ホーム > タイガース > タイガース最新紙面記事

金本から5発!猛虎花火ロード爆勝締め!

 5回、2ランを放った城島(左)を笑顔で迎える金本(撮影・高部洋祐)【
 5回、2ランを放った城島(左)を笑顔で迎える金本(撮影・高部洋祐)【

 「ヤクルト5‐12阪神」(29日、神宮)

 伝説を超えた。阪神は1‐1の二回、金本知憲外野手(42)の13号ソロを合図に、城島健司捕手(34)の2発など、計5本塁打でヤクルトを圧倒。首位の座をキープした。1試合5発は今季6度目で、1985年の5度を上回った。いよいよ31日には甲子園へ。本拠地でも大爆発を頼むぞ!!

  ◇  ◇

 別れのときが迫っていた。感謝の気持ちをしるしたい。快音を奏でた。打球の行方は見なくても分かった。ダイヤモンドを回る。こみ上げる惜別の思い。金本が残した「ありがとう」の形。復活への勇姿を目に焼き付けた「恩人」は、ベンチ裏で感極まった。

 同点の二回。先頭で巡った第1打席で初対決の山本斉を沈めた。4球目、外の直球を振り抜いた打球は悠々右翼席へ達した。

 逆転満塁弾を放った25日の広島戦以来、4試合ぶりとなる13号ソロ。対戦投手214人目に浴びせた一発が主導権を奪い、城島の2者連続弾を呼びこんだ。三回には松井光から右前打を放ち、1点差の五回には2死から中前に運んで城島の2発目を誘発。貴重な追加点の起点になった。

 プロ通算455本目の本塁打。この1本をどうしても届けたい人がいた。「伊藤健治に贈るホームラン。あいつのおかげで、ここまでこれた。4カ月間、ありがとう。本当に感謝してるよ」。試合後、金本はそう言い残して神宮球場をあとにした。連続試合フルイニング出場が途切れた直後の4月25日から金本のリハビリ担当として2軍から招集された伊藤健治トレーナーが、この日を最後に役目を終えた。

 「お前、カープのマエケンに似とるよな」。一回り年下のトレーナーと二人三脚で目指した復活ロードは、そんなあいさつから始まった。伊藤は初めて金本の右肩を目にしたときの衝撃を生々しく記憶する。

 「左肩の筋肉と比べて、半分。見た目ではっきり分かるほど右肩の筋肉がやせ落ちていて驚いた。聞いていたよりひどかったし、想像以上に悪かった」

 福岡にある肩の専門医を紹介し、嫌がる金本を何度も諭して福岡行きを2度実現させた。一進一退の患部にいら立ち、時に愚痴の聞き役にもなった同トレーナー。「会社変わるんだっけ。え?トレーナーやめないの?」。最後は金本流のジョークで別れを告げ、さみしさを紛らわせた。

 試合前には俳優・渡辺謙の激励訪問を受けた。「(25日)広島戦の満塁ホームラン、すごかったね」。知人を介して親交を深めたハリウッドスターの祝福に「たまには…」と照れ笑いを浮かべた。

 ロード最終戦は自力で首位を守った。金本の一発が口火となり猛打が爆発。毎回の20安打。1試合5人の猛打賞は今季初。1試合5発は今季6度目を数え、日本一に輝いた85年の球団記録5度を25年ぶりに更新した。

 前日は右肩の状態が一時的に低下したため、大事をとって試合直前のシートノックを回避。早々六回の守備からベンチへ下がっていたが、この日は「健治のために」と痛みを押し殺し、バットを振り抜いた。金本の心が「恩人」に届いた。

(2010年8月29日)







Copyright(C) 2010 デイリースポーツ/神戸新聞社 All Rights Reserved.
ホームページに掲載の記事、写真などの無断転載、加工しての使用などは一切禁止します。ご注意下さい。
当サイトは「Microsoft Internet Explorer 4.x」「Netscape Navigator/Communicator 6.x」以上を推奨しています
Email : dsmaster@daily.co.jp