小説「忍ぶ川」や「白夜を旅する人々」など、故郷の青森を舞台にした作品で知られる芥川賞作家の三浦哲郎さんが、29日朝早く、心不全のため東京都内の病院で亡くなりました。79歳でした。
三浦さんは青森県八戸市で生まれ、大学生のときに同人誌に発表した作品が作家の井伏鱒二に認められ、小説家の道を歩みました。みずからの宿命に苦しみながら懸命に生きる男女を描いた自伝的な小説「忍ぶ川」が昭和36年に芥川賞を受賞し、この作品は後に映画やテレビドラマにもなりました。その後も「白夜を旅する人々」など、故郷の青森の風土や人々を見つめた多くの作品を発表し、昭和63年には日本芸術院の会員に選ばれました。昭和59年から平成17年まで芥川賞の選考委員を務め、平成19年には旭日中綬章を受章しました。三浦さんは10年ほど前に脳こうそくを患い、療養しながら執筆活動を続け、今年6月には5年ぶりの随筆集を発表しましたが、家族によると先月初めに体調を崩して入院していたということです。