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「悩み」一人じゃない…若い女性のアルコール依存症増加、元患者が早期治療と断酒訴え/神奈川

2010年8月29日

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 「もう、あの地獄の日々には戻りたくない」。若い女性が増加傾向にあるアルコール依存症。厚生労働省研究班は、女性の新規患者が10年間で約5割増えたというデータを報告している。かつて国立病院機構久里浜アルコール症センター(横須賀市野比)に入院し、依存症を克服した県内在住の50代の女性は自身の切実な経験から「特に若い人は早く病院に行って断酒し、人生を無駄にしてほしくない」と訴える。

 女性は会社員として多忙な生活を送った後、結婚、出産を機に退職。子どもが幼稚園に入園すると同時にパートを始めた。もともと酒は程よく飲んでいたが、飲酒量がエスカレートし始めたのは、子どもが小学生になった30代のころだった。

 仕事と家庭で常に自分を追い込んでいた。「完ぺきな母親でいなくちゃいけない」。子どもが世間から評価されることをいつも望んでいた。仕事場でも人付き合いにストレスを感じながら誰にも悩みを打ち明けず、自分一人でため込んでいた。ストレスを忘れさせてくれる格好の逃げ場となったのが酒だった。

 日中のパートの休憩時に一度帰宅し、ウイスキーを瓶のまま、らっぱ飲みするのが日課となった。1日に日本酒1升分やウイスキー1本空けることは珍しくなかった。「頭ではよくないことだと分かっていても、気付けば飲んでいた。酔って現実から逃げたかった」

 気付けば食事を全く取らずアルコールだけを摂取する日々が続いた。体への影響も出始めた。足がつり、手足がしびれ、だるさも抜けなかった。内科医に「アルコール依存症」と断言された。以来、専門病院の入退院を繰り返した。それでもなかなか酒をやめられなかった。体も限界に達し肝硬変を患ったころ、久里浜アルコール症センターに入院した。

 同センターの女性患者だけの集まりに参加した。それが契機だった。「断酒への道が開けた」と振り返る。依存症を克服した人の経験談などから、悩んでいるのは自分一人じゃないと気付いた。初めて、酒に頼らず生きてみようと思い始めた。

 アルコール依存症の克服は酒を一滴も飲まないことだ。断酒を続けても1回飲めばまた元通りになるという。女性は同センター退院から十数年がたった今でも一滴も口にしていない。毎月の医師との面談と、家族から信頼を取り戻したこと、自助グループの集まりが彼女を支える。

 人とのつながりを拒絶し酒に頼ってしまった女性。「悩んでいる人は一人でこもらず、酒だけに逃げ場を求めないで」と語る。 

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