新卒者、既卒者の雇用を確保するために菅内閣が検討している緊急対策の全容が判明した。卒業後3年以内の既卒者の正規採用やトライアル雇用(試験的採用)を行う企業に奨励金を出すことなどが柱。30日に菅直人首相直属の雇用対策特命チームが正式にとりまとめ、31日に閣議決定する追加経済対策に盛り込まれる。
特命チームは、就職環境の現状について「円高・株安などの経済情勢のさらなる悪化もあいまって、来春の就職内定率は過去最悪となるおそれもある」と分析。緊急対策について「9月初旬から直ちに取り組む」としている。
具体的には、卒業後3年以内の就職希望者を正規雇用する事業主に対する奨励金を創設。同様に、正規雇用を前提にトライアル雇用を実施する事業主に対する奨励金も創設する。中小企業が採用活動にかけるコストを軽減し、積極的な採用を促す狙いだ。
また、在学時から就職活動をサポートするため、約250大学に配置しているキャリアカウンセラーを約500大学に倍増。ハローワークに配置している「高卒・大卒就職ジョブサポーター」(928人)も、約1800人に倍増する。
さらに、効果的な就職支援を進めるため、ハローワークや地方自治体、労働界、産業界、学校を交えた「新卒者就職応援本部(仮称)」を47都道府県の労働局に設置することも盛り込んだ。
首相は雇用分野を追加経済対策の柱に位置づけており、28日に北九州市の工場を視察した際、「日本経済を立て直すには『一に雇用、二に雇用、三に雇用』。雇用があればモノが生まれて経済成長し、税収が上がる。それを生かして社会保障も強くなる」と強調していた。
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