2010年8月30日11時2分
韓国国内では来年5月のテレビ放映を目指すが、政府の支援も取り付けた上で、「バトルものアニメ」として欧米市場にも売り込む予定だ。
■親は「ハングル世代」 「遺伝子に儒学への関心」
子供たちに『魔法千字文』を買い与えている親は、韓国で「ハングル世代」と呼ばれる人たちだ。
ハングルは、1446年に朝鮮王朝第4代国王の世宗によって公布された。大韓民国成立後の1948年には「ハングル専用に関する法律(ハングル専用法)」が公布され、朴正熙(パク・チョンヒ)政権時代の70年に漢字廃止宣言が出された。韓国最古の大学と言われる成均館大学の李基東(イ・ギドン)教授は、「朴政権による急速なハングル専用化政策の背景には、民族主義の高揚と識字率向上の目的があった」と語る。
その反動もあってか、中学・高校の選択科目として漢字教育復活の動きも出始める。98年に当時の金大中(キム・デジュン)大統領が漢字復活宣言を発表。しかし今の40代以下の世代は、漢字を使わないのが実態だ。
自らも「ハングル世代」という八洲(やしま)学園大学(横浜市)の嚴錫仁(オム・ソギン)准教授は、「我々の世代には、漢字に対するアレルギーがある。漢字入りの本は一切買わないぐらい拒否反応が強い」と語る。そんな「ハングル世代」が自分の子供に漢字を学ばせたがる理由は何なのか。李教授はいくつかの理由を挙げる。
一つは小学生が受ける漢字検定試験の結果が内申書に反映され始めたこと。韓国特有の厳しい受験戦争に勝ち抜くためにも、今や漢字の学習は必須になった。
同時に、漢字ができる生徒は他の科目の成績も高いという調査が発表され、漢字教育熱に拍車がかかった。復活しつつある漢字は中国、台湾、香港の漢字より日本の字形に近いが、「経済的に中国の存在感が高まり、サムスンをはじめ一流企業が漢字の習熟度を採用基準に加えた影響も大きい」という。