2010年8月30日
5年前のシーズンを思い出す今季の戦い
ちょうど今、5年前のことを思い出している。
05年、日本ハムがリーグ5位で1年をフィニッシュした。これが札幌ドームへと球団を移転してから昨季まで6年間で、唯一のBクラスになったシーズンである。今季の佳境を取材している今、少し似たような雰囲気を感じている。
その05年があったからこそ、近年の躍進がある。移転元年だった04年は3位で、ちょうどその年からスタートしたプレーオフへ進出した。06年限りで引退した新庄剛志氏が米から復帰したフィーバーと、プレーオフという新制度の恩恵も受けて、盛り上がった。一定の成功を収めたように、見えた。
06年に25年ぶりリーグ優勝&44年ぶり日本一。翌07年に球団史上初のリーグ連覇、そして昨季のパのペナント奪還劇。劇的に常勝球団への系譜を築いたが、その布石になったのが05年。最悪に近いチーム成績になったため、大きくチーム方針、全体像を改革することができたのだ。
一塁までの全力疾走にみられる全力プレーの徹底が、球団からは選手に義務づけられた。また当時、指揮を執っていたトレイ・ヒルマン前監督も犠打などの重要性を認知し、戦術を変化させた。ボーンヘッドをした若手が試合後のコーチ室で、激しい怒声を浴びせられているのを、何度も聞いた。
秀でた能力を持っていてもイージーミスをした選手は容赦なく、翌日のメンバーから外れた。そこでチャンスを逆にモノにし、台頭してきたのが今の小谷野栄一、田中賢介らだ。投手では武田久が代表格だ。勝つという目的を達成するための「遠慮」が、首脳陣、選手の関係の中では皆無だった。
快挙を遂げた06年には問題言動を起こした主力選手がオフ、追われる形で球団を出た。その時、ヒルマン前監督は札幌ドームの選手ロッカーから、その選手の用具などをすべて撤去するように、強い口調で指示をしたという。球団も断固とした意思で、チームの和を一瞬でも乱した選手を排除した。
一枚岩での戦いが、最大の強みとして駆け上がってきた。だが、1年間の正念場のここ数試合は、かつてと比べてだが、稚拙な走塁、記録に表れない守備のミスなど、集中力の欠如、緊張感のないプレーが明らかに目立つ。遠因だが、チームの失速につながっている。
05年が起点になった、破壊と創造-。球団移転からの短期間、その繰り返しで、強くなってきた。5年ぶりBクラスが現実的になってきた今、そうなった場合のプラスの部分も考えるようになってきた。
(高山通史)
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- 高山通史(たかやま・みちふみ)
- 新潟県新潟市(旧小須戸町)出身。日刊スポーツ長野、新潟支局を経て02年北海道本社に入社。編集部。一般スポーツ、コンサドーレ札幌などを担当し、03年9月から日本ハム担当。高校3年夏の甲子園に出場して本塁打をマーク。趣味は映画(レンタルDVD)観賞と愛犬の散歩。1975年4月生まれ。
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- 本間翼(ほんま・つばさ)
- 北海道札幌市出身。在京スポーツ紙で4年間経験を積み、07年6月に入社。昨年まではプロ野球を担当し、新規参入1年目の楽天、44年ぶり日本一の日本ハムを担当した。休日は最近はじめたゴルフの練習に精を出すが、思うように上達しないのが目下の悩み。1978年4月生まれ。
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- 石井克(いしい・まさる)
- 北海道札幌市出身。1983年8月生まれ。09年9月に北海道本社に入社。同年10月から日本ハムを担当している。小学3年から野球を始め、高校時代は投手。アンダースローに転向して甲子園を目指すも、夢はかなわなかった。最も尊敬する人物は野茂英雄氏。
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