
「なに恥ずかしがってんのさ」

いくらリ○ちゃん人形サイズでも、裸はまずい。
主に俺が。

「服なんて持ってないよ」
「…ちくしょう」

破れた服から適当なサイズの布を切り取り、簡単な服を作る。

「へー…器用だね」
「ほれ、着れ」
「うん」

もうこの服は着れないな。
とりあえず、破れた服を捨てコートをはおる。
上半身裸コート。

「おお! ワイルド!」
「やかましい」

さて

「捕まえた半妖精にニックネームをつけますか?」
「ニックネームより先に真名をつけてよ…」

真名?

「龍宮?」
「誰? 真名っていうのは…」
「ごめん、大体わかる」
「ならよろしく。さあ!」

どうしよう。
妖精…妖精…パック…チルノ…修造…ビリー…
違うよ、ぜんぜん違うよ。

[半分は君の魔力]


じゃあ
「イツキ」
「イツキ?」
「そうだ。お前の名前はイツキだ!」
「イツキ…」

齋。
前世の苗字。
いまは誰も使っていない(はずの)名前。
自分のもうひとつの名前でもある。
詳しくは知らないがなんかすごかったらしいし、
ちょうどいいのではなかろうか。

「んー…うん。いいよ」

ちょっと迷っていたが納得したようだ。

「じゃああらためて」
「ああ」
「僕は半妖精、イツキだ。よろしく」
「俺は人間、来須蒼真だ。よろしく頼む」

俺達はそうして、小さな手と大きな手で握手をした。

**********

で、その後探索を再開したのだが…

「頭に乗るのはやめてくれ」
「ポケットはさすがに狭いし、飛ぶと疲れるから…」

魔物をさばきながら話す。

実はこの半妖精ボディは完全体ではないらしい。
成長期サイズらしい。
成熟期以降だと飛んで追いかけてくることもできるが、
いまはまだ無理とのことで。

「せめて肩に乗るのはどうだろうか?」
「視界遮っちゃうじゃん。胸ポケットがあったらそこがいいんだけどな」

とりあえずあきらめて先を進む。

下り道か。
近くにいたゴーストを叩き落す。

ボシュッ

お?
ソウル手に入れた。
ミニデビル。
ゴーストだと思って叩き落としたのだが。
真空波をだす…。

「蒼真!」



「アー…」

サッ
ガシャッ

あぶねえ。
剣を持ったゾンビか。
ちょうどいい。
ソウルオン!

「裂けろ!」

ズバッ

「うわ…」
「真っ二つだな…」

頭頂部から股間まで縦に、まさに真っ二つだった。
これは人に向けて撃ってはいけないな。
あと、次からは指パッチンにあわせて使おう。

っと、扉だな。

「イツキ。この先は?」
「地図だと蔵書庫…図書館だね」

ほう…。
ネクロノミコンとかあるんかな?
オカルト、意外と好きだった。タロットとか陰陽道とか。
ゲームやってると設定見るのが楽しくなって、
元ネタを調べるのも楽しくなる。
あるある。

「行くか」
「油断しないでね」





オマケ

「しかし何か服を見つけないと弥那のところに帰れないな…」
「そのまま帰ったら?」
「…来栖家にはその素肌を見られたものと契を結ばなくてはいけないという鉄の掟が」
「はいはい」
「とにかくコートを破かないようにしないと」
「大事なモノなの?」
「弥那からもらった誕生日プレゼントなんだ」
「へー。そういえば蒼真は弥那ちゃんとどういう関係なの?」
「…妹、いやむしろ娘みたいなもんかな?」
「え?」
「え?」





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 クレイモア
防具 コート
他1 首蔵

新しいソウル

ミニデビル

その他

PIT
魔物図鑑機能
段ボール箱

ユージン、イン自動車合宿教習所なう

いろいろ仕様を変更しました。

指パッチンって正式名称あるんですかね?



[20761] 暁月編13[図書館の魔物たち]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/14 22:13
**********

前回のあらすじ

「手伝ってやろうか?ただし真っ二つだぞ!」
あと名前が決まった

以上

**********

「漫画もあるんだな」
「悪魔城の性質上なんでもあるとおもうよ」

本を取ろうとしたら後ろから血濡れのナイフが飛んできたり、
魔力のこもった本に襲われたりもしたけれど、私は元気です。
ボロ布だけど服も見つけました。

すごい本の量だ。
近所の図書館とは比べものにならない。
読書が趣味の俺としては端から順番に読んでいきたいと思うのだが、
大きな問題がある。

「日本語でおk」

読めないです。

「これラテン語かな」
「読めるのか!?」

期待を込めてイツキをみる。

「ぜんぜん!」
「…期待してたのに」

無茶言わないでよー、というイツキをスルーしもう一度辺りを警戒する。
本を取る前に襲ってきたのみ男やエビルブッチャーは倒した。
ソウルも手に入れたが、その後に
「なんだかよくわからないものの皮」を表紙に使った本に噛みつかれて忘れていた。

ソウルは…のみ男の召喚とナイフか。
のみ男はどうでもいいが、ナイフは便利そうだ。
ミニデビルといいエビルブッチャーといい、最近は便利なソウルがたくさん手に入ったな。

「さて、読めない本はあきらめて…何冊か持って行こう」
「首蔵にも限度があるから持ち過ぎないようにね」

結局棚の一列を持っていくことにしました。

**********

少女は後悔していた。

「あ…ああ……」
「フフフッ」

彼女はまだ生まれたばかり。
未熟者の自分がひとりでうろちょろすれば、
他の魔物に襲われることもあるということを理解できていなかったのだ。

「…やああっ……」
「ちょうどお腹もすいていたの…」

逃れようにも、蜘蛛の巣が体に絡まって動くこともままならない。

この近辺に現れる下半身が蜘蛛の女モンスター、アルケニー。
巣にかかった獲物は何でも食べる。
それがたとえ魔物でも。

「いただきまーす!」
「いやぁぁぁ!」

とっさに目をつぶる。
だが予想された衝撃はこなかった。

ガギッ

「…?」

うっすらと目を開ける。

彼女は魔術関係の本を読むよりも、人間の描いた物語を読むことが好きだった。
窮地に陥ったお姫様を助ける勇者の物語。
そんなことが現実にはおきることなんてない。
そう思っていた。

「なんでとびだしたの!」
「いや、さすがにこれを見逃すのは見た目的にちょっと…」

ひとりの少年がアルケニーの爪を受け止めていた。

**********

どうしよう。
悲鳴が聞こえたのでとっさにとびだしたら、
助けた娘が魔物でした。

「魔物が魔物を襲うこともあるのか?」
「よっぽどお腹がすいていたんじゃないかな!」

若干怒っているイツキをスルーする。

さて、今回は会話が通じそうだが…

「そこの蜘蛛のお嬢さん。ちょっとこの娘を見逃してくれたりはしないかな?」
「やあよ。だってお腹がすいているんだもの」

ぬう。適当に散策してうまい肉でも探してくるべきだったかな。

「…やっぱりやめたわ」



「だってもっと美味しそうな人間がいるんですもの(ハート)」

そうきたか!

「襲ってくるなら容赦しねーぞ!」
「人間が偉そうな口をたたくものね!」

蜘蛛足を振り回してきた。
とりあえずバックステップで距離をとり、
蜘蛛の巣に絡めとられている魔物の少女の近くに向かう。

「ひっ…」

怯えられたorz
ともかくまわりの蜘蛛の巣を取り除く。
もちろん指パッチンで。

パチッ
ヒュオッ

俺いますごいカッコいい。

「とっとと逃げろ」
「……」

魔物娘はなにか言おうとしたが、黙って走り去っていった。
俺今すごいカッコい…

「シャアッ!」

ブオッ

「あぶね!って、あっー!」

ズシャッ

また服が破れたでござる。
ちくしょう。

「蒼真!とりあえず足を減らしたらいいと思う!」
「オーケイ!」

パチッ
ズシャッ

「痛っ!」

指パッチン万能説。
足の半分以上を細切れにした。

「やるじゃない…でもまだまだよ!」
「あきらめて巣に帰ってくれ!」

バシャッ

水鉄砲で吹っ飛ばす。

「ウフフッ…せっかくのご馳走…ご馳走…」

満身創痍でこっちをナメるようにみつめる蜘蛛女。
正直言ってマジ勘弁www

「ていっ」

トスッ

「あっ…」

眉間にナイフを投げつけて倒しました。
やっぱり人型(上半身だけだが)は相手にしにくい。

ボシュッ

ソウルゲット。
こ…これは…!

「お疲れ様…でも今回は自分からとびこんだんだからね!」
「いや…そんなことよりも!」

ソウルに魔力を通す。

「スパイダーストリングス!」

ビュルッ
ベチャッ

「これ! すごいだろ! なあ!」
「……」

…イツキに俺の感動は伝わらないようだ。
しかしこれまた便利なソウルだ。
戦いたくないときはとりあえず相手にこれをぶっかけよう。

さて、奥に進むか。

**********

彼女は信じられないものを見ていた。

目の前でただの人間(というには不思議な能力がいっぱいだったが)が、
自分の手も足もでなかった蜘蛛の魔物を倒したのだ。

魔物と人間の間には大きな力の差がある。
しかし人間の中の退魔師というものは、
その差を埋めるどころか魔物を圧倒するものもいるという。
彼もそのような退魔師のひとりなのだろう。

だが彼は自分を助けた。
退魔師は魔物にとって忌むべきものであり、逆もまた同じである。
そう彼女は書物から学んだ。

本に書いていないことが、彼にはある。
知りたい。
好奇心からか、
彼女は彼のあとを追いかけることにした。
助けられた時から高鳴る胸の鼓動に気づかぬまま。

今度は蜘蛛の巣にひっかからないように。

**********

「…まだ憑いてきてるよ、あのまじょみならい」
「ほっとけばいいさ」
「前にも言ったけど、見られている状態っていうのは精神に負担をかけるんだよ!」

かわいい女の子なら大丈夫です。

「…変なこと考えた?」
「ノー! 絶対にノー!」

本の迷宮を進み続ける。

「…で、あの娘。どう思う?」
「蜘蛛の巣に絡まっていた姿がなかなか可愛かったな」
「! 蒼真ってそっちの側なの!?」
「ちょ、違う! 絡まった姿が! じゃなくて絡まっていても! って意味だよ!」

誤解を解くのに結構時間を食いました。

**********

ちょっとひらけた場所に出た。
その中心にひとりの女性。
人間のようだが用心して近づく。

「こんばんわ…」
「あら、あなた…蒼真君?」

サッ

バックステップで距離をとる。

「…なにものだ?」
「あっ、ごめんごめん。驚かせちゃった?私、ヨーコ・ヴェルナンデス。教会の者よ」

教会の…ヴェルナンデス!

「ヴェルナンデスってあの?」
「え、知ってるの?」

あ。

「いえ、全然知りません珍しい苗字でしたので驚いただけでございます」
「…なんだか釈然としないけど」

またやるところだったぜ。

「して、その教会の人がなんで俺を知ってるんですか?」

それとなく自然に話題をそらす。

「アルカ…、いや有角幻也のこと、知ってるでしょ?」
「ああ…あのイケメンですか」

ブフッ

…目の前で美人のねーちゃんが噴出しおった。

「ご、ごめん…イケメンって…確かに顔は整ってるとは思うけど…」

ゴホンと咳払いをして仕切り直す。

「有角がなんて?」
「なにかあったら、手助けしてやって欲しいって」
「嘘だ!」
「え?」
「すいません、なんでもないです」

有角…将を射んと欲すればまず馬を射よか…まさか俺を狙ってくるとは。
弥那には気をつけるようにいっておかないと。

「信じられない?」
「ちょっと…」
「無愛想な奴だけど、あれでも案外良いとこあんのよ。
まぁ、彼もあなたと同じ暗黒の力を持つ身だから、
身を案じているのかもね」

!?

「もう一回言ってもらっていいですか?」
「? 案外良いところ…」
「その後を」
「あなたと同じ暗黒の力を持つ…」
「なっ…なんだってー!?」
「知らなかったの!?」

ちょ、うぇ、おま、暴走フラグビンビン。

アチャーと頭をかくヨーコさん。

「魔物の力を使うことができるってことしか言われてないんだけど…」
「言っちゃったものは、隠してもしょうが無いわね。
君の力は、支配の力って言って、モンスターの魂を支配する力なの…」

バイバイ吸魔の力。
支配って…支配って…!

「支配しているつもりはないんだけど…」
「それは、息をするみたいに出来ることだから、自覚がないだけ」
「俺は悪役だったのか…orz」
「あ! 暗黒の力って言っても悪の力って訳じゃないから、安心して」
「?」
「要するに武器と同じ。使う人によって、善にも悪にもなるって事」

悪用しなければ問題ないってことか。

「ありがとう、ヨーコさん」
「? いきなりどうしたの?」
「俺が悪いことには使わないと思って話してくれたんだろ?
いきなりこんな力に目覚めて、自分がわからなくなってきてたんだ」

どうしてもっと転生したての頃に目覚めなかったのかと。

「君は君よ。それ以外あり得ないわ。それがこの城では最も大事なことよ」
「なんとなくは分かるような気がする。ありがとう、ヨーコさん」
「御礼なんていいわよ。ちょっと照れちゃうしね」

ちょっとはにかんだ表情がグーですヨーコさん。

「しかしなんでよりによってこんな力が…光の勇者的な力が良かった!」
「フフフッ。聞いてたよりも子どもっぽいところもあるのね?」

魔王と戦うのは男のロマンです。

「あっ、そうだ!
君、グラハムって男知らない?」

グラハム…

「さっき会ったよ?」
「あの男には気をつけて。私は、彼がドラキュラの力を受け継ぐと思ってるわ」

イツキが違和感を感じていたけど…

「いろいろ教えてくれたよ? 予言のこととか」
「彼、自分のことなにか話してた?」

…そういえば宗教家ってことしか聞いてないな。

「君、人にだまされやすいって良く言われない?
表の顔にだまされちゃダメ!
本性を知れば、そんなこと言えなくなるわ」
「ちょ、ヨーコさん!近い!近いって!」

アップで凄まないでください。
美人さんの凄みはマジ勘弁www

「あっと私、彼を追わないといけないから。それじゃ!」
「気をつけてねー…」

風のように行ってしまった。
…探索を続けるか。





オマケ

「ちょっと待って蒼真くん!」
「うわ、びっくりした!もどってきたんですか?」
「うん。有角にあったら一言伝えてくれない?」
「?」
「管理された半妖精の素が一個なくなっているんだけど心当たりがないかって」
「………」
イツキ。だからずっと頭の後ろに隠れているのか…。





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 クレイモア
防具 布の服(破れ)
他1 首蔵

新しいソウル

のみ男
エビルブッチャー
アルケニー

その他

PIT
魔物図鑑機能
段ボール箱
本(ラテン語他)x30

ユージン、イン自動車合宿教習所なう

指パッチンの正式名称。本当にありがとうございました。

アルケニーのソウルは天井にぶら下がったりはできません。




[20761] 暁月編14[グゥレイトォ!]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/17 22:03
**********

前回のあらすじ

「ハッハッハッ…ハッハッハッ…」
「誰だ!」
「物言わぬ魔物の少女のために戦う男、来須蒼マッ!」

「暗黒の力だと? 許せる!」

「有角さん、卵どうしたんですか?」
「す、すり替えておいたのだ…」

ヴェルなんですってなんなんです?

以上

**********

図書館内でプリンを見つけた。
ピーピングアイで発見した隠し部屋の中。
ガラスの器に乗ったプリンに、少量の香草とカラメルソースが上品さを醸しだす。

「これ…どうすんのよオレ…」
「悪魔城で落ちている食べ物は、
はじめから腐ってない限りは悪魔城の中では腐らない…はず」
「ちょっと不安だな、おい」

首蔵って密閉容器以外の食べ物入れておいてもいいのかな。

いったん中の物を全部外に出してプリンをいれてみる。
…大丈夫みたいだ。
もう一度外に出したプリンは変わらずその高貴な姿を保っていた。
これなら有角からもらった食料以外もいろいろいれておけそうだ。
外に出たら通学に使おう。

プリンゲット

「地図は?」
「んー、この右の部屋になにかあるかも」
「いってみるか」

**********

変な部屋だ。

ねずみ返しのように突き出した壁。
その上に宝箱。
そして適度なサイズの立方体状の石。

サルかなんかの実験みたいだな。

石を移動させその上に立つ。
ジャンプすれば届くな。

「上にのぼった瞬間、宝箱に噛みつかれるとかどうだろう?」
「ミミックではないみたいだよ」

ふよふよ飛んで先に宝箱を確認したイツキを信じ、飛びつき一気にのぼる。
宝箱が襲ってくることはなかったがそれ以上の問題があった。

「これはひどい」

鍵かかってるんですけど。

結局もとの道を辿り別の部屋に向かうことにした。

**********

彼女は迷っていた。

彼を追いかけていて、彼についてわかったことが幾つかある。

魔物の魂を支配する能力がある。
襲ってくる魔物相手には容赦はない。
しかし好んで魔物と戦うことはない。

あくまでこの短時間においてそう考えられるだけだが。

迷っているのは、
今彼を追いかけている自分が、
彼にどう扱われるか、
ということ。

気づかれていないか、もしくは空気のようなものだと判断されているならそれでいい。
だが、もし敵対者として扱われてしまえば、自分はあっという間に祓われてしまうだろう。

そのとき彼に自分の魂を支配されてしまったら…
少しドキドキする…

**********

「あの娘なんか悶え始めたんだけど…」
「お前PIT扱えたっけ? ちょっとビデオモードにして欲しいんだけど」

俺が振り向くと物陰に隠れるので自分では撮れないのだ。

「無理。これ標準より重いよね? 改造でもしたの?」
「よくぞ聞いてくれた!」

ビクッとするイツキに熱く語る。

「タッチパネル主流の今、あえて耐久性を重視して三世代前のパネルをつかっているんだ!」
「へー…」
「それだけじゃない。内部構造も一から見なおして、耐衝撃、耐圧、耐熱耐水何でもこい!」

象が踏んでも壊れない。ほんとに。

「どうやって作ったのさ…」
「父さんに材料集めてもらって、設計は俺」
「蒼真の父さんって何者?」
「PITの主流メーカーの開発部だったかな?」

ちなみに俺のモデルを改良して法に触れない程度にデチューンしたものが、
ハイエンドモデルとして発売されている。
みんなは改造したらだめだぞ?
あくまで実験用の試作機だから許されてるんだから(笑)

**********

「さて、またボスっぽい扉まできましたが」
「あの娘いつまで憑いてくるんだろ」

うーむ。
振り向く。

「そこのまじょみならい!聞こえてるか!」

物陰に隠れた魔女見習いに言う。

「こっから先は、さらに危ないからついてこない方がいいぞ!」

聞こえてるかわからんが一応警告する。

「蒼真くんはやさしいね!」
「それほどでもない」

やっぱり若干怒っているイツキをスルーし進む。

ゴゴゴッ…

なかには…

「何も無い…行き止まりか?」
「地図だとこの先に部屋が…違う! 壁じゃない!」

確かに魔力のこもった壁なんてそうそうないよね。

壁かと思ったら巨大なさまようよろいでした。

「グレートアーマーだ!」
「こんなにでかかったっけ!?」

持ってる剣がドラゴン殺しみたいなんですけど。

とりあえず距離をとる。
毎回距離をとってるって?
ビビリだから仕方ないね。
間違えた!ビビッてないよ、戦略だよ!

「そんなに魔力は込められてないみたいだよ」
「だから動きが遅いのか」

ゾンビ並に動きが遅い。
とりあえず真空波を撃つ。

パチッ
ペチッ

あまり効果がないようだ。
水鉄砲を撃つ。

バシャッ

「錆びるまでに何分くらいかかるかな」
「つまり効果なしと…」

ウネ、引きちぎられる。
のみ男、蹴散らされる。
ウィングスケルトン、弾かれる。

「続きまして…」
「遊ばないでよ! いくら遅いからってもうすぐ追い詰められるよ!」

怒られた。

「いや、ちゃんと効きそうなことも考えたんだぞ?」
「…ほんとに?」
「見てな…スパイダーストリングス!」

ベチャッ

「…で?」
「ほれ」

ボフッ

蜘蛛の糸と一緒に手榴弾をくっつけてみた。
今までで一番威力が高いはず。
関節部狙ったし。

「…ちょっと火力が足りないかな?」
「いや効いてるよ?」

確かに剣を持つ手の肘の辺りにヒビがはいっている。
だが、

「魔力が切れそう…」
「遊んでるからだよ!?」

だって女神像が見つからなかったんだもの。

もう一発手榴弾で膝のあたりにダメージを与え、
そこにクレイモアをぶちかます。

「デアッー!」

ガシャッ
ペキッ

うまくグレートアーマーの膝を破壊した。

「また壊れた…」
「武器壊しすぎ…いけない!避けっ…」
「伏せろ坊主!」

ドムッ

何が起きたかというと、
膝壊し鎧倒れるが最後の力で剣振りかぶる。
イツキ気づく。
謎の声に従い伏せる。
爆発。
鎧(と俺)吹き飛ぶ。

「ケホッケホッ…けむっけむい…」

グレートアーマーは砕け散ったようだ。



「よう、坊主。大丈夫か?」

それが、これから先長い付き合いになるとある人物との出会いだった。





オマケ

宝箱前にて、

「くそっ。針金があれば開けれそうなのに…」
「頑丈で壊せそうにないね」
「こういうときはどうするんだ?」
「どこかに鍵があるはずだよ。見つけたらもどってこよう」
「めんどくさいな…」

「ところで蒼真」
「ん?」
「どこでピッキング技術なんて覚えたの?」
「昔弥那が俺の部屋に鍵閉めて閉じこもったことがあって…」
「………」





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 クレイモア(折れ)
防具 布の服(破れ)
他1 首蔵

新しいソウル



その他

PIT
魔物図鑑機能
段ボール箱
本(ラテン語他)x30
プリン



ユージン、免許取得

首蔵には有角のくれた携帯食料と水も入ってます。

「あらすじでやろうと思ったことがすでに感想で書かれてしまったでござる」



[20761] 暁月編15[二段ジャンプ]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/18 18:26
**********

前回のあらすじ

[ACを確認 ランカーAC -グレートアーマー- です
右腕部に大型ブレードを装備 正面からの戦闘は不利です]
「手こずっているようだな…手を貸そう」
「軍人風情が…なにを偉そうに…」

以上

**********

何かを担いだ緑色のジャケットを着た男。
さっきの声(と爆発)はこいつのようだ。

「まさかこんな子供まで来てるとはな。ほれ、立てるか」

手を差し伸べられる。

「子供…まああんたからすれば子供かもしれんが…」
「いや、失敬。そう怒るな」

その手を借り立ち上がる。
改めて見ると担いでいるのは筒状の

「ロケットランチャー?」
「さっきので弾切れだけどな」

お前が弱らせてくれたから助かったぜ、という男。
本物はじめてみたよ。
ゴールデンアイではお世話になりました。

「俺の名は、ハマー。軍の命令で、ここに来た」
「俺は蒼真、来須蒼真だ」

軍の命令…どこの軍だろう。

「神社の視察だと思っていたら気づいたら城の中だ。
やってらんねえ。そう思わねえか?」
「え? なんか説明とかされてないのか?」
「とにかく神社に行けとさ。しかも装備整えて」

それはひどいな。

「だから、やらねぇ事にした」
「は?」

どういうことなの。

「神社にいたなんだかわからん連中もたぶんここにきてるんだろ?
そいつら相手に、商売でもしようかと考えてるとこだ」

どうしてそうなった。

「ここには武器がたくさん落ちてるし、城の入り口ならバケモンもこねぇらしい」

さっきあった黒っぽい白いにいちゃんがいってた、と豪快に笑う。
有角だろうか。

「と、いうわけでだ。店を見かけたらよってくれ。安くしとくぜ!」

じゃあな! といってまた豪快に笑いながら去っていった。

「店って…客そんなに来ないんじゃ…」
「蒼真…さっきの教会の人じゃないよね?」

たぶん。
あんまり悪魔城自体に興味もなさそうだ。
だから隠れなくてもいいと思うぞ?

「ふう…知らない人を見ると隠れる癖がついちゃって」
「お前盗品だもんな(笑)」

なんで有角はだまって持っていったのか…。

**********

彼女はその輝きに魅せられていた。

それはかつてないほど激しく強力な力で、
魔物を木っ端微塵にした。

その力についてもっと知りたい。
その思いから、彼女はその力の持ち主を追いかけることにした。

そのときにはすでに魔物の魂を支配する少年のことは忘れていた。

**********

「さっきの娘もどっかいったみたいだね」
「まあそのほうが安全だろ」

ちょっと寂しいが。

グレートアーマーは残骸が残っていて、
剣と鎧の断片を手に入れることができた。
布から作った紐でつなげれば胸当てになる。

グレートソードと鉄の胸当てゲット。

「問題が発生した」
「どうしたの?」
「すごく…重いです…」

剣は首蔵にいれておけるが、胸当ては着ていなければ意味が無い。

「動けないほどじゃないんでしょ?」
「やー。蒼真、箸より重いもの持てないー」
「………」

ごめんなさい。

「見るな…そんな目で俺を見るなぁ!」
「アホなこと言ってないで奥の部屋を確認しようか」

orz

奥にはソウルキーパーがあった。

「そぉい!」

ガシャッ
ボシュッ

マルファス ゲット

「これは…二段ジャンプか」
「行けるとこが増えるね」

なんだかどんどん人間離れしてくる…
いや、ベルモンズほどじゃないな。
大丈夫、俺は人間だ。

よし、探索を続けよう。

「ちょっとまった」
「ん?」
「まじょみならいのいた場所になんか落ちてる」

これは…鍵だな。

「さっきの宝箱の鍵じゃない?」
「そんなばかな…」

**********

まさかほんとにここの鍵だったとは…

もどってきて試したら開いた。

「ムチ?」
「いや、分類上剣じゃないかな」

平べったいグネグネ歪む刀身をもった剣が入っていた。
十本刀がこんなの持ってたな。
軽く振ってみる。

バシュッ

「…使用禁止だな」
「そうだね」

頬カスった。ヌンチャクより扱いづらい。

ウイップソード ゲット

**********

「武器が落ちてないと思ったらハマー…さんが全部拾っていってたのか…」
「まあしばらくはこの剣でなんとかなるんじゃない?」

魔物が一撃です。
さすがグゥレイトォ!ソード。

図書館を抜けだして礼拝堂まで戻ってきた。

二段ジャンプのおかげで届かなかったところにも行ける。
いま俺イレギュラーハンターみたいだ。

「ヒッフッハッ!」
「なにいってんの…」

最近イツキが俺に冷たい。

適当に行ったことのない場所を移動していたら、変な部屋についた。
なにかの祭壇か?

「地図では行き止まりだけど…あきらかになにかありそうな部屋だな」
「空間が歪んでる…どこかにつながってるかも」

祭壇の上には悪魔の像。
礼拝堂に在っていいものじゃないと思うんだが…

グニャッ

「ぐ…なんだ!?」
「歪みが強くなった! どこかに飛ばされるよ!」
「うおぉぉぉ!?」

なんかぐにゃんぐにゃんする。
気持ち悪い…

**********

ベチャッ

「ぐぇ」
「別のところに移動したみたいだね」

ワープゾーンですか。
どこについたんだ。

「蒼真、ふらふらしてるけど大丈夫?」
「大丈夫だ…ちょっと自分に酔っているだけだ…」

乗り物酔いがひどいわけじゃないぞ?

「ここは…」
「入り口のところだ。弥那ちゃんのところに帰ってくるのが楽になるね」

ゾンビ回廊か。まさか上にこんな場所があったとは…。

まあちょうどいい。
弥那のところに戻ろう。





オマケ

「なんで有角はおまえのこと盗んだんだ?」
「盗んだって…たぶん本人は預けてただけのつもりだったんじゃないかな?
もともと僕は有角個人の所有物だし」
「有角の所有物…だと…?」
「そのままの意味でね。管理されてたことも知らなかったんじゃないかな?」
有角天然説。





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

新しいソウル

マルファス

その他

PIT
魔物図鑑機能
段ボール箱
本(ラテン語他)x30
プリン
ウィップソード



ドゥエ ではなく この前牛丼 の登場です。
ドゥエはもう少し後です。



[20761] 暁月編16[休憩中3]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/19 14:44
**********

前回のあらすじ

「ワレハメシアナリ!!フッハッハッハ!!」

「ボース粒子の増大を確認!」
「…ジャンプ」

以上

**********

帰ってきました。

「ただいまー」
「あ!蒼真くん、おかえりなさ…その娘…誰…?」

Oh!そういえば紹介してなかったYO!

「この前の卵だ」
「卵改め、半妖精のイツキだよ」
「そっか…(やっぱり女の子だったんだ…)よろしくね」

ちっちゃく握手する弥那とイツキ。
頭の上でやらないでくれ。

「…あ! 有角さんがくれたのって…」
「あ、前の服だ」

やはり有角はエスパー。
みちゃだめだよ! と言われたので、
入口の方に移動し着替えが終わるのを待つ。

「おっ? 蒼真じゃねえか」
「ハマー…さん?」

まさかの出会い。
さん付けやめろっての、というハマーさ…ハマー。

「しっかしおかしいな…まっすぐ向かってきたはずなんだが、
なんでおまえさんの方が早く着いてるんだ?」
「なんかワープした」

そんなもんまであんのか! と驚くハマー。
それはさておき、さっきあった時より背負っている荷物が増えてるんだが…。

「しかしほんとにここは安全みたいだな」
「ああ、有角っていう白黒のイケメンが結界を張っていったらしい」
「ならここで店を開くとするか!」

えー…。

「本気だったんだ…」
「おうとも!」

あんたある意味すげえよ。

蒼真くーん! 終わったよー!

「あの娘…お前の知り合いか?」
「そうだけど?」
「かーっ、隅におけねぇなぁ、おい!」

ちょ、おま、うぇ。

「ち、ちが! い、妹なんだよ!」
「照れるな照れるな。若いうちはそんなもんだ!」

ほれ、行って来い! 俺も若い頃はだなー…
語りだしたハマーを放っておいて弥那のところに戻ることにした

「おお!? 妖精っぽくなっとる!」

緑色の背中を出したワンピースに白いブーツ。
やっぱり服装は大事だね。

「この服はすごいんだよ。大きさも変わるし」
「それはすごい」

そういえばまだ成長期だったっけ。

「有角さんからこれも預かってるの」
「またチップか」

今度はなんだ?

「地図と組み合わせるといろいろな機能が使えるって」
「ほう…」

イツキが新しい服にはしゃいでてちょっと邪魔である。

「ねぇ…」
「なに?」
「あそこにいる人って…」
「ハマーのことか?」
「ちょっと恐そうじゃない?」
「見た目は多少いかついけど、良い奴だよ。たぶん」

弥那は人見知りするからな。
だけど俺より友達が多い。

「たくさん武器も持ってるし…」
「店を開くんだってさ」
「こんなところで!? どうかしてるかも…」

俺もそう思う。

「でも、蒼真くんがいい人って思うのなら大丈夫…かなぁ?」
「そこは信じてほしいな」
「…うん、信じる」

弥那はいいこだなぁ。

「それじゃそろそろ行くよ。イツキ、行くぞ」
「うん。気をつけてね。イッちゃん、蒼真くんの事よろしくね」

イッちゃん?
着替えてる間になにがあった。



出発するときにはハマーの店の準備も終わっていた。

「おう、準備できたぜ!」
「露店みたいだな」
「さっそくなんか買ってくか?」
「金ないんだけど…」
「いらないものは買い取ってやるよ。城ん中で金貨とか見つけたらそれでもいいぜ」

いらないもの…

「これとかは?」
「本か…てか今どっから出したんだ?」

首蔵について説明した。

「便利なもんがあるんだな…俺も欲しい」
「在庫切れだってさ」

くやしがるハマー。

「で、本はどうよ?」
「…これ、図書館から勝手に持ってきたんだろ? さすがにちょっと…」

今回だけだからな、と言って小さな瓶をくれた。

「これは?」
「傷薬。俗に言うポーションって奴だ」

おお! ゲームみたいだ。
テンション上がってきた!

「今回はこれだけな」
「えー…」
「店は店だからな」

ポーションを首蔵にしまう時も羨ましそうな顔をしていた。

またこいよー、という声を背中にうけながら出発することにした。





オマケ

「やっぱり女の子だったんだね…」
「んーそんなに心配しなくても大丈夫だよ?」
「え?」
「僕の半分は蒼真の魔力からできているから、そういうことはないよ」
「!?」
「わかりやすいなー」
「えっと…その…イツキちゃん?」
「…ごめん。なんかその呼び方ゾワゾワする。いいにくくない?」
「ちょっとだけ…」
「もっとフレンドリーに呼んでくれていいよ」
「じゃあ…イッちゃん」
「…いいね。採用だ」
「蒼真くん、私のことなにか言ってた?」
「実の娘のように思ってるって」
「え?」
「そうなるよね…」

着替え中





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

新しいソウル



PIT

魔物図鑑
地図拡張

その他

段ボール箱
プリン
ウィップソード
ポーションx1




悪魔城をやり始めてくれた人がいるとやっぱり嬉しいです。
知り合いの中で悪魔城やってるのユージンだけだから。
ソウルの交換してみたかったorz



[20761] 暁月編17[サクサク道中]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/20 17:39
**********

前回のあらすじ

弥那はハマーに怯えている!

以上

**********

二段ジャンプができるようになって、
いままでいけなかった場所にもいけるようになったぞ。

「ここも上に道あったんだな」
「この上は舞踏館だね」

地図とPITを組み合わせて新しい機能が使えるようになった。
今までいったことのある場所を色違いで表示したり、
現在位置を表示したりできるようになった。
とても便利。

「しかし蒼真もだいぶ退魔師っぽくなってきたね」
「門前の小僧…違うな、習うより慣れろか?」

あまり集中しなくても自然と戦えるようになってきた。
フハハハ、俺は天才だ。ん? 間違ったかな?
どんどん新しい魔物がでてくるので、
気づかずに倒している奴が図鑑にのってたりする。

お?
なんか発見。

ランス ゲット

これって馬に乗って使うもんでないかね。
一応振り回せるけどグゥレイトォ! ソードのほうが使いやすそうだ。
しまっておこう。

階段をのぼっていくと扉の前にでた。
それはともかく二段ジャンプしないと移動に不自由があるってのは、
構造的に失敗ではなかろうか。

「この先が舞踏館か」
「そうだよ」

みんな仮面を着けているのだろうか。

扉を開く。

「ん?」
「あ、こんにちわ」

人がいた。
なんともダンディな渋い旦那だ。

「暗黒の力を感じる…何者だ?」
「…先に自己紹介をしませんか?」

ビビったぜ。
ヨーコさんに聞き忘れてたけど、
暗黒の力って封印指定とかそんなのじゃないよね?

「そうか、すまない。俺はJと呼ばれている」
「呼ばれている?」

私はJです。ってか?

「記憶喪失という奴でな。1999年に大きな事故にあったらしい。
病院で目覚めたときには、素性も名前も失っていた」
「へえ…ああ、俺は蒼真。来栖蒼真です」

この人も日本語うまいな。

「お前の暗黒の力…。生まれつきのものか?」
「いいえ違います」

それはケフィアです。

「よくわからないけど、この城に入ってから使えるようになりました」
「なるほど、考えすぎか…あと、変に畏まらなくていい」
「…わかった」

俺の敬語はおかしいのだろうか。

「して、Jさんはなんでここに?」
「Jでかまわん。
俺は、ドラキュラという名に大きな恐怖を感じている。
だから、予言を信じて来た。
そうすることで、俺自身が戻ると思ったからだ。
実際、ここに来てから何かを思い出しかけてる」
「記憶を失ったのが1999年…もしかしてドラキュラの関係で?」
「多分そうだろう。俺に退魔の力があるところから考えてもな」

退魔師なのか。

「J…バンパイアハンターJ」
「やめてくれ。そんなたいそうなものじゃない。
自分の為にやっているだけだ」

J…Jねぇ?

「本名ジョニーとかジョナサンだったりしません?」
「…聞いたことのある名だ。何か知っているのか?」
「いえ、何も知りません」
「………」

第一次世界大戦と第二次世界大戦の時の人たちだから、
Jとは年齢があわないな。
そもそも鞭持ってるようにはみえねえし。

「まあいい。邪魔をしたな。
俺はもう行かせてもらう。
また、会うこともあるだろう」
「ああ。気をつけて」

タッタッタッ…

「…いった?」
「隠れるなよ…」

頭の後ろからイツキが顔を出す。

「イツキはJのことなにか知ってるか?」
「んー、雰囲気的にはベルモンドとかに近い感じがしたけど…」

ベルモンド?
Jが?

「実はドラキュラを倒した退魔師だったりして」
「バンパイアキラーもってなかったけど…」

そういえば今バンパイアキラーってどこにあるんだ?
まだモリスが持ってんのか?

「まあいまは気にすることでもないか」
「とにかく帰りたいだけだしね」

城主の間をとっとと目指そう。

**********

さすが舞踏館。
幽霊がダンスパーティーしてるぜ。

「蒼真、下下!」
「も?」

ドサッ

ダンスを見ながら歩いていたら床の穴に落ちたでござる。

「いてて…地下にも道が…?」
「この先にもなにかあるみたい」

いきあたりばったりだが、先にここを探索するか。



「すげえ…見たことのない年代のワインがいっぱいだ…」
「樽なのがちょっときついね」

瓶だったら全部持ってくのに。

そんな観察をしながらも魔物と戦える俺カッコいい。

ボシュッ

キラードール ソウルゲット

人形を作る。

ポンッ

「みろイツキ!」
「うわぁ…」

二分の一蒼真くん人形。

「さらに!」

二分の一弥那ちゃん人形。

「蒼真、蒼真の方の人形をあのへんに投げて見なよ」
「ん? ほい」

ポテッ

落ちた人形に魔物たちが群がった。

グチャッグチャッ

すごく…弐号機対量産型です…

「魔物の目を引きつけておけるね」
「俺の心にダメージが残るんだが…」

弥那の方を投げなくてよかったと思わざるをえない。



そしてまたボス扉。
なかには

「今度はゴーレムか」
「サイズが普通より大きいね」

接触、ビッグゴーレム





オマケ

「ハマーって日本語うまいんだな」
「日本語だけじゃないぜ。五ヶ国語できる。マルチリンガルってやつだ」
「…俺なんて英語は未だにダメなのに」

転生しても英語が苦手な蒼真
そしてハマー。さすが軍人。





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

新しいソウル

キラードール

PIT

魔物図鑑
地図拡張

武器

ウィップソード
ランス

その他

段ボール箱
プリン
ポーションx1




一応5KB前後を目安に一話作っていますが、
今思うともっと一話ずつの長さを増やして話数減らしたほうが良かったような気がします。

全く関係ないですけど、
今日ゲーセンではじめて白復活やってきました。
黒しかやったことなかったので烈怒のありがたさを再確認しました。

KOFのSTGがあるなら悪魔城のSTGがあってもいいと思う。
月下のラストの若本なんてもろ縦シューのボスのたたずまいではなかろうか。



[20761] 暁月編18[ゴーレムとダンスだ]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/21 12:48
**********

前回のあらすじ

「私はJです」
「くそ、やられた!」
「どうしたんだ、蒼真?」
「いまノートにジュストー! と書けば、お茶の間のアイドルが死ぬ可能性のほうが高い…
Jめ…こんな屈辱は生まれて初めてだ…!」

「凄まじい破壊力を持つゴーレムの兵隊だよ。
こいつが地下にいなければ、誰も悪魔城を信じはしなかったろう。
こいつは地上で作られたものではない」

以上

適当すぎた

**********

今俺は巨大なゴーレムと対峙しているが、

「ぶっちゃけ弱くね?」

予備動作が大きいので、簡単に避けられる。

「蒼真が戦い慣れたせいだよ。ゴーレムは基本的に一定の行動しかできないから」

アルゴリズムさえ理解できればCPUの強いほうが勝つ、ですね。
わかりません。

「emeth(真理)のeを消してmeth(死)にすればいいんだっけ?」
「最近はコアを使ったタイプが主流になってるんじゃなかったかな」

ボッボッボッ

おっと。
石吐いてきた。
グレートソードを盾にする。

カンッカンッカンッ

さすがグレートソード、なんともないぜ。

しかしいくら避けるのが楽と言っても、
相手の体は石だからな。
また剣を折るのは避けたい。

「イツキ。文字の場所、もしくはコアの位置ってわかるか?」
「まかせて。わかんない」

まかせてとはなんだったのか。
おとなしくだるま落としといこう。

**********

ちくしょう。
硬い。
ずいぶん時間をかけたが、足にヒビしかできていない。
石の癖に黄金の鉄の塊でできたグレートアーマーより硬いってどういうことだ。

「もう魔力切れるんだが…」
「がんばって! あれだけ硬いなら、一箇所崩せばなんとかなるはずだよ!」

最後の手榴弾を投げつける。

ボフッ
ピシッ

「どうだ…」
「ヒビが大きくなってる。いまならおもいっきり叩けば崩せる! たぶん」

振り回された腕を避けながら近づき、
グレートソードを叩きつける。

「はっ!」

ゴッ…

「…むう」

まだ足りないか?

ミシッ…

「大丈夫。終わったよ」

ピシッ…ピシピシ…

「ゴーレム、てめえの敗因はたったひとつだ。たったひとつのシンプルな答えだ」
「蒼真?」

ドシャァァァ…

「てめえは俺を怒らせた」
「…なにいってんの?」

ヒビが体をはしっていくのをみてたら言いたくなっただけだ。

**********

「今回は武器が壊れなくてよかったね」
「さすがグレートソード、なんともないぜ!」

しかし強くはなかったがめんどくさい相手だった。
コアもなかったし文字もなかったが、
どうやって動いていたのやら。

「あ、ソウルキーパーだ」
「またか」

ガシャッ
ボシュッ

スケルトンブレイズ ソウルゲット

「どんな能力?」
「しゃがんでる状態からスライディングができる」

これはさりげなくすごいのではなかろうか。
音速のハリネズミですら助走がなければスライディングはできないのに、
完全に停止した状態からスライディングって。

「ほかにはなさそうだね」
「ああ…?」

ピヨッ

「………」
「蒼真?」

なんだあれは。
蛇?
それにしては太すぎる。

「あ、ツチノコだ」
「なにぃ!?」

ビクッ
ツプツプツプ…

「逃げちゃった…」
「ちょ、ツチノコ? マジか?」

捕まえれば一生遊んで暮らせる…!

「どこいった! でてこい!」
「もうどっかいっちゃったよ…」

ちくしょう…ちくしょーッ!

**********

舞踏館のホールまでもどってきて、
近くの女神像の部屋にはいった。

「ちくしょう…」
「そんなに落ち込まなくても…あれも魔物の一種だよ?」

…魔物なら賞金はもらえないか。

「オーケー。納得した」
「とりあえず次は上の階を探索しようか」

魔物ってことはソウルは手にはいるのだろうか?

ソウルといえば帰ってくる途中で、
エビルブッチャーと人間サイズの木製ゴーレムの魂も支配した。
支配した、ってなんか卑猥だね。

アホなこと考えてないで、
探索を再開しよう。





オマケ

「やっぱりツチノコ捕まえてこようかな…」
「魔物を普通の生物として学会とかに提出すると、教会から異端審査官がくるよ」
「! そんなことしないさ。でもハマーなら高く買いとってくれるんじゃ…」
「ルートをたぐられて、最終的に蒼真のところまでくるよ」
「くそ! 一生遊んで暮らせる金が…」
「金、金、金! 騎士として恥ずかしくないのか!」
「!?」
「あれ? 今勝手に口が…」
「………」

蒼真の魔力から影響を受けるイツキ。





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

新しいソウル

スケルトンブレイズ
エビルブッチャー
ウッドゴーレム

PIT

魔物図鑑
地図拡張

武器

ウィップソード
ランス

その他

段ボール箱
プリン
ポーションx1




PS3しか次世代機は持ってないので、
ハーモニーオブディスペアがPS3のダウンロードコンテンツにきてくれるのをまってます。
著名な縦シューが全部箱なので、箱買ってもいいんですけどね。
実家ぐらしなので家族からの監視が厳しく、自由にゲームが買えないでござる。



[20761] 暁月編19[メイドさんがいっぱい]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/22 16:35
**********

前回のあらすじ

ビッグゴーレムと戦いました。
倒しました。
感動しました。

以上

**********

探索、始めました。

「舞踏館だけど踊ってない奴らもいるんだな」
「もともと踊るって思考のない魔物の方が多いと思うよ。
ゴーストダンサーが特殊なだけだよ」

ホールにいる魔物以外はほとんど踊っていない。
ミノタウロスが踊ってるのを見てみたかった。

探索していると、
なぜか執事に出会った。
ただし骨。

「カタカタカタ」
「…別に襲ってくるわけじゃないみたいだな」

丁寧におじぎをされた。
そして、トレーに何かをのせてこちらに差し出した。

「カタカタカタ」
「これは…」

カレーもらった。

「食べていいのか?」
「カタ」

うなずく骨執事。

「(蒼真…やめといたほうがいいよ…)」
「(いや、悪意は感じないし、もしもの時はゾンビのソウルを使えば大丈夫だろ)」

綺麗な装飾をされたスプーンを使い、
カレーを一口食べる。

「!?」
「蒼真!?」
「う…」
「大丈夫!?」

こ、これは…

「ウンまああ~いっ!こっこれは~っ!この味わあぁ~っ!(以下略)」
「………」
「カタカタ」



ふう。少し熱くなりすぎたな。

「ごちそうさま。おいしかったよ」
「カタ!」

骨執事はこちらにお辞儀をして去っていった。
その後姿はうれしそうに見えた。

「一口欲しかったな…」
「すまんすまん」

ちょっと羨ましそうにしているイツキと一緒に探索を再開しようとした。
そのとき、

ガチャーン

「「!?」」

何かが砕ける音がした。
嫌な予感がして音のした方に移動すると、

「ほ…骨執事ー!?」

壁にぶつかったのか、木っ端微塵になった骨執事がいた。

「うわ…頭蓋骨以外バッラバラだ…」
「どうしてこんなことに…この段差か」

手前にあった段差に爪突いたのか。

「カタカタ」
「!?」

頭蓋骨がこっちを向いた。
なにを伝えようとしているのかは、
よくはわからなかったが、
骨執事は満足そうな表情(といっていいのかはわからないが)をうかべて崩れていった。

ボシュッ

スケルトンボーイ ソウルゲット

「………」
「いこう。ちょっとかわいそうだけど、仕方ないよ」
「ああ」

骨執事…無茶しやがって…

**********

スケルトンボーイのぶつかった壁の下の方に、
ちょうど這い蹲れば通れそうな隙間があった。

イツキを先行させ状況を調べる。

「イツキ。奥に何かありそうか?」
「地図の通りに道が続いてるみたい」

なるほど。
このくらい隙間があればスライディングで通れそうだ。

「イツキ。ちょっとどいてろ。潜り抜ける」
「了ー解」

ズザッ

…鼻カスった。
次からはもっと低く滑るか、おとなしく這い蹲ろう。

「で、この先は?」
「幻夢宮って書いてあるけど…詳しくはわからないな」

ふむ。
とりあえずいってみるか。

扉を開ける。

「「「ようこそ」」」

天国だ。
メイドさんがいっぱいだ。
それもコスプレではない。

「おう…俺は今猛烈に感動している…」
「蒼真…魔物だよ?」

それがどうしたというのか。
メイドさんだぞ。

「「「こちらへどうぞ」」」
「あ、はい」

そうして俺はホイホイついて行ってしまったのだ。

**********

なんか会食席みたいなところに通された。

「蒼真、頼むから油断しないでね?」
「メイドさんに向かってなにを怯えているのかと」

ガチャッ

奥から美しいご婦人が現れた。

「フフフッ、ようこそ幻夢宮へ。久しぶりの客人ですの。歓迎いたしますわ」
「これは丁寧にどうも」

少々年齢的にはストライクゾーンから外れているが、顔は全然オッケイです。

「私はここ、幻夢宮の主。身内からはコレクターと呼ばれていますわ」
「来栖蒼真といいます。こっちの小さいのはイツキ」

なかなか話せる相手のようだ。

「コレクターといいますと何かを集めていらっしゃるとか?」
「ええ。でもたいして自慢ができるようなものじゃないですわ。
それよりもおつかれでしょう? プロセルピナ、食事を」
「失礼ですが、あまりゆっくりとは…」
「それでも食事くらいは振舞わせてくださいな。
此処に来るまでに野蛮な魔物たちの相手をしてきたのでしょう?」

ふむ。ではお言葉に甘えさせてもらうとしよう。

「………」
「イツキ?」
「…なんでもない」



メイドさんが豪華な食事をテーブルに並べていく。

「ワインはお飲みになりますか?」

メイドにきかれる。

「いえ、遠慮しておきます」

未成年です。転生してるけど。

「そうですか。何かありましたらいつでもお呼びください(ニコッ)」

メイド、いい。

そして、コレクターと俺、そしてイツキの三人で食事が始まった。





オマケ

「おう。この前のにーちゃんじゃねえか」
「軍の人間か」
「ああ。ここで店を始めたんだ。なにか買ってくかい?」
「いや、それよりも来栖蒼真のことを知っているか?」
「あ? 蒼真がどうした?」
「そうか。知っているならばいい。これを渡しておく」
「!? こんな大金どっから…」
「蒼真にできるだけの手助けをしてやってくれ」
「別にいいけどよ…蒼真からも金は取るぜ?」
「ああ、構わない」
「あ! おい待てよ! …いっちまった。なんだったんだいったい…」





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

新しいソウル

スケルトンボーイ

PIT

魔物図鑑
地図拡張

武器

ウィップソード
ランス

その他

段ボール箱
プリン
ポーションx1



花火を見に行ってきました。
露店でくじ引きをやっていたので、はしゃいで大量にやってきました。
5000円近く使って、全部ハズレ。
遊戯王のカード20枚くらい当てました。
ただウィンとカイザーシーホースがあたったので良しとします。
ウィンかわいいよウィン。



[20761] 暁月編20[コレクター]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/23 12:17
**********

前回のあらすじ

いちめんのめいどさん
いちめんのめいどさん
いちめんのめいどさん
いちめんのめいどさん
いちめんのめいどさん
いちめんのめいどさん
いちめんのめいどさん
かすかなるこれくたー

以上

**********

「それではこの出会いに」

「「乾杯」」

会食席は豪華な装飾に溢れている。
しかし鹿の剥製の代わりに悪魔の首があるのはいかがなものか。

それはさておき、でてくるのが高級そうな料理で困る。
テーブルマナーとかあまり知らないのだが。
鉄の胸当ては首蔵にしまった。

ステーキ? をナイフで小さく切り分け口に運ぶ。
ふむ。美味。

「蒼真さんはどうしてこの城にいらしたんですの?」

コレクターさんから話しかけられる。

「自分で来たわけではないです。どうやら日食に巻き込まれたみたいで…」

そうだったんですの、と口元を隠し上品に笑う。
いちいちさまになる人だ。人じゃないと思うが。

そういえばなぜ俺達はこの城に飛ばされたのだろうか。
日食を見るだけならどこからでもできるはずだ。
白馬神社で日食を見たことが原因ならば、
白馬神社が悪魔城に関係しているのか?
次に戻ったら弥那に聞いてみよう。

食事を続ける。
イツキは専用の小さい食器をあてがわれているが、
この食器は普段使われることはあるのだろうか。

「この城が封じられて以来、外の世界のことを知る方法がなかったの」
「?」
「外のこと、何でもいいので教えてくださらない?」
「俺の知っている限りでよければ、よろこんで」

そうして、外のことを適当に話しながら食事をした。
コレクターさんは特にPITに興味を持っていた。

**********

「フフッ、お話楽しかったわ」
「それはよかった」
「………」
「そちらの妖精さんはあまり満足していただけなかったかしら?」
「イツキ?」
「…いえ、とてもおいしかったです」

なんだかさっきからイツキが静かだ。
具合でも悪いのか?

「蒼真さんは素敵な方ね」
「! ありがとうございます。しかし、そう面と向かって言われると…」

ホメるなよ、照れるぜ。

「あなたなら私のコレクションに…」
「はい?」
「ぜひ私のコレクションをみていってくださらないかしら?」
「はあ…」
「さあこちらへ!」

なんかすごい力で別室に連れていかれた。
それよりも女の人に手繋がれたことで頭がいっぱいなわけですが。



「ここですか」

ちょっとひんやりした風が流れている。
まさにコレクションルームといった空気がするが、
なんか暗くてよく見えん。

バサッ

「!?」

qあwせdrftgyふじこlp

後ろから抱きしめられた。
コレクターさん、あたってます。

「蒼真さんって、綺麗なお顔をしてるのね…」

頬なでられた。
耳に吐息がかかってる。
香水のフローラルな香りが鼻をくすぐる。

「私のものにしてしまいたい…」

くぁwせdrftgyふじこlp

「あなたの首をちょうだい…」





( ゚д゚)
(゚д゚)彡

「蒼真!」

イツキの方に振り向く。

シュパッ

「うお!?」

ちょ、首に何かカスった。
え、なに、ねえ、ちょっと、いや、だいぶ待って。

「そんな、避けないで蒼真さん」

コレクターさん、
ナイフ持ってなんでそんな蕩けた顔してらっしゃるんですか。

「蒼真! 明かりをつけるよ!」

パッ

世界が豹変した。

人間の
首、首、首首首くびくびくびクビクビクビ…

「なんじゃこりゃあ!?」
「驚きました? 私のコレクション…お気に召しまして?」

コレクションって人間の首かよ!?

「蒼真さんはずいぶんと久しぶりの人間ですのよ?
それにそんなに綺麗な顔…そのままにしておくのはもったいないわ」
「頭が胴体と離れたくないと全力で抗議しているのでご遠慮したいのですが!」

シュパッ

くそ。
問答無用かよ!?

明らかにそのドレスじゃ無理だろ、という速度でナイフを突き出してくるコレクター。
明らかに首狙いだ。

「あなたもコレクションに加えてあげる…」
「ちくしょう! 期待してたのに!」
「蒼真! そいつは悪魔だ! 人間の敵対者だ!」

気づいてたならはじめに言ってくれ!

「やっぱり気づいていたのね…」
「その香水の御陰で確信はなかったけどね」

ナイフを避けながら距離をとる。

ガッ

棚にぶつかった。
上から生首のナイアガラバスター。

「おおお!?」
「んもう…私のコレクションが…」

なにがやばいって数がやばい。
足の踏み場もないほどに生首。

「くそ、切り裂け!」

人型の魔物には使いたくなかったんだけど!
ミニデビル!

「ハァッ!」

キンッ

「…イツキ、いま真空波がナイフで切り払われた気がしたんだが」
「魔力のこもった切り払いだ! もっと存在力の強い力じゃないと、飛び道具ははじかれるよ!」

存在力ってなんぞ?

「素敵な力をお持ちなのね…ますます欲しくなってしまう…」

その表情やめて下さい。
エロいです。

「もっと魔力を込めれば…!」

なんかロックマンみたいだ。
豆玉無効。

「くらえ!」

ズバシャッ

「あ…」

ビシャァァァ…

…鮮血の結末。
コレクターの上半身がななめに裂けた。
そして首がゴトリと床に落ちた。
返り血でびしょびしょに…。

「中に誰もいませんよ…ウブッ」
「蒼真…」

やばい、吐きそう。
早くここから出ないと…。

「フフフッ…」

!?

棚の生首とは別に置かれていた、
老人の首がフワフワと浮いて、
コレクターの首から下の体につながった。
一期のDIOですか?

「まだまだ…ますます欲しくなってくる…」

体が首に合わせて変化する。
傷も完全に治ってしまったようだ。

「フフフッ…もう他のなんてどうでもいい…」
「空を飛んだ!?」
「あなたの首、ただそれだけが欲しい(ただしジジイである)」

そういって、空中に魔法陣を描き始めた。
魔法!?

「蒼真、離れて!」
「雷よ!」

バックステップで距離をとるのが早かったか、
魔法陣の完成するのが早かったか。

バチバチバチッ

辺りの生首をはじき飛ばす雷が発生した。

「うわぁ! ビリビリする!?」
「こんな狭いところじゃ戦えないよ!」

くそ、会食席まで戻ろう!

全力疾走で扉に向かうのだが後ろを軽く振り向くと、
じいさんがエロい顔して空を飛びながら追いかけてくる。
これなんてホラー?



「ドルァッ!」

バキッ

扉を蹴破り転がりこむ。
今のうちに鉄の胸当ても装備する。

「たぶん今のあいつには直接斬りかかったほうがいいよ」
「空飛んでるぞ?」
「どこか足場があれば…きたよ!」

くそう。
なんか今回すごく不利だぞ。

「逃げるなんてひどいわ…」

足場…足場…いや待てよ?
逆に考えるのはどうだ?

「………」
「蒼真?」

会食席のテーブルの下に隠れる。

「無駄よ…?」

雷と炎でテーブルが粉々になる。



「さあ、コレクションに加えてあげる…
よろこんで…あなたは私の新しいコレクション第一号よ…」

倒れている俺にコレクターが近づく。

「だが断る」
「!?」
「あばよ!」

コレクターの体を後ろからグレートソードで斬り倒す。

「そんな…これは…人形…?」
「大正解だ」
「よく思いついたね」

キラードールのソウル。
それであいつを地上におびき寄せたのだ。

「わたしの…首…」

ゴトリ、とまた首が落ちた。
今度は返り血を浴びずにすんだ。

「…ふう」
「おつかれ」

ほんとに疲れた。
あと飯食ってすぐ動いたからお腹痛い。

…飯?

「なあイツキ、ちょっと怖い想像をしたんだが…」
「なに?」
「さっきのコレクションの首から下が、さっきの料理とかそういうことは」
「ないよ。料理は魔力からできてたみたい」

よかった。ほんとによかった。
ソイレントシステムはだめです。

「…一回弥那のところに戻るか」
「その前に血を洗い流さないと」

「まだ…まだよ…」

「「!?」」

会食席にあった悪魔の首の剥製。
その目が開く。

しくじった!
あれもコレクターの首か!

首は素早く体とつながり力を得る。

「ギシャァァァ!」

もはや人型ではない。
まさしく悪魔といった風貌のコレクターと、
三度目の接触を果たした。





オマケ

「あの…ハマー…さん?」
「お? どうした嬢ちゃん」
「その…一応自己紹介をしておこうと思って…」
「ほー、最近の娘にしちゃずいぶん礼儀正しいな。いやいいことだ、いいことだ」
「白馬弥那っていいます」
「白馬…ああ神社の…(たしか護衛対象に…)俺はハマーだ」
「蒼真くんのこと、よろしくお願いします」
「うーむ、蒼真は愛されてるなー」
「ち、違います! そんなんじゃ!」
「蒼真と同じような反応するんだな…」
「え! そ、蒼真くんはなんて言ってましたか!?」
「妹なんだ! って」
「………」

蒼真くんのバカ…





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

新しいソウル



PIT

魔物図鑑
地図拡張

武器

ウィップソード
ランス

その他

段ボール箱
プリン
ポーションx1



ガスタの巫女…かわいいじゃまいか。
最近は生カードを買うお金がなくてタッグフォースで済ましてます。
はやく5でないかな…。
ところでベルモンドのカード化はまだですか?



[20761] 暁月編21[蒼真、怒りの鉄拳]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/24 13:57
**********

前回のあらすじ

「今夜限りの関係でもいいの…あなたのぬくもりを感じていたい…」
「マダム…」
(中略)

「ここは…? さっきコレクターがいっていたコレクションルームか…」
「待ちなさい、蒼真。あなたは彼女の提供した食品を食べました。
そのことをよく認識して、その扉を開けて下さい」
「何だよ…。何があるんだよ…一体…」
「それはあなた自身の目で確かめて下さい」
ガチャ
「こ、これは…。ま、まさか…」
「コレクター、別名ネックハンター。
蒼真。イツキがなぜあなたに油断しないように伝えたのか解りますか?
その答えがここです。彼女はコレクターからかすかな血の匂いを感じ取っていたのです」
「い、いい加減なこと言わないでくれ! イツキならすぐに教えてくれるはずだ!」
「もちろんイツキはそのことを伝えようとしていました。
しかし、コレクターの香水には血の匂いを消すと同時に、敵対心を薄める効果があったのです」
「そんな…嘘だろ…」
「さあ、立ちなさい蒼真。立って、そしてもう一度見るのです…」
「こんなのってあるかい…先生…」
「…これが現実です」
(中略)

「これが俺本来のハンサム顔だッ!」
「コレクターの顔が変わってしまったぞ!」
「化け物め…」
「化け物…? 違う、俺は悪魔だ」

適当すぎた(再び)

以上

**********

「ギシャァァァ!」

くそ。
どんだけストックがあるんだ。
もう魔力も切れそうだってのに!

バッ

「消えた!?」
「上だ!」

飛び上がって天井に張り付いただと!?
ダーマかよ!

「シャァァァ!」

バッ
サッ
カンッ

「く…」
「速い…!」

こちらに急降下して、すれ違いざまに鋭い爪で首のあたりを切り裂かれた。
バックステップがなければ、首が落ちていたかもしれない。
さらに鉄の胸当てがなければ即死だった…!

なんてスピードだ。
目で追うことができても、体が反応できない!

「イツキ! なんか考えてくれ!」
「いま考えてる!」

なんとかすべての攻撃をそらし防いでいるが、
反撃の糸口が見つからない。

「蒼真、アラクネの糸は!?」
「スパイダーストリングスか!」

しかしまさに縦横無尽といったところか。
これだけの広さのある部屋で壁から壁へ跳び回る…。
どうすれば当てられる…?



…一応当てる方法は思いついたがやりたくない。

「シャァァァ!」

そうもいってられんかね!

グレートソードをしまい、
胸を大きく開け、隙を見せる。

「蒼真!?」
「ッシャァ! 来い!」

ズバシャッ
ギュ!

「シャハッ!?」
「捕まえた…」

首を狙ってくるだろうことはわかっていた。
爪を左手で受け、その際にコレクターの頭をつかんだのだ。

肉を切らせて骨を…と言いたいところだが、
すごく痛いです。
手のひらに穴が空いてしまった。
ありえない。
痛みでイライラがハンパない。

ミシッ

「ビギッ!?」
「蒼真!?」

なんでこんな目にあってるんだ俺は?
転生して不思議な現象にあいたいと思ったことはたくさんあるさ。
でも痛いのとか納得いかん。
そもそも一般人だぞ、おい。

ミシミシミシッ

「ギ、ギィ!?」
「ふざけんじゃねえぞ!」

メキョッ

「ピギ…」
「即座に死ねぇ!」

グチャッ

怒りに任せ、コレクターを床に叩きつけた。

「ハア…ハア…」
「そ、蒼真…? 大丈夫?」
「大丈夫じゃねえよ! めちゃくちゃ痛えんだよ!」
「…ハマーからもらったポーションを使うよ」

ポーション
忘れてた。

澄んだ青色のとろみのある液体を傷口にかけると、
たちまち傷口の周りが泡だったように蠢き傷が治った。
傷も残っていない。
…なんか寿命縮みそうな薬だ。

痛みは若干残っているがもう大丈夫だろう。

「ふう…危なかった」
「そこまで深い傷じゃなかったよ?」
「あんな大怪我初めてだっつーの」

入院したこともないんだぞ。

コレクターの死体を見る。
床にぶつけられた衝撃でか、顔が潰れてしまっている。

火事場の馬鹿力ってとこか。
まあとにかく助かった。
とっととここから立ち去ろう。

(さっきの蒼真の力は…)
「イツキ、行こう」
「あ、うん…と、待って。オーブが」

魔力球
久しぶりに見た気がする。
触れると、左腕以外の細かい傷が治っていった。
ポーション節約すればよかったかな。
いや、あの痛みに長時間耐えるのは無理だった。
これでよかったのだ。

「…蒼真」
「どうした?」
「そろそろ自分で飛べそう」
「ほう?」

イツキが光に包まれて姿を変える。

フワッ

今までがリカちゃん人形サイズなら、いまはファービー三つ分くらいか?

「あんまり変わってない…」
「でもこれで適当に蒼真についていけるよ」

頭の上から卒業か。
あとほんとに服もサイズ変わるのか。

「まあいい。とりあえず弥那のところに戻ろう」
「そうだね」





オマケ

「(…ぬう。今の魔力の鳴動…既に失われたはずの…)」

時計塔頂上にて。





ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

新しいソウル



PIT

魔物図鑑
地図拡張

武器

ウィップソード
ランス

その他

段ボール箱
プリン



いま気づいたけどあらすじに、蒼真、イツキ、コレクター以外に謎の先生が混入してる…。

ガスタの静寂…オラワクワクシテキタドー。

タッグフォース、ユージンも対戦相手がいないです。
PS3とかでオンラインモードつけてやって欲しい。
5が発売されたら俺、霊使い中心でデッキ組むんだ…。



[20761] 暁月編22[幻夢宮の嵐]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/25 19:41
**********

・前回のあらすじ

日曜洋画悪魔城
コレクター

「来いよコレクター。ナイフなんか捨ててかかってこい。
俺の首をコレクションに加えるのが望みだったんだろう。
そうじゃないのか、コレクター。来いよコレクター。恐いのか?」
「ナイフなんて必要ねー。へへ、魔法も必要ねーや。
へへ、誰がてめーなんか。てめーなんか恐くねー! ぶっ殺してやる!」

ザシュッ

「…野郎、ふざけやがって!」

メキョッ

「グワァァァ!」
「地獄に落ちろ、コレクター」

以上

**********

弥那のところに帰る予定だった。
が、

――タッタッタッ…

「どうしてこうなった」
「次、右!」

――ドドドドドッ…

「「「待てー!」」」

メイドさんに追いかけられている今日この頃。

**********

はじめに言っておくと俺は悪くない。

帰る前に返り血やらを洗い流そうと水場を探していたんだ。
で、食事をしたときに料理のでてきた方の扉を開けたら、
扉がいっぱいある通路になっていて、
一個ずつ開けて中を調べていくことにしたんだ。

ひとつめ、調理場。
使用した形跡が見られない程きれい。
電気が通っているのか明かりは蛍光灯だ。
食洗機の近くに一般家庭用洗剤(除菌もできる)が置いてあってちょっと笑った。
とりあえずここで手についた血を流した。

ふたつめ、倉庫。
モップやほうきやらの掃除道具がしまってあった。

ここまではよかったんだ。

みっつめ、…更衣室。
扉を開けるとそこには一面のメイドさん。

「?」
「「「………」」」

ただし着替え中。

「!?」
「「「…キャー!?」」」

なにぃぃぃ!?

「蒼真、わざとか!?」
「ち、違う!」

クリボー、違った。イツキが勝手に!

っていうか、今考えると魔物が着替えってどういうことなの。
メイドの魔物ならメイド服も体の一部みたいなものじゃないのか。

まあそのときはそれどころじゃなくて、
大慌てで後ろに向かって右足と左足を交互に動かしたわけだが。

扉を閉じて深呼吸。

「…ふう。さあ弥那のところに帰ろう!」
「蒼真ェ…」

そうして俺は別の扉を確認していった。
結局一番最後の扉の奥にシャワーがあったので、
そこで血を洗い流すことはできた。
洗濯機もあったので上の服だけ洗濯もした。

上半身裸で洗濯が終わるのを待っていたら、

――ガチャッ

メイドが入ってきた。
服を脱ぎながら。

「?」
「「「………?」」」
「!?」
「「「…キャー!?」」」

俺はこのとき自分が主人公であると確信した。

**********

そんなこんなで俺はメイドの集団から逃げている。(上半身裸)

「絶対に逃がすな!」
「隊長! コレクターの消滅を確認しました!」
「なに? 仕方ない…パターンをβにシフト!」
「「「了解!」」」
「侵入者を逃がすな!」

隊長さん、まじ凛々しいっす。
惚れてまいます。
ただその他のメイドさん、眼が赤く光ってて恐いです。
持ってる掃除機やモップにトゲも付いているし。

「いつのまにか、完全に敵扱いだな…」
「コレクターを倒したから、客じゃなくなったんだと思う」

よかった。
別にここまでのサービスイベントが原因ではなかったか。

走っていると、突然前方に別のメイド隊が現れた。

「かかったわね!」
「挟み撃ちか!」

くそ!
こうなったら…

「風よ!」

ミニデビル(弱)

――フワッ

「「「いやー!」」」

そよ風によるスカートめくり。

「…蒼真、君は最低だ」
「やかましい!」

挟み撃ちを突破する。

「それよりこの先は!?」
「そこ左!」

曲がり、そのまま走り続ける。

「次は!?」
「そこの部屋!」

入る。
なかは悪魔の祭壇。

「ワープゾーンか!」
「早く! 追いつかれる!」

弥那の近くをイメージする。

「逃がすかー!」

掃除機を振りかぶりこちらに襲いかかるプロセルピナA。
吸込口が生き物の口になっている!?

それが振り下ろされ、俺の顔に触れる一瞬前、

――フワッ

俺はワープした。

**********

「隊長。例の侵入者は祭壇から転移したようです」
「そうか…仕方ない。掃除を始めよう」
「「「了解!」」」
「まったく、ずいぶんと散らかしてくれたものだ」

しかしコレクターが消滅したか…。
もはや再生もできないだろう。
先程の魔力…間違いないな。
今回この城が呼び込んだ人間は厄介なヤツらばかりだな。

「まあいい。我々はメイドの本分を突き通すだけだ」

**********

――スタッ

「…ギリギリ間に合ったみたいだね」

――ドサッ

「蒼真?」
「メイド…恐かった…」

思わずへたり込む。

最後のメイド、掃除機振りおろした瞬間の表情がハンパなかった。
獲物を仕留める悦びを満面に浮かべた笑顔。
メイド恐怖症になりそう…。

「へらへらしてるからだよ…」
「あんなに優しく微笑んでくれたのに…」
「………(弥那ちゃんに報告だな)」

とりあえず服を着よう。
首蔵から服を取り出す。

!?

「な…これは…なんで?」
「どうしたの?」

メイド服が入ってた。

洗濯機から急いで取り出し確認しないで首蔵に入れたのが原因だろうか。
どうしよう。





オマケ

「…ねえ」
「ん? おう、嬢ちゃんか。まいど悪いな」

(ポーションか。ありがてえ)

「…これ」
「ん、また九ミリパラか。こんなもんでいいのか?」
「…うん」
「(うーむ。使ってないから別にいいんだが、なんに使うんだ?)」
「…じゃあ」
「おう、 気をつけてな」

ハマー、アイテム入手の旅の途中にて。





・ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

・装備

武器 グレートソード
防具 上半身裸
他1 首蔵

・新しいソウル



・PIT

魔物図鑑
地図拡張

・武器

ウィップソード
ランス

・防具

鉄の胸当て

・その他

段ボール箱
プリン



ゴエモンたちがカードになるなら、
ベルモンド家やモリス家だってカードになれると信じています。

今回から擬音の前に――をつけてみたりしましたが、見にくいでしょうか?
今後、擬音を減らし文章での描写を増やしていこうと考えていますが、
まだまだ素人の身なので擬音に頼る部分が多くなると思います。
今回は擬音を二行以上続けないように気をつけてみました。

――によって見やすくなるか、もしくはわかりやすくなるといいなと思っています。
見にくい場合は教えてもらいたいです。



[20761] 暁月編23[休憩中4]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/26 20:45
**********

・前回のあらすじ

知ってるか?

メイドは3つに分けられる

主の生活すべてを完璧にサポートするパーフェクトメイド

皿を割ったりするドジっ子メイド

そしてメイド服を着ただけのコスプレイヤー

この3つだ

あいつらは――

以上

**********

…女の子が泣いている。
あれは私だ。
小さい頃の私。

そこは小さな公園で、私はブランコに座って泣いている。
夕日が沈みかかって辺りはうっすらと暗くなり始めていた。

なぜか迷子になったのだ。
うちの神社は目印になるくらい分かりやすい場所なのに、
なぜかその日はいくら歩きまわっても見えなくて。

[おっ? 幼女発見]
[!?]

そのときにその男の子に出会ったのだ。

[…誰?]
[ウホッいいロリコンホイホイ]

今となっては彼がなにを言っていたのかは覚えていない。
ただ、彼はくだらないことをいって泣いている私を笑わせてくれたことを覚えている。

そして私が泣き止む頃には辺りはもう真っ暗で、
彼は不安でまた泣き出してしまった私の手をひいて神社まで連れていってくれたのだ。

[どうして私の家を知ってるの?]
[さて、どうしてでしょう]
[…君の名前は?]
[貴様に名乗る名などない!]
[…?]
[サラダバー!]

――タッタッタッタッタッ…

結局そのときはちゃんとお礼も言えなかった。
その日は帰ってくるのが遅かったことをお母さんに怒られて、
それでおしまいだったと思う。

数日後、何かの用事でお母さんと一緒にその公園の近くを通ったときは、
ちゃんと神社が見えて不思議だったっけ。
そしてその用事の帰り道で、

[今これより我が新世界は始まるのだ!]
[!?]

公園の滑り台の頂点で立つ彼を見つけて、
彼が近所に住んでいる子だとわかったのだ。

**********

「ん…眠っちゃったんだ…」

なんだかずいぶん小さい頃の夢をみた気がする。
それにしても最近疲れやすくなっている気がするな。

私の名前は白馬弥那(ハクバミナ)。
高校三年生。
今、ドラキュラ城にいます。

「ただいまー」
「よう蒼真! いいもんはいってるぜ!」

あ、帰ってきた。
来須蒼真。
私の幼なじみ。
少し変わっていて、
ほうっておくとなにかとんでもないことをしそうで眼を離せない。
あとちょっといじわるなところもある。
でも根はいい人で、
なにか困っていることがあるとなんだかんだ言いながらも助けてくれる。
思えば小さい頃からお世話になりっぱなしだったような気がする。

「へー。あとでよらせてもらうよ」
「お、先に弥那ちゃんのとこか? かーっ、色男だねぇ」
「あのなあ…」
「ハマーさん、ハマーさん」
「うお、妖精!?」
「イツキだよ。よろしく」
「俺のサポートみたいなもんだよ。そんな気にしなくてもいいよ」
「一応あいさつはしておこうと思って」
「ほー、そうか。よろしくな!」

…早くこっちに来てくれないかな。

「弥那、ただいま」
「弥那ちゃん、ただいまー」
「おかえりなさい。イッちゃん、しばらく見ないうちに身長のびた?」

というかおっきくなってる。

「イツキはまだあと二回の進化を残している。この意味がわかるか?」
「一回だよ」
「………」

蒼真くんは変わらない。
これだけ異常な状況でも冷静でいられることはすごいことだと思う。

「ところで蒼真くん」
「ん?」
「なんで裸にコートなの?」
「裸だけだったらちょっと変態みたいじゃないか」

裸にそのままコートでもちょっとどうかと思う。
このコートをプレゼントしたときは、
社長だとか俺のロードとかよくわからないことを言って嫌がっていたのだけれど。

「ああ、弥那。聞きたいことがあったんだ」



なにかしら。

「今更なんだけど…お前の家ってどういう神社なんだ?」
「うちの神社?」
「ああ。なにかこの城と関係あるのかと思ってさ」

…そういえば蒼真くんには話したことがなかった気がする。

「蒼真くんは天岩戸の話って知ってるよね?」
「ああ、ひきこもりの改善策の話だろう?」
「…続けるね。あれって簡単にまとめると、
暴れたスサノオを諌めるために天照大神が天岩戸に隠れたって話よね」

あまり使わない知識だから、はっきりとは憶えていないけれど。

「大筋はそうだな」
「太陽である天照大神が隠れるってことは、日食のことをさしているの。
それによって、怒りの意思を封じ込めることができる…」
「ほうほう」
「それを朝廷の頃から祈祷によって行なっているのが、家の神社なの」
「そんなにすごい神社だったのか。弥那はすごいとこの娘なんだな」

ほめられるとちょっと恥ずかしい。

「それでね。いつもは日本の日食だけなんだけど…」
「1999年は違った、か」
「うん…」

考え込む蒼真くん。
イッちゃんはハマーさんと話をしているみたいだ。

「ん。とりあえずすっきりした」
「よかった」

今も私は蒼真くんに頼っているだけだから、少しでも力にはなりたい。

「有角からなにか伝言とかあったか?」
「えっとね、蒼真くんが行き詰まったら水の上に立てるようにしろって」
「どういうことなの」
「地下水路にまた道があるみたいだって」
「ふーむ」
「水の上に立つって、だいぶ前に蒼真くんがやっていたような気がするけど…」
「あれは片栗粉を大量に使ったトリックだよ」

そうだったんだ。

「わかった。またくるよ。体の調子とか大丈夫か?」
「! 大丈夫だよ、全然平気…」

心配かけないようにしなきゃ…。

「イツキー、いくぞー」
「わかったー」
「気をつけてね」
「ああ、まかせときな!」

神様、どうか蒼真くんがケガをしませんように…。

**********

軽くイツキと相談した結果、
もう一度幻夢宮を探索することになった。

メイドが恐くて近寄りたくはないが、
あそこにはまだ何かがありそうだ。

とりあえずハマーのところで適当にいらないものを買い取ってもらおう。

「ハマー、これ買い取ってくれ」
「ランスか…いいぜ、なにか必要なものはあるか?」

とりあえず黒のタンクトップを買った。

あとはメイド服も売ってしまおうか…。
いや、何かに使えるかもしれない。
とっておこう。

さらにポーションをいくつかもらったところで、

「ああ、蒼真。有角って奴からこれ預かってるぜ」
「有角から?」

なんで弥那に渡さなかった。
今度のチップはなんだ…?

「正確には俺がもらったんだけどな。それはコピーだ」
「中身は?」
「道具図鑑。武器の名前とかもわかるから、商品の調達が楽になったぜ」

ふむ。
ありがたく使わせてもらうか。

「なんか武器はあるか?」
「一応あるにはあるが…ちょっと質が悪いな。一応見ていくか?」



結局、コンバットナイフをもらった。
グレートソードだけだと、ちょっと不安だったところだ。
高速移動するコレクターには当てられなかったしな。

「またこいよ!」
「ああ」



さて幻夢宮にもう一度行かなければいけないわけだが、
どうしたものだろうか。





オマケ

「…でね、蒼真ってば鼻の下伸ばしちゃってさ。魔物についていっちゃったんだよ」
「そっか…蒼真くん、年上も大丈夫なんだ」
「それにね。メイドさんの更衣室に忍び込んだりしたんだよ」
「…そう」
「あとはスカートめくりをしたり…」
「ありがとう…もういいよ、イッちゃん」
「そう?」

蒼真くんのバカ…



買い物中の会話





・ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

・装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

・新しいソウル



・PIT

魔物図鑑
地図拡張
道具図鑑

・武器

ウィップソード
コンバットナイフ

・防具


・その他

ポーション(複数)
段ボール箱
プリン
メイド服



とりあえずわかったこと。
今回の形式向いてないや。



[20761] 暁月編24[ポルポルさん]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/27 23:09
**********

・前回のあらすじ

小さい頃に知らない男の子に助けてもらう
→ あとでその子が 近所の子だと分かる or 転校してくる

あるある

以上

**********

幻夢宮へ戻ってきた。
今、悪魔の祭壇にて今後の予定を立てている。

「完全に侵入者として扱われるだろうね」
「もうあの時みたいに笑いあうことはできないんだ…」
「どうするの?」

…とりあえずは段ボールで潜入しよう。
以前の使用で少し焦げているが問題ないはずだ。

「イツキ、地図だせ」
「はい」

――パサッ…

えーと…これがコレクターの部屋で、ここが祭壇だから…。

PITのマッピング機能を使い、まだ探索出来ていない場所をリストアップする。

行くべき場所は3箇所。

1.隣の塔への渡り廊下
2.コレクターの部屋から移動できる悪魔城外壁
3.あからさまに怪しい一本道の通路

「とりあえず隣の塔へわたってみよう」
「わかった」

イツキは以前と同じサイズまで体を小さくし、俺の頭の上に乗った。
その上からダンボールをかぶる。

…必要なのはダンボール箱に対する愛情。
行こう。

**********

渡り廊下前に到着した。
メイドの目に付かないように移動しているので、
今のところ不審に思われてもいないはずだ。

――コツッコツッコツッ…

「(蒼真、後方からメイドが三人)」
「(了解。やり過ごすぞ)」

動くのを止め、壁に沿ってじっとする。
ふ、震えてなんかないやい!

「…まさかコレクターが消滅するだなんてね」
「それも相手は人間ですって。どんな枠外人間だったのかしら…」

枠外人間…

「(蒼真…)」
「(くやしい…でも…ビクンビクン)」
「(うわぁ…)」

ふと目線をずらすと、
会話に参加していなかったメイドのひとりが、
こちらをみている。

ウホッいいメイド…

「どうしたの?」
「ちょっと先行ってて」
「いいけど…」

気づかれた!?

――コツッコツッコツッ…

メイドがそのひとりを残していなくなった。

「(蒼真、どうするの?)」
「(まだあわてるような時間じゃない)」

メイドがこちらに近づいてくる。

「…もう。こんな大きなゴミをほっといておしゃべりなんて…。
あの二人はお仕置きが必要かしら…」

ゴミと見なされた。
ダンボールが剥がされる。

「………」
「「………」」

目と目が合う瞬間、

「!?」
「ごめん!」

――バッ

その虚を突く。
一歩目の踏み込みで相手の間合いのうちに入り込み、
二歩目でその勢いのまま相手を突き飛ばす。

「キャッ!」

そのままメイドを置き去りにし渡り廊下に突っ込んだ。



はずだった。

「よくもやってくれたわね!」

あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
俺はメイドを置き去りにして廊下に突入したと思ったら、
いつのまにかメイドの前にいた

な…何を言っているのかわからねーと思うが、
俺も何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

「ヤアッ!」

「蒼真!」
「うお!」

メイドがかかと落としをしてきた!

両手をクロスさせ頭上に突き出す。
神谷活心流奥義・刃止め(嘘)

――ズシッ

「くっ…」
「~~~ッ!」

痛い。
この前のコレクターの時ほどは痛くないけど、
やっぱり痛い。

受け止めた足を放り出す。

「キャッ!」
「メイドにかまっている暇はないんだ!」
「待って蒼真! その道は、なにかおかし…」

飛び込む。



「なにをごちゃごちゃと!」
「あるぇー!?」

なにこの無限ループ。

「蒼真! 一旦ここから離れよう!」
「くそ!」
「逃がさない!」

再びかかと落としを受け止める。

――ズシッ

!?
これは…!

「…黒のレース」
「!? こんのぉ!」
「ぼぐろぁ!」

――ドゴッ

もう一本の足で胴を蹴られ、弾き飛ばされる。
すげーよ。
エリアルコンボだよ。

「か…かかったな、メイド!」
「なに!?」

これが我が『逃走経路』だ…!
といいたかったが痛みで言えなかった。

結局痛みに耐えながら走って逃げました。

**********

「くっ…逃げられた…」

――ドクンッドクンッ

「隊長への報告は?」
「既に完了しています」
「あとは時間の問題か…いったん各自の持ち場へ戻るように」
「「「了解!」」」

――ガチャッ

…行ったか?

――パカッ

隠れていたロッカーからでる。

「なんとかなったね」
「ちくしょう、メイド恐い…」

あの後数人のメイドが合流して、数回追いつかれてフルボッコにされた。
全員素手だったのが幸いだった。
打撲以外はしていないと思う。

数の暴力って恐いね。
スパイダーストリングスで数人は絡め取れてもすぐに新しいのがでてくる。

「いまどこにいるんだ…」
「…コレクターの部屋の近くだね」
「ちょうどいい。あきらめて外壁に行こう」

さっきの廊下はなんだったんだ?
新手のスタンド攻撃だろうか?

…有角のことだ。
いま弥那のところに戻ったら伝言がある気がするな。

まあ探索できる範囲を探索しきってから戻ろう。



最後に、

「ダンボール…アリーデヴェルチ!」
「なにいってんの?」





オマケ

「先生」
「ん、来栖か。珍しいな」
「今度の学祭でやる企画を持ってきました」
「あれ? お化け屋敷やるんじゃなかったのか?」
「プラスアルファで忍者屋敷的要素を加えてみようと思って」
「…それクラスで話し合ったのか?」
「はい。男子全員の許可はとってあります」
「男子だけ?」
「弥那が喜ぶっていったらホイホイついてきました。予算は男子だけで出します」
「それならいいけど…なんだこれ? 片栗粉?」

小学校の話。
いるよね、クラスのアイドルみたいな娘。





・ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

・装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

・新しいソウル



・PIT

魔物図鑑
地図拡張
道具図鑑

・武器

ウィップソード
コンバットナイフ

・防具


・その他

ポーション(複数)
プリン
メイド服



ダイラタンシーとはある種の混合物の示す、
小さいせん断応力には液体のようにふるまうのに、
大きいせん断応力には固体のようにふるまう性質である。
(Wikipediaより引用)

要するに大量の片栗粉を含んだ水に、
勢い良く足を突っ込み、
その足が沈む前に上げるというのを繰り返すと水上歩行ができます。

実験するときは小さな洗面器等でやると簡単です。
勢い良く指を突っ込むと突き指し、
ゆっくりやると手が汚れます。

水槽などの大きな入れ物でやるようなことは、
良い子のみんなは真似しないでください。
片栗粉がもったいないです。

ユージンはコップでやりました。




[20761] 暁月編25[野生の少女たちにぶちまける]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/29 23:49
**********

・前回のあらすじ

ダンボール箱を装備しているな。
ダンボール箱は敵の目を欺く最高の偽装と言える。
潜入任務スニーキングミッションの必需品だ。

そうなの?

勿論だ。
ダンボール箱に命を救われたという工作員は古来より数知れない。

みんなこれを使ってきたの?

当たり前だ。
ダンボール箱をいかに使いこなすかが任務の成否を決定する。
そういっても過言ではないだろう。

………

ただし、いかにダンボール箱といえど素材は紙だ。
手荒い扱いをするとすぐ駄目になるぞ。
とにかくダンボール箱は大事に使え。
丁寧に扱えばダンボール箱もきっとお前に応えてくれる。
真心をこめて使うんだ。
必要なのはダンボール箱に対する愛情。
粗略な扱いは許さんぞ。
いいな。

メイドが捨てちゃったけど…

なにぃ!?

以上

**********

ダンボールはなかったが無事にメイドに見つからずに外壁に出ることができた。
外壁というよりは、
石造りの物見櫓のような場所が二つあって、
その連絡通路のような場所だ。

「風が強いな…」
「足を滑らさないようにね」

城の外はまるで龍の巣のごとく暗雲に包まれていて、
その実態を知るすべはない。
日食の中とのことだが、
ここから落ちたらどうなるのだろうか。

――ガショーン…ガショーン…

「蒼真」
「わかってる」

メイド以外の魔物は久しぶりにみた気がする。

鎧系の魔物が現れた。
手には回転式の鋸を持っている。

「ディスクアーマー。あれ、投げてくるよ」
「糸がついてるのか…ヨーヨーみたいだな」

あれでループザループとかされたらバラバラにされてしまうが。

――キュイーン…

すごい回転してるし。



「スパイダーストリングス!」

――ベチャッ

糸のついているところを蜘蛛の糸で粘着してみた。

――キュ…キュキュキュ…キュキュ…

回転速度が一気に落ちた。
ディスクアーマーは蜘蛛の糸をはがそうと必死になっている。

そのうちに

「てい」

――ゴシャッ

後ろからたたきつぶした。

「蒼真って基本的に卑怯者だよね」
「痛いのとか嫌いだからな」

「この卑怯者め!」


誰だ?

「蒼真、上だ!」
「上?」

そこには白銀の鎧を身に纏った、美しき羽を持つ女騎士がいた。

「テアー!」
「あぶね!」

手に持った槍でこちらを串刺しにせんと急降下してくる。

「ヴァルキリーだ!」
「いかにも!」
「おでんのところに帰れ!」

魔物娘は全体的にレベルが高い気がする。
無論、容姿的な意味で。

「戦いたくないなぁ…」
「はぁぁっ!」

グレートソードを盾にする。

――ガギッ

「くっ…」
「ほい」

スパイダーストリングスで羽を絡めとる。

「ぐあっ!」

女の子がぐあって…まあいい。
羽に白い粘液が絡まり落下したヴァルキリーに近づく。

「んー、なかなかかわいいよ」
「蒼真、それ以上いけない」

いってみただけだ。

「くっ…ここまでか…」
「この槍もらってくよ」
「え? あ、ちょっと…」
「図鑑図鑑っと。パルチザンねぇ…いくらで売れるかな」

槍を拾い首蔵に入れる。
動けないヴァルキリーに、
何度かスパイダーストリングスを撃ち込んだあと立ち去る。

「待って! 返して!」
「あの娘、ほっといていいの?」
「いいのです」

さすがにこう…抵抗できない人型モンスターに斬りかかるのは人間的にどうかと思う。
ディスクアーマー?
あれはダメ。
俺の判断基準は、人語を解す、人型であるの二つだ。

返してーという声を背にうけながら、
そのまま塔の頂上を目指し連絡通路をのぼっていった。

**********

塔の頂上についた。

「ソウルキーパーハケーン」
「今度はなんだろ?」

――ガシャッ

魂が飛び出し俺に吸収される。

――ポシュッ

ウンディーネ ソウルゲット

水の上を歩くことが…

「有角は何者なんだ…」
「え、なに?」

なぜこちらの進行速度が解る。

「イツキ。お前、有角に定期連絡とかしてるか?」
「卵の時はラインが繋がってたけど、いまは切れてるよ?」

卵の時はつながってたのか…まあそんなことはどうでもいい。

有角幻也は何者なのか。
今分かっていることをまとめると、

1.無駄にイケメン
2.年をとっていない(ように見える)
3.暗黒の力を持っている
4.こちらの状況がなぜかわかる
5.弥那狙い

こんなところか。

吸血鬼化なんかか?
悪魔城シリーズの暗黒の力持ち、なおかつ年を取りそうにない奴は、
ドラキュラ、ヴァルター、アルカード、
ブローネル、オルロック、サンジェルマン、
…他にもいたような気がするがこんなもんか?
うち消滅済みが、ドラキュラ、ヴァルター、ブローネル、オルロックか。

ん?
有角…ありかど…あるかど…

!?

いや、待て。
アルカードは銀髪のはずだ。
…旧アルカード?
いや、イケメンだしなぁ…。
でも吸血鬼は名前に縛られるって噂もあるし。
でも外伝マルスの例もあるしな。

わからん。

「シャァ!」

「蒼真!」
「ん? うお!?」

――パシュッ

魔物が近づいてきていた。
また今度考えよう。

ドゥルガーに似ているが、なんだか力強さを感じる魔物だ。
複数の手に剣をもった女魔物。

「カーリーだ」
「同一人物かい」

カーリーもドゥルガーも女神パールバティと同一視される女神だ。

「魔物は、名前が違えば別の形で現れることはよくあることだよ。
性質も変わってるから気をつけて」
「インドの神様は大変そうだな」
「あくまで神の形に人の負の念が集まってできた魔物だからね。
有名な神様の名前を持っているものはそれだけ強い魔物になるよ」

英霊みたいだな。

「まあ関係ないがな」
「シャ、シャァ!」

糸に絡め取られたカーリー。
スパイダーストリングス。
ディスクアーマー以外、
女魔物にしか使ってない気がする…。

「ふう…」
「どうしたの?」
「なんか自分の人生に疑問を持ってな…」
「? それはいいけど、あそこになんかあるよ」

コレクターのコレクションルームの上か。
そこには毒々しい形状の剣があった。

「図鑑だとフルンチングだって」
「ベオウルフの剣だっけ?」
「毒の刃をもつって」

あぶね!
触るとこだった。

軽く振ってみる。
グレートソードより威力はなさそうだが、
素早く振れるので便利そうだ。
使わなくなったらハマーに…
いや、伝説に名を残す武器はとっておこう。
コレクションするのも悪くないかもしれない。

さて、ウンディーネのソウルも手に入れたし、
あとは一本道を調べて、
その後地下水路に行ってみよう。

降りる途中、
まだ絡まってたヴァルキリーに、
さらに数発の蜘蛛の糸を撃ちこんで安全に降りた。



コレクターの部屋に戻って、

「ようこそ幻夢宮へ。
こうも繰り返し侵入されると、
部下が不甲斐ないのではなく君の腕が立つのだとわかるよ」

!?

「だがそれもここまでだ。
これ以上散らかされても困るのでな。
なに少しお話をさせてもらうだけだよ」

隊長さんお久しぶり

\(^o^)/





オマケ

「…はい」
「ん、こいつは…名刀グラム!?」
「…拾った」
「こんないいもん、ほんとにいいのか?」
「…うん。…代わりにそれ」
「RPG? 嬢ちゃんには悪いが弾はもうねえぞ?」
「…大丈夫」
「…わかった! もってきな!」
「…うん」

――ズシッ

「…重い」
「ああ、ちょっと待ちな。背負い紐もつけてやっから」

背中に重火器を背負い、ほうきを手に持った まじょみならいmk-2





・ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

・装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

・新しいソウル

ウンディーネ

・PIT

魔物図鑑
地図拡張
道具図鑑

・武器

ウィップソード
コンバットナイフ
フルンチング
パルチザン

・防具


・その他

ポーション(複数)
プリン
メイド服



誤字の報告毎度ありがとうございます。

予定では夏休み中に暁月編が終わればいいなと思ってます。



[20761] 暁月編26[依頼]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/29 23:48
**********

・前回のあらすじ

ヴァルキリーハード

治安維持の為に悪魔城外壁に潜入するヴァルキリー。
だがそれは、来須蒼真の巧妙な罠だった。

「ヴァルキリーのプライドは、俺に崩される為に築いてきたんだからな」
「いつもの力が出せれば…こんな人間なんかに…!」
「おっと、羽に当たってしまったか。ベタベタがいつまでもとれないだろう?」
「よかったじゃないですか、スパイダーストリングスのせいにできて」
「ンンンッーーーっ!」
(耐えなきゃ…!今は耐えるしかない…!)
「ヴァルキリーの生パルチザンゲ~ット」
(いけない…! 羽が動かないのを悟られたら…!)
「こんな奴らに…くやしい…! でも…ビクッビクッ!」

XXX板にて公開未定

以上

**********

そういえば以前グレートアーマーが持っている剣、
グレートソードをドラゴン殺しみたいだと言ったことがあったな。
片刃の剣ではあるがそれを振り回せる俺は、一般人といえるのだろうか。
いつのまにか逸般人にジョグレス進化したのではなかろうか。

「まあ、座ってくれ。たったままでは君も話しづらいだろう」

隊長さん、もうちょっとだけ余裕をください。



コレクターとの食事を楽しんだ会食席へと戻った俺。
だがそれはメイド隊長の巧妙な罠だった。

いや、警戒しないで戻った俺が悪いんだけどさ。

椅子に座る。

「さて、まず言っておくことがある」



「私たちは、今後君がある条件を守ってくれるのならば、敵対するつもりはない」
「条件?」
「そうだ」

隊長は話し始める。

「我々はプロセルピナという魔物であることは知っているとは思う」
「ああ」
「まあ実態は人間の神話とは異なる。ただのメイドのようなものだと思ってくれればいい」

ただのメイドは侵入者とは戦わないと思います。

「今まではコレクターを中心にここ、幻夢宮の管理をしていたわけだ」

まずい…。

「え、えーと…コレクターさんのことにつきましては大変申し訳ないことを…」
「ああ、コレクターのことについては気にしなくてもいい。
 コレクターが我々の主というわけではない。
 我々の主は幻夢宮、ひいてはこの城そのものだからな」

あの血の海を掃除するのは骨は折れたがね、と隊長は肩を竦める。

「このまま君を侵入者として扱うと仕事が増えるばかりだとおもってな」

意外と話せる人? じゃないか。

「結局アンタ達の目的はなんなんだ?」
「簡単にまとめると幻夢宮をいつでも客人を迎えることができるように管理することだ」
「人間を襲ったりは?」
「個体差はあるが大半は人間を食料とは見ていないよ。
 侵入者を排除するのも仕事のうちではあるが、
 幻夢宮が散らかるのを防ぐのが目的だからな」

俺は客人ではなく、しかもここを散らかしたから排除されかけたと。

「私の権限で君を侵入者ではない扱いにできる」

客人扱いとまではいかないがね…、と隊長。

「ぜひお願いします」
「…さっきもいったが条件がある。だから土下座はやめてくれ」
「(プライドないね…)」
「(黙れイツキ)」
「条件は簡単だ。この幻夢宮を散らかさないでくれるだけでいい」
「それくらいなら大丈夫だけど…」
「そしてもう一つ」
「?」
「とある魔物を消滅させて欲しい」
「とある魔物?」
「ああ、この地図を見てくれるか?」

――バサッ

「ここだ」
「…蒼真、ここって」
「ああ、さっきまで行こうとしていたところだ」
「そうなのか?」

――グイッ

隊長、顔近い。
ドキドキしてしまうやろがー!

「そこは妙な部屋でな。
 大量の鏡がある。
 魔物はその鏡に住んでいて、
 掃除をするたびにすきを見て部屋を散らかしていくんだ」
「なんで俺に?」
「何度退治しても再生されてしまってね。
 コレクターを消滅させたのは君だろう?
 君ならばなんとかできるかとおもってな」

コレクターが消滅…魂は支配していないんだが。
なんか俺のイメージしていることと違うみたいだな。
まあ俺なら、その魔物を倒せば魂を支配して再生できなくすることもできるかもしれん。

(やっぱりあの魔力は…)
「(イツキ?)」
「(蒼真、あとでちょっと大事な話がある)」
「(? わかった)」

なんだ?
まあいい。

「そいつを完全に退治すればいいんだな?」
「そのとおり。よろしく頼む」

**********

「こちらです」

犬耳のついたメイドに案内されて件の部屋までついた。

犬耳がこっち見つめてハアハア言っていること以外は問題ない。
念のため言っとくとエロイ意味じゃない。

[人食? 個体差があるといっただろう?
業務よりも自分の食欲を満たすことを優先する奴もいることを覚えておくといい]

なんでこんなの案内役にしたし。
かわいいけど。

「では私は隣の部屋で待っています」
「ああ」

一つめの鏡の前に立つ。

「イツキ、なにかわかるか?」
「確かに魔力は感じるけど…」

ん?
実は隣の鏡か?

そちらに移動しようと鏡から目をそらす。



――ザワッ…

!?

「イツキ!」
「え、なに?」
「いま鏡からなんか襲ってこようとしてた!」
「ごめん、見てなかった」

間違いない。
鏡の中に確かにいる。
どうやって仕留めたものか。

…鏡を殴ってみた。

――パリーン…

やっちまったZE☆

「今ので退治できたかな…」
「多分他の鏡に移ってるんじゃないかな」

J・ガイルみたいな奴じゃないだろうな。

他の鏡の前に移動する。
到着して鏡に対面しようとしたとき、

――シュパッ

…ちょっとカスった。
鏡から目を話した隙に襲ってくるようだ。
どうしたものか。

「イツキ、こうなったら囮作戦だ」
「囮?」
「スパイダーストリングス!」

――ベチャッ

「キャッ! ちょ、ちょっと蒼真!?」
「いけい! 我が半身よ!」

イツキに糸をつけ鏡の前に放り出す。

フィッシングなう。

「蒼真!? 冗談でしょ、ちょっと!?」
「大丈夫だ。すぐ助ける」
「外道ってレベルじゃないよ!?」

…でてこない。

「餌が悪かったか…」
「餌って…そもそも囮なら人形使えばいいじゃん!」


その発想はなかった。

別に飛んでいるイツキを見ていたら、
蜘蛛の巣で撃ち落としたくなったわけではない。

キラードールのソウルを使い人形を投げると、
すさまじい勢いで鏡の中の魔物、キョウマは人形に襲いかかった。

ナイフでバラバラにされる蒼真くん人形。
…イラッとした。

後ろから近づき肩に手をかける。

「?」
「なかなか楽しんでるようじゃないか…」
「!?」

左のワンツーからチョッピングライト。
スパイダーストリングスで動けなくしたところで、話しかける。

「そういやこいつしゃべれるのかな?」
「ガッー! ガッー!」
「しゃべれないみたいだね」
「悪いな。俺を襲ったのが運の尽きだったと思ってくれ」

グレートソードでたたきつぶした。

――ポシュッ

ソウルでた。

――シュン

キョウマ ソウルゲット

なぜ一発で出たし。
いまいち支配が成立する条件がわからん。

「お疲れ様でした」

犬耳メイドが話しかけてきた。

「ん、見てたのか」
「ええ、じっくり」

これで散らかさない限りは幻夢宮を自由に移動していいってことか。



――ダンッ

「…え」
「フフフッ…」
「最近蒼真こんなのばっかり…」

犬耳に押し倒された。
どういうことなの。





オマケ

(あとはこれを組み込んで…)

彼女はついに完成させた。
魔力と科学の融合。

ハマーからもらった銃器は新たなる進化を遂げたのだ。

(…発射)

――ガシィン!

(…まだ改良できる)

書物から得た知識には偏りがあった。

彼女が作った近接戦闘用重武装。
人はそれをパイルバンカーと呼ぶ。





・ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

・装備

武器 グレートソード
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

・新しいソウル

キョウマ

・PIT

魔物図鑑
地図拡張
道具図鑑

・武器

ウィップソード
コンバットナイフ
フルンチング
パルチザン

・防具


・その他

ポーション(複数)
プリン
メイド服



暁月をバレットなし、武器装備なしでクリアしようとして挫折しました。



[20761] 暁月編27[狼少女]
Name: ユージン◆ec605aed ID:0f8d63ed
Date: 2010/08/30 19:35
**********

・前回のあらすじ

ソウマ18

「用件を聞こうか…」
「ターゲットのキョウマです。
 表向きは鏡の内に潜み侵入者を襲う魔物ですが…
 裏ではメイドたちが綺麗にした部屋を散らかす迷惑な奴です。
 …このまま放っておいては幻夢宮の存亡にかかわります。
 奴を排除することができるのはあなただけです、ソウマ18」
「わかった…やってみよう…」

――ズキューン…

「馬鹿な…鏡の中から俺を引きずりだすなんて…
 そんなことが…
 いた…な…!
 一人だけ…奴なら…奴ならやってのける!」
「さすが、超一流のプロ。
 自分の分担を完遂したところで、早々に職場を立ち去る…やってくれますね…」

「闇の中で身をさらしているほど…自信家にはできていない…」

以上

**********

彼女の雪のように白く澄んだ肌。
それが仄かな赤みを帯びて、
官能的な色を浮かべている。

「ハア…ハア…」

荒れた息が頬にかかり、
俺の理性を崩壊させる。

「もう…我慢出来ない…」

――ビリッ…

彼女は自らの胸元の邪魔な布切れを破り捨てた。
口の端から垂れた唾液が俺の唇に触れる。

「あなたを食べてしまいたい…」

そして獣のように俺の体を…



そこまでは妄想で補完した。



「ガァァァ!」

はだけられた胸はなんだか獣っぽかった。
なんていうか獣そのものだった。

おめでとう!
犬耳メイドはウェアウルフに進化した!

「…蒼真、モテモテだね!」
「え、なにこれ」

こんなビーストモード聞いてない。

あんなに可愛かった犬耳メイドがこのとおり!
この一粒であなたもウェアウルフ!

「ガァァァ!」

言ってる場合じゃねぇ!
相手の肩に手を当て噛み付かれないように押さえる。

「ふんぬぬぬ…!」
「グググ…!」

なんてパワーだ。
このまま組み合っていたら腕が折れてしまいそうだ。
しかし腕をどかしたらすぐさま噛み付かれる。

くそ。
切り札だ。

「口からスパイダーストリングス!」
「ギャンッ!?」
「きもっ!?」

俺もそう思うが言わないでくれ。
水鉄砲にしたらまだましだったかもしれんが、
時間稼ぎにはこれが一番なんだ。

一気に跳び退り距離をとるウェアウルフ。
手で顔にかかった糸を取ろうと躍起になっている。

ちくしょうめ…。
顔にかけるならせめて犬耳メイドの時にしておきたかった。
今の姿じゃ粘液より首輪の方が似合う。
いや、メイドに首輪もありか?

「フッーフッー!」
「…もう少し小さかったら可愛かったんだけどな」
「そうかなあ」

こちらを威嚇するウェアウルフ。
メイド形態の時に比べると、体格が三割増なので俺よりでかい。

「ガァァァ!」

――ブオンッ

「おっと!」

速い。
が、

――ゴッ

「重っ!」
「グッ!?」

グレートソードで受け止める。
コレクターmk-3が速すぎただけなのか、
この程度の速さになら反応できる。

問題は力の強さ。
これなら受け止めるより避けたほうがいい。

ウェアウルフが離れた際に、
グレートソードからフルンチングに持ち替える。

そして向かってくるウェアウルフをすれ違いざまに斬る。

――ザシュッ

「グガァァァ!」



それを数回繰り返したところ、
なんだかウェアウルフの動きが鈍く、またパワーも落ちてきた。

「ググ、グルルル…」
「体中に毒がまわってるみたいだ」

ああ、そういえば毒の魔剣だっけ。

「グ…」

――ドサッ…

…気絶した。

――シュー…

!?
なんだ?
毛が抜け落ちて…

「おうふ」
「ちょ、蒼真!」

裸の犬耳メイドあらわる。
完全に気絶しているようだ。

「どうしよう…」
「止めをさしておいたら?」

さっきまでならともかく、
気絶して毒で息苦しそうにしている裸の犬耳メイドに斬りかかるのはちょっと…。



「そこまでにしてもらえるか?」
「!?」

隊長!?

「ち、違う! 俺が脱がしたんじゃない!」
「それはわかっている」

白い布で犬耳メイドの体を包む隊長。
他のメイドがきて犬耳メイドを運んでいった。
そして隊長はこちらに向かって頭を下げた。

「すまない。君が襲われたのは私の責任だ」
「え、なんで?」
「彼女が人狼種であることはわかっていたが、
 普段は暴走しないように首輪を着けているんだ。
 それを、その、…数日前に私が外して、そのことを忘れていたんだ」

たまには首輪も洗ってあげようと思っただけなんだが…、と隊長。

ドジっ娘?

「そ、そんな目で見ないでくれ!
 本当にすまなかった!
 私に出来ることならばなんでもしよう!」

ほんのり赤い顔で恥ずかしそうな隊長。
なんでもするとな?

「大丈夫だよ、今回は蒼真も怪我してないし」
「(イツキ! 余計なことを!)」
「…本当にすまなかった。
 キョウマも完全に消滅させてもらったようだし、
 何から何まですまない」

魂を吸収すると消滅させたのと同じような扱いになるのか。

「…そうだ! ちょっとついてきてくれないか?」

隊長に言われ俺はついていくことにした。

**********

とある部屋についた。

「すまない。少し待っていてくれるか?」
「いいけど、ここって…」

たくさんのメイドに追いかけられたトラウマルートじゃないか。

犬耳メイドの毒は結構簡単に抜けたらしい。
なんかこちらが申し訳なくなるくらいに謝ってきたので許しておいた。

隊長は部屋の中に入っていったので扉の前で待つ。

「ねえ、あれって…」
「ついに隊長にも春が…」
「でも人間…」
「この前の覗き…」
「わざわざ侵入者リストから外したって…」

――ヒソヒソ

なんか生きているのが辛い。

メイドがこっち見ながらヒソヒソ話してる。

――ガチャッ

「待たせたな」
「いま来たところさ」
「は?」

おもわず言ってしまっただけです。

「お詫びと言ってはなんなんだが、これを持っていってくれ」
「ポーション? 違うな」

虹色の液体の入った小瓶。
なんかもっとハイパーな…
イツキが口をあんぐりと開けて固まっている。

「イツキ?」
「…エリクサー」
「…マジ?」

万能の妙薬。

「こ、こんなものもらっていいのか?」
「ああ。
 昔コレクターが襲った錬金術師が持っていたものだ。
 私たちでは使い道がない。
 こんなもので彼女の件を許してもらえないだろうか?」
「全然オッケーだよ! むしろお釣りが出るよ!」
「(イツキ、なぜお前が言う)こちらからもありがとうと言わせてもらうよ」

そう言うと隊長はあらためてこちらの方を向いて、

「ありがとう。
 今後近くを通ったときは寄ってくれ。
 出来る限りのもてなしをさせてもらうよ」

優しく微笑んでくれた。



「隊長が笑った…」
「ありえん…」
「奴は本当に人間か…」

――ヒソヒソ

「そこ! 仕事をしろ!」
「「「はーい」」」



…なんか締まらん。





オマケ

幻夢宮をでて、

「なんでもする、か。
 惜しいことしたかな」
「蒼真って女性経験ないの?」
「…俺は未成年だ」
「最近はみんなはやいって…違った。
 前世では?」
「………」
「…ごめん。僕が悪かったよ。だから泣かないで、蒼真」
「…雨か。一晩中続きそうだな」





・ステータス

来須蒼真(クルスソウマ)

・装備

武器 フルンチング
防具 鉄の胸当て
他1 首蔵

・新しいソウル

キョウマ

・PIT

魔物図鑑
地図拡張
道具図鑑

・武器

グレートソード
ウィップソード
コンバットナイフ
パルチザン

・防具


・その他

ポーション(複数)
エリクサー
プリン
メイド服



暁月も輪月みたいに、
はじめからソウルコンプリートモードあればよかったのにと思う今日このごろ。


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