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北朝鮮:金総書記訪中 ハルビン訪問 投資期待、東北3省と経済協力協議か

 【ハルビン(中国黒竜江省)米村耕一】北京の外交筋によると、中国を訪問している北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記は29日、黒竜江省ハルビンに入った模様だ。金総書記は27日に長春で中国の胡錦濤国家主席と会談して主要日程を終えたと見られているが、経済開発のパートナーにと期待する中国東北地方視察を続けていることになる。金総書記は30日にも特別列車で帰国の途に就く可能性があるという。

 同筋によると、吉林省延辺朝鮮族自治州図們で、北朝鮮へ抜ける線路沿いに建つホテルの宿泊客に「30日午前8時(日本時間同9時)までにチェックアウトするように」という指示が出された。金総書記の通過に備えた措置だと見られる。

 ハルビン駅関係者は毎日新聞の取材に対し、29日午前10時半(日本時間同11時半)ごろ、特別列車が到着したと証言した。この列車は、30日午前6時から同7時の間に出発すると聞いているという。ハルビン市のタクシー運転手は、「北朝鮮の指導者が来たということで、29日は厳しい交通規制が敷かれて大渋滞が起きた」と話した。

 韓国の聯合ニュースは29日夜、外交消息筋の話として、金総書記が黒竜江省政府の関係者と会談した後、主要な産業施設を視察した模様だと伝えた。同筋は「現在、ハルビン訪問の目的把握に努めている」と述べた。

 一方、インターネット上の掲示板には、29日午後から「警察から大通りに面した窓を開けるなという通知を受けた」などというハルビン市民の書き込みがあふれている。

 金総書記のハルビン訪問は、北朝鮮北東部の港湾都市・羅先の開発との関連が考えられる。金総書記は昨年12月に羅先を訪問して貿易部門の役割が重要だと強調し、対外活動を積極的に展開するよう指示した。北朝鮮は今年1月に羅先を特別市に昇格させ、外資導入による開発を進めようとしている。

 北朝鮮が期待するのは、中国政府が03年から力を入れている東北3省(吉林省、遼寧省、黒竜江省)の経済開発との連動だ。特に、海に接していない吉林、黒竜江の両省にとって羅先港の利用価値は高いと踏み、羅先への投資を期待している。

 金総書記は5月の訪中で遼寧省の省都・瀋陽を訪問している。今回の訪中と合わせ、東北3省それぞれの地方政府と経済協力についての協議を進めたとも考えられる。

毎日新聞 2010年8月30日 東京朝刊

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