日韓併合100年:李潤雨・サムスン電子副会長に聞く(下)

韓日強制併合100年、あすを語る

サムスンは過去に日本の三洋電機から技術導入をしたが。

 「1960年代後半にサムスンが電子産業に参入した際、三洋電機とNECから技術と経営を学んだ。サムスンの研究員を日本に送って技術を習得させ、サムスン三洋電機、サムスンNECという合弁会社を設立した。わたしは1968年にサムスン物産に入社した後、すぐにサムスンNECに異動し、電子部門に配属となった。日本との合弁会社はテレビ、ラジオとその関連部品を生産し、サムスン電子設立の母体となった」

素材・部品分野で日本が強い理由は。

 「日本はオンリーワンの技術力を保有する中小企業が多い。特有の匠(たくみ)の精神とたゆみない力の向上、企業の継承などを通じ、世界的な競争力を確保している。また、完成品を生産する大企業と長年の協力関係を維持し、絶えず技術開発に取り組んでいる。こうした日本の大企業と中小企業の関係もわれわれが学ぶべき点だ」 

中国の浮上が著しい。

 「中国は生産拠点から世界最大の消費市場へと変化している。テレビ、自動車の市場規模は既に米国を追い抜いた。しかし、中国の急成長はサムスン電子にとってチャンスであると同時に、リスク要因でもある。中国は『自主創新』の名の下に自国企業育成策を強く推し進めている。それが中国企業の積極的な海外進出につながり、世界市場の無限競争に拍車をかけている」

北東アジアの経済的比重が日々高まっている。

 「現在は韓中日をアジア共同体と見るべきだ。韓中日を一つの市場とみて、経営戦略を練らなければならない。このような観点から、韓日、韓中のFTAを早期に締結し、域内貿易をさらに活性化することで、韓中日3カ国は世界市場で占める比重に見合う経済的リーダーシップを拡大すべきだ」

北朝鮮問題が経済に与える影響は。

 「北朝鮮問題がうまく解決されれば、コリア・ディスカウント(韓国のリスク要因が信用格付けや株価に悪影響を与えること)の解消に役立つはずだ。海外投資家の間では、国家リスクに対する懸念があるが、その改善につながる」

【略歴】

 器興半導体研究所長、半導体総括代表、サムスン電子最高技術責任者(CTO)などを歴任し、サムスン半導体神話の生き証人として知られる。課長時代の1976年から20年近くにわたって、サムスンの半導体事業を率いてきた。83年に韓国初のメモリー半導体となる64キロビットDRAM、256キロビットDRAMの開発を主導し、わずか6カ月で京畿道器興の山を切り開き、半導体工場を設立したのは有名なエピソードだ。

趙亨来(チョ・ヒョンレ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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