~注意~
・作者の文章力はゴミ。
・何か石井君がおかしい。死にそうに無い。
・性格改変から転生系になってしまった。どうしてそうなった。
・御都合主義。
以上の事が「許せるッ!!」と言う人だけお読みください。
許せない人はもっと上手い人の記事を見ると良いと思うよ!!
―――思えば、それなりに有意義な人生だったのかもしれない。
「隊長!!」
「隊長ぉ!!」
「しっかりしてくれよ隊長!!」
部下が叫んでいる。
無茶言うなよ。
血が流れすぎて意識が朦朧としてきてんだ。
しっかりしろとか拷問か、お前ら。
「隊長ぉ…何で俺なんか庇ったりしたんだよぉ…」
あーもう、泣くんじゃねぇよマルス。
昔からそうだなお前。
拾ってやった頃から、毎回毎回ピーピーピーピー泣きやがって。
誰よりも精密な射撃ができるようになったくせに、そういう所だけは変わっちゃいねぇなぁ。
『百発百中のマルス』の名前も泣くぞ?
そもそも何でって、お前の反応が遅かったからだろうが。
まったく、どん臭いったらありゃしねぇ。
だーからお前は孤児院だとかに行けって言ったんだよ。ソレなのに『隊長の役に立ちたい』だの何だの格好付けやがってよぉ。
許しちまった俺が悪いみてぇじゃねぇか。
「隊長!!しっかりして下さい!!今助けますから!!」
オイオイ、ペーター。
見てみろお前、この出血量で助かるわきゃねぇだろうが。軍医がそんなもんすら見切れなくてどうすんだよ。ったく。
幾らお前の腕が良くても、この出血量じゃあどうしようもねぇよ。
それに奴さん等、銃弾に毒なんぞ仕込んでやがる。
解毒剤もねぇんだ。どうしようもないさ。
それにそろそろ寝かせてくれねぇか?もう十分なんだよ、俺は。
十分に、生きたんだ。
あー、でも心残りは一つあるなぁ。
「…おぉい、アレックス…」
「―――何だ、隊長」
何だよアレックス。冷血漢で知られるお前まで泣いてんのかよ。
雨の中だからばれねぇとか思ってんじゃねぇぞこの野郎。バレバレなんだよバーカ。
「アレ…ゴフッ…煙草、寄越せ。薬用じゃないやつ…」
「―――ああ」
アレックスがポケットから煙草を取り出し、俺の口に差し込む。
そしてその巨体を雨傘代わりに、ライターで火を点けてくれた。
大きく煙を吸い込む。
―――ああ、不味い。
ベッと吐き出せば、自分の血と混ざり合って赤黒く染まった水溜りに落っこち、鎮火した。
「ゲフッ!ゴフッ!…アレックス…お前、よく、そんな不味いもん…吸える、なぁ」
「―――隊長は、味覚が餓鬼だからな」
うるせぇよ。いいじゃねぇか、パフェが好きでも。
それに薬用パイプとか、ハッカパイプとかは好きだぜ?頭が冷やせるからな。
「ああ、眠い」
とても眠い。瞼が勝手に下がってくる。
思い返せば、色々あった。
親が飛行機事故で死んだと思ったら、傭兵に拾われて、暗殺者なんぞの技術を仕込まれて、何時の間にやら傭兵部隊の隊長だ。
敵を殺して、仲間が死んで、何でか知らんが生き延びて。
一時期は自棄になって、たった一人で百人以上の軍隊にゲリラ戦仕掛けた事もあったっけか。
結局、生き延びたが。
そのせいで付いた渾名は、『神出鬼没の――――』
「ハハッ」
ああ、ソレこそどうでもいいことだな。
色々とクソッタレな人生だったが、部下には慕われていたようだ。
俺なんぞの為に、泣いてくれる奴らが居るんだから。
なら、それでいい。
最期を看取ってくれる奴らが居るんだ。
俺には、贅沢すぎる最期だ。
「――――」
「隊長?…隊長ぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
傭兵部隊『名無しの兵士』隊長、『神出鬼没の何処かの誰か(ジョン・スミス)』死亡。
~プロローグ 死亡フラグと転生の巻~
「死亡した、はずだったんだがねぇ?」
ぼりぼりと頭を掻き、ずり落ちかけたサングラスを押し上げる。
普段は伊達眼鏡なのだが、休み時間だとかには『昔』を思い出すために此方をつけている。
場所は屋上、昼休み。
あの後、気付けば赤ん坊だった。
いや、何を言ってるか分からんと思うが自分でも何を言ってるか分からん。マルスが良く読んでいた、『俺の故郷だと思われる国』で描かれたコミックに出てきた凄まじい髪の毛の奴の言葉を借りるなら。
『あ、ありのまま起こったことを(ry』
って奴だ。
いや、マジで意味が分からんかったな。あの時は。
何を言っても「おぎゃー」としか発音できんわ、周囲の奴らはソレを見て「元気な男の子ですよ」とか言いやがるわ。
その後、落ち着いてみれば自分が赤ん坊になっていた事が分かった。
何かもう、疲労感しか湧かなかった。
結構カッコいい死に様だったと思うのよ。
その後、あいつ等が『隊長の意志を~』とか言って走ってって、隅っこにでかでかと『完』とか書いてあれば―――。
「いやいやいや、漫画に毒されすぎだろう俺」
無い無い無い、ソレは無い。
幾らなんでも現実と空想をごっちゃにしすぎだろう俺。
思い出は美化されるとか言うが、本当だなオイ。
少なくともあいつ等はそんな殊勝な事はしない。
俺が死んだ後は『ヒャッハー!!やりたい放題だぜー!!敵討ちと題して汚物は消毒だー!!』だの、叫びまくって阿鼻叫喚の地獄絵図を作り出したに違いない。
「・・・・・・」
…ひ、否定できねぇぇぇぇぇ。
チクショウ、美化された部分だけは決定的に否定できるのに!!
非常識な行動にだけは否定が全くできねぇ!!
あいつら『たが』が外れると、即座に自分たちのやらかしたい事をやり始めるからなぁ。
そのせいで俺がどんだけ苦労した事か…!!
「まぁ、今更どうしようもないんだがねぇ」
前世がどうあれ、今の俺は、学生だ。
しかも世界中で一、二を争うであろう平和な国、『日本』の学生である。
『何処かの誰か(ジョン・スミス)』であった時の俺の、故郷では無いかと目されていた国でもある。
そんな事はどうでもいいが、ともかく『戦争』とはほぼ無縁の国だ。
俺が『あいつ等』に出会うことは、二度とないのだろう。
―――そも、『同じ世界』である保障も無い。
ペーターが好んで読んでいたSF小説だとかでもよくあるアレだ。
平行世界。パラレルワールドってやつ。
似ているけれど決定的に違う世界。
少なくとも俺は親を飛行機事故で失っていないし、どっかの飛行機が墜落した、と言う話を聞いても生存者が一人だけ、と言う話も聞いた事が無い。
そもそも、俺が拾われたシチュエーションである『密林に突っ込む飛行機』なんぞ滅多に無いだろうに。
ともあれ、同じ世界であると言う可能性は極めて少ない。
昔は鼻で笑ったりもしたが、まさか自分がその当事者になろうとは。
「意外と言う他、無いわなぁ」
ポケットから煙管を取り出しふかす。
人体に悪影響を与えるようなあのクソ不味い煙草ではなく、ハッカだとかハーブの類を詰め込んであるものだ。
『今の俺』の祖父に当たる人物から貰ったものだ。
パイプも良かったが、この煙管と言うのも中々どうして良いものだ。
そう思うのは、前世も日本人であったからなのか。
「分からんなぁ。分からんよ」
己の黒髪を撫で付ける。
前世と同じ、真っ黒な髪の毛。
日本人と言う人種を象徴するパーツの一つ。
まぁ、黄色人種である。と言う事のほうが外国にとっては代表的であるのだろうが。
「全く、どうしたもんか」
「一人で何ゴチャゴチャ言ってんだよ」
そう言って俺の特等席、屋上へ続く階段の屋根の上に登ってくるのは。
「小室坊か」
小室・孝。同じ二年生であるが、別の組の少年だ。
「お前、その呼び方やめろよ。同じ歳だろ?」
「まぁ、そう何だがねぇ」
不平を言いながら、俺の隣に座り込む小室坊。
この呼び方は、最早癖なのだ。
どうしても年下に見てしまうのは、前世の年齢分か。
元より六十近くまで生きた老兵であったのだ。同級生を見ても、孫とかそこら辺にしか見えん。
故に、ほとんどの人物に『坊』や『嬢』と付けてしまうのだ。
一度、その事で先輩方に呼び出されたこともある。無論、逃げ延びてやったが。
「その癖直さねぇと、また先輩方に呼び出し喰らうぞ?」
「大丈夫だ。また逃げ延びる。そして先生方に助けを請う」
面倒事は避けるに限る。態々喧嘩して先生方に眼をつけられる事も無い。
一応、評判だけは良いのだ。傭兵生活じゃあさして出来なかった勉強、と言う事もあり学生生活はほぼ勉強一辺倒。此処、藤美学園に入れたのもそういう理由がある。
存外に偏差値が高いのだ。この学園。
「…表面優等生」
「やかましいぞモテモテ王国の国王。ファーザーか?ファーザーと呼んでやろうか?」
「お前、偶に本気でムカつくな」
小室がグググッと拳を握るが、前世の習慣故に幼い頃から鍛え続けている俺のマッシヴボディには太刀打ちできないと踏んだのか、はぁ。と溜息を零して下を向く。
うむ。賢い判断だ。
俺と小室は、何時もこんな感じでじゃれあっている。
本来ならば俺と小室は出会わなかったのだろう。
何せ、教室が結構離れているし部活も違う。
『普通』では、一切の接点を持ち得なかった。
そんな俺と小室が、どうやって出会ったのかと言えば―――。
「あー!!やっぱ此処に居た!!」
バン!!と屋上へ続く扉を開けて出てきたのは、一人の少女。
「そら、嫁候補一号が来たぞ幸せ者」
「…茶化すなよ。そんなんじゃない」
「コラ其処ぉ!!人を無視してコソコソ話さない!!」
肘で小突いてやれば、少し恥ずかしそうに反論する小室。
そんな俺たちを指差して吠えるのは、小室の嫁候補一号。
宮本・麗。本来ならば三年生になる筈だった、俺たちの同級生だ。
下に居るそのお嬢さんこそが、俺たちが知り合う切欠になった人物なのだ。
事の起こりは、何のことも無い。
お嬢ちゃんが留年した事に対しての口論を見てしまった。それだけのことである。
最初は痴話喧嘩かと思った。何せ校内で見かけた事が何度もあるが、偉く仲がよさそうで既に付き合いを始めていたのかと思い。
その喧嘩している姿を見て。
『チクショウリア充爆発しろ!!』
『『!!?』』
何だか非常にムカついた。
前世でもほとんど女気の男が無かった俺。野郎ばかりの中で、戦争と宴会に明け暮れた日々。
別れるかどうかの瀬戸際たる痴話喧嘩とは言え、羨ましく見えたのだ。
周囲に誰も居ないと思っていたのか、叫んだ俺のほうを見て驚愕に眼を丸くする二人。
其処からは、ほとんど俺の独壇場である。
『前世でも現世でもモテない俺に謝れ!!謝罪しろ!!』
『え?いやその』
『シャーラーップ!!痴話喧嘩とかテメェ何様だコラァ!!周囲の事も考えろバーカ!!』
『ちょっと、ねぇ』
『死ね!!氏ねじゃなくて死ね!!股間爆発して死ね!!』
『オイ、なぁ』
『バーカバーカ!!もげちまえ!!はげちまえ!!』
思いつく限りの罵詈雑言を吐き散らかしてやった。
若干涙目になったのは、秘密だ。言ってて自分が悲しくなったからしょうがない。
でまぁ、俺の乱入により有耶無耶になったお嬢ちゃんとの口論は、俺を共同作業で撃沈した事により頭の片隅にでも追い遣られたのか二人仲良く帰っていった。
対する俺は。
『すいません。悪気は無かったんです。ただ、痴話喧嘩してたあの二人が羨ましくて…』
『分かったから、な?カツ丼でも食って、元気出せよ。学校には連絡しねぇから』
『お巡りさん…!!』
(哀れ過ぎて言いにくい、とは言えねぇやなぁ…)
近所迷惑で通報され、事情聴取をされた。
幸い、お巡りさんは俺の言い分に何処か共感するものがあったようで(目を逸らしていたのが気になるが)、学園への通達は思いとどまってくれたようである。
流石は義理人情の国、日本である。
あの優しさを、俺は忘れる事は無いだろう。
「…何泣いてんだ?お前」
「いや、お前さんたちとの出会いと日本の素晴らしさを少々」
「あー、アレね…」
宮本のお嬢ちゃんが、思い出したくも無い記憶を思い出してしまったかのようにうな垂れる。
隣の小室も同様である。
そして俺も。
俺にとってもあの魂の叫びは黒歴史なのだ。
何故か屋上が、昼休みと言う爽やかな時間帯にも拘らず暗雲立ち込めるようなどんよりした空気になりつつあるとき、ソイツは現れた。
「おーい、お前ら。そろそろ昼休み終わるぞー」
「出よったなサワヤ・カーン十三世。またの名を井豪・永坊」
「いや井豪の方が本名だからな?」
そう言って苦笑するのが、サワヤ・カー…じゃなくて、井豪・永。空手の有段者であり爽やかな笑顔と優しい心を持つI・K・E・M・E・Nである。
死ねばいいと思う。
「あ、呼びに来てくれたの?ありがとね」
「いや、気にしないでくれ。俺が好きでやったことだから」
宮本嬢の麗に対して、気恥ずかしそうな顔をする井豪。
毎度毎度思うのだが、どうにもこの男。
宮本嬢の事が好きらしい。だが小室とも親友。
見事なまでに板ばさみ。宮本嬢は小室坊が好きで(イマイチ小室のほうはそういうのに疎いようだが)、けれどその小室坊は自身の親友。
青い青春の中に混じる、小さな苦味。
「おお、何と言う悲劇。――――見てる分にはすっごい楽しい」
「何言ってんだお前」
「一々反応してると疲れるよ、孝」
「そうそう。ソイツの独り言は今に始まった事じゃないだろ?」
それもそうだな、と俺の隣から宮本嬢たちの隣へと降りていく小室坊。
「失敬な。俺は自分に正直なだけだ」
「「「ハイハイ」」」
そんな俺の言葉を無視して屋上から引き上げていく一同。
ちょっと寂しかったりする。
「――――」
皆が居なくなった事を確認し、学生服の袖からするりと『ある物』を取り出す。
それは。
「…なぁんで、『コレ』が此処に在るかねぇ?」
此処は、かつて自分の居た世界ではない。
分かっている。それは、決定的であり曲る事の無い事実なのだ。
なのに、今、俺の手の中にあるのは。
「―――相棒」
幾つもの戦場を戦場を潜り抜け、数えられぬほどの敵の首を切り裂き、何度も俺の命を救った、一本のナイフ。柄を押す事で刃が飛び出るタイプのものだ。
柄を押し込み、刃を露出させる。
極限にまで鋭く研ぎ澄まされたソレは、日の光を受け純白に輝いていた。
かつての俺が十五の誕生日を迎えた日、始めて自身の金で買った武器。
今の俺が十五の誕生日を迎えた日、枕元に置いてあったもの。
何故、コレが此処に在るのか。
「分からん、分からんが―――」
どうでもいいと思った。
損があるわけではない。寧ろ、かつての重みが喜ばしい。
なら、それでいい。
十分じゃあないか。
「さて」
刃を戻す。
袖の中にナイフを仕舞い込み、グッと一度身体を引き伸ばす。
「行くかね」
空を見る。何処までも続く青空だ。
平和だ。生温い日常。けれどソレは、かつてどれだけ欲しても手に入れられなかった幸福。
『死こそが永遠の安らぎ』とは、誰が言ったのか。俺の現状を死と呼んでいいのか知らないが、確かに死んでから安らぎが手に入ったとは思う。
そう思い、首を一つコキリと鳴らした。
――――――――――――――――――――それが、最期の安らぎだとも知らずに。
「おーい、早く来いよ。石井」
ああ、そう言えば自己紹介がまだだった。
床主市在住、藤美学園二年生、石井・和(いしい・かず)。かつて『何処かの誰か』と呼ばれた男の、今の名だ。
~あとがき~
何か知らんが書き直したら転生系とかそんな感じになっていた。何でだろうね。
こうすれば強かろうが何だろうが納得できる…のか?
「チートじゃねぇか!!」とか言われるかも知れませんが、強さとしては毒島先輩よりも弱いです。
後、石井君in元傭兵がやらかしたせいで井豪と宮本は付き合ってません。小室もふてくされてないです。つまり損をしたのは井豪だけ。哀れ井豪。
シリアスのままで行こうと思ったら途中でギャグが入った。心に余裕が無いと書けないんです。
では、アンケートお願いします。
①こっちでいいよ。
②前のほうがいいよ。
③妖星は天をも動かす美と知略の星。
②が多かった場合、前のほうを復活させようかと思います。優柔不断ですみません。