6回、長野は中前にタイムリー二塁打を放つ。捕手石原(撮影・西岡 正)
「広島11‐12巨人」(29日、マツダ)
突き放しても突き放しても食らいつく広島に、最後の最後まで苦しんだ。1点差を守り切ったのは執念の差か。それでも巨人・原監督は「今日は本当に何もない。いろいろ言いだしたら止まりません」とぶ然。壮絶な乱打戦を制し、07年8月以来の広島戦3連戦3連敗は阻止したが、指揮官の表情が晴れることはなかった。
今季最多タイの16安打で12得点。五回に一時逆転を許したが、六回に打者9人の集中攻撃。代打・矢野の勝ち越し左前打などで再逆転した。守護神・クルーンを八回から投入する執念の継投も見せたが、簡単には勝てないのが今の巨人だ。
3点リードの九回2死二塁。クルーンが27日の九回に同点2ランを浴びた岩本に、またも左翼席への2ランを浴びて1点差。代打・倉にも左前打を打たれ、6番手・マイケルと交代した。
ベンチ裏では大荒れのクルーンの怒号が響き渡り、主将の阿部に「チームが勝つことが大事。マイケルがマウンドにいるんだから、応援しろ」とたしなめられ、渋々ベンチへ戻るドタバタぶりだった。
首の皮一枚での勝利に、指揮官は「本当なら(サヨナラ負けの初戦と)2つ取ってないといけない」と会見を打ち切りバスへ向かった。ただ、なりふり構ってはいられない。「1対0でも12対11でも、勝ちは勝ち」と伊原ヘッド。広島の粘りを目の当たりにした巨人が、今度は虎のしっぽに食らいつく番だ。
(2010年8月29日)