ソウルの日本大使館前で29日、日本による韓国併合100年に合わせた抗議行動に参加した韓国人ら=AP
【ソウル=箱田哲也】韓国併合条約が発効し、日本が朝鮮半島の植民地支配を始めてから、29日でちょうど100年を迎えた。この日を「国恥の日」と呼ぶ韓国では各地で集会が開かれ、植民地支配に対する「率直な謝罪」などを日本に求めた。一方で若い世代の間からは、日本との「未来志向」の関係を求める声が聞かれた。
大雨が降り注ぐなか、3・1独立運動で有名なソウル中心部のタプコル公園では29日朝、「あの100年の記憶、100年の未来」と題した集会が開かれ、数百人が集まった。抗日・独立運動をした人やその遺族らでつくる光復会が主催した。入り口で配られた韓国の太極旗を手に、参加者らは独立万歳を三唱した。
男女の高校生2人が壇上で「最近の日本の総理の欺瞞(ぎまん)的な謝罪よりは、植民支配の犠牲者と被害者の前に日王(天皇)の率直かつ具体的な謝罪を求める」などとする決議文を読み上げた。集会の参加者らの一部はソウルの日本大使館前に移動し、戦後補償問題を訴えた。
ソウル中心部の南山にあるかつての韓国統監官邸跡地では、碑石の除幕式があった。100年前の8月22日に、寺内正毅・韓国統監と大韓帝国の李完用(イ・ワニョン)首相が併合条約に調印した場所で、「国恥の歴史を忘れず、繰り返さないため」として作られた。
ただ、日本への非難一色だったわけではない。タプコル公園での集会に参加した男子高校生に決議文への感想を聞くと、「かつて苦労した世代からすれば、菅直人首相の談話は欺瞞と映るのかもしれないが、十分な内容とは言えなくてもいい談話を出してくれたと思っている。僕は日本が好きです」。別の高校生は「学校から勧められて友人と来た。好き嫌いにかかわらず、韓国と日本は、もう離れたくても離れられない関係なのでは」と話した。
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