広島県医師会は9月、ベッド数が500床以上ある県内の7病院に、医師の当直明け勤務日の残業をなくすよう呼び掛ける。医師の負担軽減策の一環。3カ月間試行し、効果を検証する。
対象は、広島市民病院(広島市中区)や県立広島病院(南区)、呉医療センター(呉市)など。各病院長に、10〜12月に当直明けの医師が午後5時までに帰宅できるよう口頭で要請する。試行期間後には、実際に帰宅時間が早まったか、医師にアンケートする。
県医師会の勤務医部会が、昨年の勤務医アンケートの結果を踏まえ、提案した具体策の第1弾。過重労働で退職者が増え、さらに医師不足が進むという悪循環を断ちたいとの狙いがある。
アンケートは昨年、県内の勤務医2940人を対象に実施。回収率は40・6%で、当直明けに通常勤務をこなす医師は86・6%を占め、当直中の仮眠を十分に取れるのは26・2%にとどまった。また勤務時間が週60時間以上の医師は34・9%に上った。
県医師会常任理事の荒木康之・広島市民病院副院長は「勤務医が不足すると、1人の医師の負担が増え、結果的に救急医療体制の存続を危うくしかねない。市民の暮らしを守るために過重労働対策は急務だ」と指摘。「まず大病院で試行し、各病院で勤務医の働き方を見直す動機付けを図りたい」と話している。
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